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【外部相談窓口の作り方:後編】設置の際はどこ・誰に依頼すべき?

こんにちは、非営利組織とコンプライアンス研究会の代表世話人を務める弁護士・塙 創平(はなわ そうへい)です。
前回は、組織に「実際に機能する相談窓口」を置くために、外部相談窓口をどう活用できるかについてお伝えしました。

今回の記事では、実際に「では外部相談窓口を設置するとして、どこ(誰)に依頼したらいい?」という点について解説します。

外部相談窓口の選択肢は、選択肢は大きく2つ、「(士業以外の)業者」もしくは「士業(主に、弁護士や社会保険労務士)」です。

士業以外の業者に外部相談を依頼する場合

まず、士業以外の業者について、説明をしましょう。
業者による外部相談窓口は、コールセンター・コンタクトセンターなどを運営する会社によって運営されている場合が多いです。

事例:NEC 内部通報窓口代行サービスの場合

NECグループのコンタクトセンターを運営するNEC VALWAY株式会社を例に考えてみましょう。こちらの会社は、NEC 内部通報窓口代行サービスを運営しています。

*注)外部相談窓口ってなに?という疑問に対する、あくまで一例であり、この会社の利用をおすすめするものではありません。

通報の流れは、いたってシンプルです。

1. 従業員が、不正やハラスメントに関する通報を窓口に連絡。連絡方法は電話やメールだけでなく、匿名を前提とした専用ツールからの通報も可能です。

2. 弁護士が通報内容を分析し、法的リスクを評価。それにより、企業は早期に適切な対応をできるようになります。

3. 通報内容と評価を基に、企業は関係者へのヒアリングおよび調査。
ここから始まる二次調査(加害者や第三者への聞き取りを含む、事実認定のための調査)は基本的に、内部相談窓口でも外部相談窓口でも同じです。

費用としては、ベーシックで初期導入費用10万円、年額19万2000円(月額換算1万6000円)~と比較的リーズナルです。
研修やツール製作にも関与してもらえるなど(別途費用)、自分たちの組織で日常業務に追われながら色々考えるより、大手企業のノウハウを使わせてもらえるという利点があります。

その他、「ハラスメント外部相談窓口」で検索すると、色々見つかると思います。ただし、前回記事でもお伝えしたように、通報窓口はあくまで「窓口」なので、外部相談窓口が担当するのは一次調査(通報者からの聞き取り)です。有料での弁護士による二次調査や、内部相談窓口との連携など、どの程度までをオプションでできるのかは業者次第なので、組織のニーズに合った外部相談窓口を選びましょう。

士業に外部相談窓口を依頼する場合

士業のうち、弁護士か社会保険労務士が専門としていることが多いです。

士業に依頼するにあたり、最も気を付けるべきは、相談窓口を「顧問」の士業に依頼を【しない】ことです。別の人を探しましょう。

「うちは顧問弁護士がいるから…」とか、「うちは顧問の社会保険労務士がいるから…」と、何か起きたら顧問弁護士に、と思ってしまいますが、こと相談窓口に関しては、顧問弁護士は適しません

理由は大きく2つ。

まず、「顧問」弁護士や「顧問」社会保険労務士とは、顧問先の組織を守る役割を担っている人です。
したがって彼らは、基本的には、問題が短期的に拡大しないことにモチベーションがあり、比較的組織内部の人と同様のバイアスが働きやすい。よって、被害者の権利を軽視しして、組織防衛的な行動を選択してしまいがち(あくまで一般論ですので、できる人もいるかもしれませんが…)。

つまり、「顧問」弁護士や「顧問」社会保険労務士は、士業とはいえ、最も相談窓口に向かない人材といっても過言ではありません

さらには、実質的な利益相反の視点からも、顧問弁護士や顧問社会保険労務士には相談窓口を依頼すべきではありません。
というのも、次のような事例が起こり得るからです。

相談者は、自分のために話を聞いてくれると思って、相談窓口に相談をしました。その際、窓口担当者として、顧問弁護士相談にのってくれました。
しかし、相談窓口では、問題を解決することができませんでした。
相談者は、加害者に対して、損害賠償請求をしました。さらに、組織に対しても、使用者責任に基づき損害賠償請求をしました。
訴えられた組織(被告)は当然のこととして、顧問弁護士(相談窓口として相談者に直接対応をした人物)を代理人として選任しました。

これは相談者からすると、味方になってくれると思って相談窓口(顧問弁護士)に相談したのに、その弁護士が敵になって現れた!と感じる場面です。…当然、裏切られたように思いますよね。

こういった関係を弁護士の世界では「利益相反」といいます。(元の相談者の利益と今の依頼者の利益があい反する、ということです。)

もちろんこういった場合、この弁護士が、「この件については、相談窓口を設置した組織の代理人にはならない」と依頼を断る(受任しない)というのも一つの手段だと思います。
しかし、顧問弁護士が「クライアント(企業)からの依頼を断る(受任しない)」というのもなかなか難しいものです。顧問先は、「こういうときのためにお願いしているのに」と不満を持つからです。
さらに組織側からしても、「『相談』窓口とはいっても、この窓口を設置したのはうちの組織なのだから、相談者だって組織の弁護士なのはわかっていたはずだ」という理屈から、顧問弁護士に対し「受任してくれ」と強く迫ることもありがちです。

したがって、そもそも顧問の士業には、相談窓口を依頼しない。相談窓口は、相談者にしっかり寄り添い、組織を健全に運営させるためのものなので、相談者のための対応に徹してもらうと考えましょう。
つまり、「短期的には相談者のため」「長期的には組織のため(窓口がよく機能することで組織が健全になり、人材が定着し、生産性もあがる)」という循環を目指すべきです。気軽さや目先のお金に囚われてはなりません。

さらには、実際、「窓口担当と代理人を兼ねた複数の弁護士が弁護士会から戒告処分を受け」ています「企業のハラスメント窓口、顧問弁護士が兼務はNGか?」・日本経済新聞2023年3月19日
タイトルには「企業の」とありますが、学校法人の代理人についた弁護士が戒告の懲戒処分を受けた事例も記事中で紹介をされています。非営利組織も一緒の話です。

精神論ではなく、実際社会はそのような流れになっていますから、安易に顧問弁護士と相談窓口の兼任を請け負うような士業は、少なくともハラスメントや公益通報窓口の専門家でありません。なぜなら、こういった懲戒事例を知っていれば、以前ならともかく、今どき受任することはないからです。

弁護士だから「法律に関することはどんなことでも対応してもらえる」と安易に思い込まず、相手に相談窓口を任せる力量があるのかをよく見極めるようにしましょう。顧問弁護士と相談窓口に求められる力は別、です。
骨折した時、「医師がいるから」と内科には行きませんね。それと同じです。

顧問弁護士以外の士業に相談窓口を依頼する場合、月額3万円~が一般的です。顧問弁護士は月額5万円~が一般的なので、それよりは若干安いと思います。
ただ、値段で決めず、「相談を受けてから最後までのフローについて、どれだけ具体的に話してくれるか」「どのような組織での対応実績があるか」などを基準に選ぶようにしましょう。

塙は非営利組織の外部相談窓口をやっています

大手メーカー企業とあなたの非営利組織、新進気鋭のIT企業とあなたの非営利組織……働き方や、起こりうるコンプライアンスの問題が同じでしょうか?
想像しただけで全く違うことが想像できるでしょう。ですから、あなたの組織と似た組織で外部相談窓口を対応した実績がある業者なり士業なりを探すことが大切です。
 
非営利組織におけるコンプライアンス対応なら、2025年現在であれば、迷うことなく私自身を勧めます。私は、「非営利組織の弁護士」だからです。

「結局宣伝かよ!」と思ったあなたは、上記の記事と、前回の記事の冒頭で、非営利組織のすこやかな運営にかける私の熱意をご一読いただけますと幸いです。

私が直接又は間接的に関与する先に外部相談窓口を依頼する方法は、以下の2つがあります。

方法1:レポートナウ

1つ目は、一般社団法人共創プロジェクト経由です。
この団体は、「レポートナウ」というブランドで、非営利組織から外部相談窓口の運営を受託しており、当事務所が監修をしています。以下の特徴があります。

1.公益法人・非営利組織対応
2.従業員等に限らず、ボランティアや受益者にも対応可能
3.月額1万円~
4.りのは綜合法律事務所監修

1.公益法人・非営利組織対応

なにより、公益法人・非営利組織に対応している点が、非営利組織の方にとって、最大のメリットだと思います。

以前、このようにお伝えしました。

人が異なれば、使う言葉も違います。
人が異なれば、起きる法律問題の内容も違います。
使う言葉も、起きる法律問題も異なれば、それはもはや全くの別世界。

(8)まとめ|「非営利組織の弁護士」におれはなる!

法律の話に至る前に、相談者から話を聞いて理解する。
その際に、非営利組織の文化を理解できるというのは大きいでしょう。

2.従業員等に限らず、ボランティアや受益者にも対応可能

以前、非営利組織特有のコンプライアンス問題として、「ボランティアとコンプライアンス」について、お話しました。

「自らの意思で進んでする」人であるボランティアは、非営利組織にとって、とても大きな役割を果たしており、雇用契約(指揮命令関係)がないからといって、ないがしろにできる存在ではありません
また、多くの非営利組織では、受益者(たとえば就労支援の事業所であれば、そこで働く人)との関係は、営利組織のアルバイトやお客様とはまた違った関係があるわけで、外部相談窓口を設置するならそこを理解した人(企業)である必要があるわけです。レポートナウでは、それが可能です。

3.月額1万円~

非営利組織の皆さんにとって、月額1万円が大金なのは知っています。しかし、一定の品質を確保しながら、非営利組織の難しいコンプライアンスに対応するためには、一定の教育コストがかかります。
そこで、お互いに無理のない金額として、月額1万円からの提供となっています。

4.りのは綜合法律事務所監修

塙の持つノウハウすべてを提供し、ワークフローを固めています。

いるかどうかわかりませんが、塙ファンの方にとっては、最大のメリットになるかもしれません(弱気)。

ただし、こちらにご依頼いただく場合は、あくまで「一般社団法人共創プロジェクト」が受託という形になります。
「弁護士」「法律事務所」に依頼したい場合は、以下の方法をご検討下さい。

方法2:りのは綜合法律事務所への直接依頼

実は、りのは綜合法律事務所でも、ほぼ同じサービス内容で、「レポートナウ」という同じブランド名で、非営利組織や営利企業(中には上場会社や上場準備中の会社もあります。)から外部相談窓口の運営を受託しています。

但し、こちらは月額3万円からの提供となります。弁護士名を出すと高くなるのです。ごめんなさい。

また、繰り返しになりますが、こちらは「相談窓口」なので、二次調査までの費用を含みません。もちろん、必要なときはご相談にのります。

まとめ

私ではない「非営利組織に強く、外部相談窓口を行なっている弁護士」を見つけたなら、もちろん、その方もおすすめできると思います。
非営利組織の内部を正しく理解し、だからと言って安直に組織に肩入れするわけでもない、すこやかな組織運営の一翼を担える外部相談窓口が増えたらいいなというのも、私の願いのひとつです。

内部相談窓口を作るにせよ外部相談窓口を作るにせよ、大切なのは「短期的には相談者のため」「長期的には組織のため(窓口がよく機能することで組織が健全になり、人材が定着し、生産性もあがる)」です。頑張りましょう。

さて次回は、コンプライアンスやハラスメント防止研修の具体的な実施方法について、説明したいと思います。お楽しみに。


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