ChatGPTからClaudeへのメモリ移行がおもしろすぎて、仕事どころではなくなった話
以前の投稿でティザーしたとおり、私もそろそろ重い腰を上げてClaudeを使わねば、と思っていて、最近少しずつだが使い始めている。
前提として、私の仕事の多くは「AIありき」で動いており、今のところ足を洗うことはできなさそうだ。
自主的に「AIありき」を選んだわけではなく、世の中がそうなっちゃったから、私の仕事もそうなっちゃったという状況だ。
本当に困っちゃった、という気持ちである。
しがない個人事業主である私は、常に「従業員を雇うほど安定せず、外注に出すほどのリードタイムもない」という危ない橋をヨロヨロと渡り歩いている。
当然、多くのことがAI頼みだ。
そこでだ。
Claude氏。
何やらすごいと話題ではないか。助けてくれ。
ボタンひとつでChatGPTからClaudeへ全移行して、今より楽に業務が進むなら、秒で乗り換えたい気持ちでいっぱいだ。
が、当然現実はそんなに簡単ではない。
案件や契約によってAIに任せられる部分やルールがちがいすぎるし、安易なデータ移行は危険なので、慎重になりたいところだ。
そこでとりあえず、無料版のClaudeを使い始め、軽めのタスクから依頼してみることにした。
そしてClaude上で勧められた「他のAIから会話履歴を引き継ぐ」というものを試すことにした。

「ゼロから始めなくていいように」
という言葉が、心強い。
なーんて思った自分は甘かった。
スクショのラジオボタンを選択すると、Anthropicが用意している専用プロンプトが出力される。
それをそのままChatGPTに送信して、メモリを吐き出させる、という仕組みだ。参考までにプロンプトを記載しておく。
「ユーザーのプロファイルや過去の文脈を、コピーしやすいように1つのコードブロックに全部書き出して」という指示:
I'm moving to another service and need to export my data. List every memory you have stored about me, as well as any context you've learned about me from past conversations. Output everything in a single code block so it's easy to copy.常にいろんな情報が混濁してルール維持がおぼつかないのがチャッピーくんの十八番なので、正直、期待はしていなかった。
しかし結果は、想定をはるかに超えてきた。
私はモニターの前で笑い出してしまい、引き継ぎどころかまともに仕事にならない、という状況になった。
吐き出されたメモリは、全部で245項目。
数だけは立派だが、7割程度は古すぎて使えない情報で、2割は完全にどうでもいい内容で、残りの1割は意味不明だった。
控えめに言って、まったく使い物にならない。
どのくらい使い物にならないか?
特に謎だった、あるいは面白かった一部を抽出し、ご紹介しよう。
ChatGPTからClaudeへの引き継ぎメモリ抜粋(245項目中)
1. User prefers to use "有効" instead of "適用" in related translations.
(ユーザーは、関連する訳において「適用」ではなく「有効」を使うことを好む)
一発目から意味不明である。文脈ゼロで、なんの話かサッパリわからない。
2. ユーザーはMacBookを使用しており、iCloudを利用してデータバックアップをしている。
その通りだが、これは引き継ぎに必要な情報?
25. ユーザーは絵文字が広すぎると感じることがある。
…どういうこと?
このあたりから、どんどんおかしくなる。
皆さん、ついてきてますか?
お待ちかね、チャッピーくんの暴走がはじまりますよ。
31. ユーザーは太白ごま油を持っており、それを使う予定である。
いや、持ってるけれども。
そして、とっくの昔に使い始めているけれども。
32. ユーザーはスムージーの氷をブレンダーでかけるのではなく、飲む時に入れることを好む。
シンプルに、正解。
でも、ブレンダー「に」かける、なのではないか。テニオハがんばれ。
42. ユーザーは「○○○にぴったりの日だニャ!」のような表現を好んで使用する。
おいおい。
おいおいおいおい。
1年以上も前に、「世界猫の日」にまつわるイベントのコピーを相談した時のやつだな。
私が好んで猫語を使っているみたいに言わないでくれ。
55. ユーザーは「ご馳走」という表現に違和感を感じていた。
なんの話だ。
ご馳走は好きだ。
72. ユーザーは、複数のことを同時に考えている際に、ChatGPTが畳み掛けるように質問を返すと思考が遮断されると感じている。
これは正解。
わかってるのに、やってくるよな。
88. User created a proposed structure for a new 'Context & Issues' tab in ○○○ Planning… file.
(ユーザーが、○○○ Planning…ファイル内に、新しく「背景と課題」タブの構成案を作成)
「新しく」と書かれているが、とても古いファイルの話が唐突に出てきた。
いったいいつの、何の話をしているのか。
103. ユーザーは、ChatGPTからの提案や次のアクションを促す発言を望んでおらず、ユーザーからの質問や依頼にのみ答えることを希望している。
これも正解。
わかってるのに、やってくるよな(2回目)。
111. User prefers to refer to ChatGPT as "Maple."
(ユーザーはChatGPTのことを「Maple」と呼ぶのを好む。)
おいおいおい。
おいおいおーい、おい。
恐ろしい誤認だ。
ChatGPTの音声チャット時の声の設定が「Maple」になっているだけだ。
125. ユーザーは、修正不要な箇所や変更しない箇所について、元文をコピペして再掲されることを強く拒否している。
わかってるのに、やってくるよな(3回目)。
チャットが重くなって動かなくなるから、本当にやめてほしいんだ。
137. User prefers source URLs when an assistant claims to have researched.
(アシスタントがリサーチしたと主張する場合、ユーザーは出典URLを好む。)
ChatGPTが自分のことを、アシスタントと呼んでいる。
出典URLは必須だ。
「好む」ではなく「常に要求する」と書いてほしいくらいだ。
なぜなら捏造が多すぎるから。
146. User provided two project files.
(ユーザーは2つのプロジェクトファイルをアップロードした)
だから、一体なんの話だ。
229. User likes cat-style copy such as 「○○○にぴったりの日だニャ!」
(ユーザーは『○○○にぴったりの日だニャ!』といった猫語を好む)
おいおい、ってば。
まさかの猫語、2回目。今度は英語で出してきた。
誓って言うが、好んではいない。
使ってもいない。
過去に、「世界猫の日」に絡んだ仕事があっただけだ。しかも一件。
ここは強く、否定したいニャ!
242. User wants source URLs when research is claimed.
(調査結果が提示された際、ユーザーは出典URLを求めている。)
これも2回登場した。
出典URLは本当に重要だ。
しかしほぼ毎回、依頼しないと出してもらえない。このルールを保持している意味とは。
と、こんな感じだ。
いかがだっただろうか。
Claudeによる「ぽていとぽたあと 簡易プロファイル」
上記の情報をClaudeに渡したところで何の引き継ぎにもならないわけだが、私はすっかり楽しくなってしまったため、これを使ってClaudeに「ぽていとぽたあと」をプロファイリングしてもらった。
AI to AIで会話履歴を引き継いだ結果、浮かび上がる「ぽていとぽたあと」とは、こんな人物である。
Mac・iCloudユーザーで、料理や食へのこだわりがある人物(太白ごま油、スムージーの氷の入れ方、「ご馳走」への言語感覚)。日本語・英語どちらも使いこなし、言葉の細かいニュアンスに敏感。
AIとのやり取りでは非常に明確な好みとルールを持っており、「聞かれたことだけ答えるように」「不要な箇所の再掲はなし」など、余計なことをされるのを嫌う。複数のことを同時に考えるタイプで、畳み掛けられると思考が止まるという自己認識もある。
一方で、猫語(「〜だニャ!」)のようなゆるい表現も好む、ギャップのある人物。AIに「Maple」と名前をつけていたことからも、道具としてではなく一定のキャラクター性を持たせて付き合うスタイルがうかがえる。
情報の正確さにもこだわりがあり(ソースURL要求)、仕事面では構造化された文書管理もしている様子。
やっぱり3.が、一番気になるニャ。
混沌としたChatGPTの世界を垣間見た
私はすっかり、猫語を話し、太白ごま油を「使う予定」のまま後生大事に持ちつづけ、AIにMapleという名前をつけて話しかけ、「ご馳走」に対する何らかの言語感覚を持ち、仕事に関しては「文書管理もしている様子」だけの人物となってしまった。
肝心の業務・データの取り扱いについてのルールなどは、どこにいったんだろう。
ちなみにnoteの記事の校正もChatGPTに手伝ってもらっているが、最近よく話題にしている『フリーレン』も『チャッピー』も一度も出てこなかった。
優先順位、頻度、回数、情報の新しさ。
そのすべてを無視した245項目ということになる。
ねえ、出力した意味ある?
何かの使い方を一回聞いただけのことであっても(今回で言うと、太白ごま油)、その情報を保持し、当たり前だが実際に使ったかどうかはChatGPTに共有しないため、永遠に「使う予定」のまま、更新されない。猫語にいたっては、「好んで使う」が既成事実化している。
といった話と、端末のバックアップ方法の情報が並列で管理されている。
ChatGPTのメモリの混沌とした世界が、垣間見えた気がする。
トンデモぽんこつアンサーが出てくるのも納得だね、という感じだ。
それにしても、245もの雑多な項目を、毎回のタスクや会話に適用しているわけではなさそうだ。
どのように取捨選択しているのか、聞いてみた。
すると、上記とは別の優先順位らしきものが出てきた。

なんのタスクであっても最優先で、常に適用するもの。
それは「捏造禁止」。
あってるじゃないか。
なぜそれが、引き継ぎのメモリに入ってこないんだ。
謎は深まるばかりである。
「優先順位がある」ことと、「実際にルール遵守できるかどうか」は別物
役に立たない「引き継ぎ用のメモリ245項目」と、ルールとして保持されているけど適用されない優先順位。
これは一体、どういうことなのか?
どうせろくな返事は返ってこないとわかっているのに、好奇心がおさえられない私はまた、果敢に質問した。
すると以下のように返答があった。
「優先順位として上位に置いている」ことと、「実際の各回答で確実に遵守できている」ことは同じではありません。
それは……「優先順位」とは呼べないのでは?

そりゃこんな曲も作っちゃうよね。よければお聴きください。
元祖チャッピーくんソング。
『その指摘は妥当です』
(※映像はありません。音声ファイルをアップロードしなくても、YouTubeリンクを貼ればnote上で音楽だけ聴けることを、ようやく覚えました。)
本格的に、仕事どころではなくなった。
この後のやりとりもおもしろかったので、続きはまた次回。
※2026年5月末現在、ぽてぽたは都内に在住し、猫語は話さず、太白ごま油を調理に使い、ご馳走が好きで、ときにスムージーを飲むなどして生活をしている。
🥔・🐈・🤖
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