「おまえは一生をかけて、魔族を欺くんだ」|葬送のフリーレン
『葬送のフリーレン』において、
魔族の組織は、力(魔力)の秩序によって成り立っている。
そして力によって、人類を支配しようとする。
つまり魔族は、「力による支配」のメタファーだと
私は考えている。
そして「力による支配」の脆さやその弱点は
魔族の発言や行動によって示される。
彼らの「おごりと油断」は、欺かれる隙を生む。
S1E8では、断頭台のアウラの手下である
魔族のリュグナーが、グラナト卿に対して
自分たちの強さについて、とうとうと語る場面がある。
かつて不敗と呼ばれた魔族のクバールが
人類を殺すための魔法「ゾルトラーク」を開発するために
人生の大半をかけたことを、誇らしげに話す。
後に、リュグナー自身の命を奪う魔法が
このゾルトラークである、というのも皮肉だ。
我々魔族は長い寿命の中で、一つの魔法の研究に生涯を捧げる。
年月をかけて日々探求し、積み重ねていく。
10年後の魔法は、今よりもっと優れたものになり
我々の力を、より強固なものとする。
しかし、彼は知らない。
人類は、1人1人が個別の魔法研究に
取り組んでいるのではないことを。
共同研究によって、「ゾルトラーク」はすでに
「魔物を殺すための魔法」に進化していることを。
そのゾルトラークによって、
クバール自身がすでに倒されていることを。
人類よりも自分たちが優れていると疑わない
その「おごりと油断」こそが、
自らの弱点を作り出していることを。
そして、その弱点をつく戦い方は
フランメからフリーレンへ、引き継がれている。
魔族を欺き、倒すための修行に、
彼女たちもまた、生涯を捧げている。
魔族は、見誤っているのだ。
そして魔族の誤認を誘うように
入念に、忍耐強く、フリーレンたちは修練を積む。
体外に放出する魔力を10分の1以下に抑える
魔力制御の練習と、
基礎的な魔力を上げるための基本訓練を
ひたすらに続けるのだ。
フリーレンは聞く。
魔力制御は、どのくらい続けるべきなのかと。
フランメは、答える。
私と同じくらい。一生だ。
おまえは一生をかけて、魔族を欺くんだ。
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