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【書評】疲弊する全プレイングマネージャーへ。希望は、ここにある。/「働きがい改革」に本気の上司がチームを覚醒させる/前川孝雄著

こんにちは! ふわっと心が軽くなる「心のお守り」をお届けしている歌詠みつくだです。今日は、いつもとはすこし雰囲気を変えて、ビジネス書を一冊ご紹介したいと思います。

働き方改革がはじまってはや5~6年、残業時間は減り、フレックスタイム制やリモートワークが一般化すぎたこともあってか、ずいぶんと働きやすくなりましたね。

ところが、今の仕事に満足しているかというと「満足していない」という実感をもらす方が多いようなんですね。皆さんは、いかがですか?

働くことへの不満はないが熱意もない日本人

毎年世界各国の労働者の仕事への熱意(エンゲージメント)を調査しているギャラップ社(アメリカ)の2023年版のレポートは衝撃的でした。

日本の労働者のなかで「自分は仕事に対して熱意に溢れている」と自覚している人の割合は、わずか5%でした。これは調査対象となった145カ国中139位という結果であり、しかも東アジア(10カ国)では最下位です(世界平均は23%)。

視点を変えて、日本の人材会社大手パーソル社の調査を見てみましょう。世界18の国・地域を対象に仕事の満足度(サティスファクション)について実施している調査です。こちらは2022年のレポートとなりますが、「現在の仕事に満足している」と回答した人の割合は、日本は53.1%でした。

数字だけ見ると意外といいなと思ってしまいがちですよね。しかし、実は今回調査した国の中で日本は最下位(トップはインドの87.5%)でした。また、「働くことを通じて、幸せを感じている」という項目でも、日本は最下位でした。

この二つのデータは、「大きな不満はないが(53.1%)、仕事に情熱を燃やし、自発的に会社に貢献するまでには至っていない(5%)」という日本人の労働の姿を見事に映し出しています。

いまこそ、上司による働きがい改革を

本書の著者である前川孝雄氏はこの状況を次のように分析しています。

私は、働く人を幸せにする「働きがい改革」がすすんでいないからだと考えています。「働き方改革」の副作用で、むしろ現場の働きがいが阻害されていると見ています。

「働きがい改革」に本気の上司がチームを覚醒させる

働き方改革が悪かったわけではありません。ただ働く人が仕事で幸せをつかむには、仕事に熱意を燃やし自発的に会社へ貢献、ひいては社会へ貢献していく両輪としての「働きがい改革」が必要だということなのです。

そのためには、人事が勤務時間や休暇制度などの「働きやすさ」の整備をするだけでは足りません。現場の上司が現場で働く一人ひとりに対してどんな仕事を任せ、またどう評価していくか。仕事を通した個々人の成長に向けて、動機づけを働きかけていくか。

そう。「働きがい改革」とは、現場の上司の力によってなされていく改革なのです。上司が元気になり、本気の覚悟を持って「働きがい改革」に取り組めば、組織は、そして会社は覚醒すると本書は説いています。

人財を伸ばす3つの基本

いやいや、精神論でうまくいくなら私はこんなに苦労していないよ。しかもプレイングマネージャーとして数字も追わないといけないし。こんな状態で、何ができるっていうんだ? まさにおっしゃる通りです。

では、どうするか。「部下一人ひとりの持ち味を踏まえて仕事を任せ、育て活かし、共通の目的に向かう組織の力を高め、個人では達成できない結果を導き出す」のです。前川氏は、この力を上司力®と呼んでいます。

具体的にいうと、部下の力を育て、活かし、伸ばしていくには次の3ポイントが大事になってくると前川氏は語っています。

①「任せる」
②「応援する」
③「内省させる」

日本を代表する大手企業を中心に500社以上の企業・団体に「上司力®研修」を長年続けている前川氏によると、多くの管理職はこの「任せる」という段階で躓いているそうです。

確かに、部下本人の実力よりも少し重い仕事を任せるというのは勇気のいることですよね。思わずいろいろと口や手を出すマイクロマネジメントをとってしまうこともあるでしょう。しかしそれはせっかく芽生えた部下のやる気を奪ってしまいかねません。

上司の仕事は部下を応援することです。それは部下が困っているときに安易に答えを教えることではありません。部下の頑張りを応援しつつも、部下自らが答えを導き出すように道をつくっていく。そして、部下が成果を上げたなら一緒になって喜ぶ。業務の管理者ではなく、応援者としてエールを送り続けることが大切なのです。

そして内省。良きにつけ悪しきにつけ、仕事の終わりには結果が出ます。このときあなたは、どんな言葉をかけていますか? 部下がこの結果を1つの学びとして身にできるかどうかは、上司のこんな問いかけで決まってきます。

「期初にあなたの役割と目的を確認し、一緒に目標を決めたね。今季の仕事について、どう思っている? プロセスは色々あったと思うけれど、まず自分自身で振り返ってほしい。うまくいった理由、難しかった理由を教えてくれるかな?」

「働きがい改革」に本気の上司がチームを覚醒させる

ただ褒めたり、詰めたりするのではなく、「成功要因や失敗要因を学習材料と自覚させて、次のチャレンジへどう向かっていくかを、部下自身に考えさせ腹落ちさせる」ことが大事なのです。

そして「任される」「やり遂げる」「振り返る」という部下からのアクションがうまく噛み合わさることで、部下は働きがいを高めながら成長していけると前川氏は言っています。

プレイングマネジャーから抜け出す4つのステップ


しかし、プレイングマネジャーとして数字を持ちつつマネジメントを行うのは至難の業です。2023年の産業能率大学が企業に調査したところによると、専任マネジャーとしてプレイヤー業務を持たない管理職がいる企業は、わずか2.1%。残り約98%の企業でマネジャーは。プレイングマネージャとしての仕事を強いられています。

多くの上司の方々は上司としての仕事をしたいと思いつつも、多忙さゆえにできなくなっているということですね。

経営陣や組織の改善を待つのではなく、自らのために、そして抱える部下たちのために。前川氏が提唱する4つのステップで、いまの状況から脱皮しましょう。

ステップ1:ブルシット・ジョブを「やめる」 まず、勇気を出して、成果に繋がらない形骸化した業務、いわゆる「ブルシット・ジョブ」をやめること。「この仕事、本当に意味があるのか?」と、自分自身に、そしてチームに問いかけます。

ステップ2:管理・事務業務を「減らす」 次に、「その仕事、本当に必要ですか?」と問いかけ、過剰な報告書や会議など、本来の目的を見失った管理・事務作業を徹底的に減らしていきます。

ステップ3:仕事を「任せる」 そして、「自分でやった方が早い」という、部下の成長を阻むその誘惑を断ち切ること。これは、先ほどの3つの基本で述べた、部下の成長を信じて仕事を「任せる」という、上司として最も重要なアクションの実践です。

ステップ4:生まれた時間を「本来の仕事」に使う こうして「やめ」「減らし」「任せる」ことで生み出した貴重な時間を、本来の上司としての仕事、すなわち、部下を「応援し」、成長を促すために「内省させ」、チーム全体の「働きがい」を高めるための対話に、再投資していくのです。

日本は、頑張っている人がいるのにもかかわらずその甲斐及ばず、失われた30年といわれてきました。先進国の給与がどんどん上がっているなかで、日本だけが低成長にあえいでいます。

「自分のせいじゃない」
「時代が悪いんだ」
「この人不足でどうすれば」

もう、それやめませんか。
いまたいせつなのは、闇の中にも光る月があるということ。
どんな場所にも希望はあります。

本書は、著者・前川孝雄氏が痛い目に遭いながら10年以上もの時間をかけて身につけつかんできた上司力®をもとに、チームを覚醒させ笑みがあふれる環境を作り出すヒントを説いています。

いま、あなたがいる場所で希望をつくりだすのは、あなた自身です。
一人の大人として、部下たちに、そして後につながっていく子どもたちに、少しは格好のいいところを見せたいじゃありませんか。

本書は、そんなあなたの大きな力になってくれます。

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