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【読書】『ジャパンズ・ホロコースト』の正体

出版情報

以前にも同じテーマの別の本を読んだ上で

 日本や日本人をおとしめ、誇りを奪いたい人々がいるらしく、日本は認知戦、歴史戦に巻き込まれている
 戦争は熱戦ドンパチだけじゃない。非軍事的、あるいは準軍事的行為である情報戦認知戦歴史戦。情報で優位に立ち、正当性を貶め、団結を阻み、戦意を喪失させるというわけだ。我が日本はこういった鬱陶しい情報戦などを盛んに仕掛けられている。
 本書『ジャパンズ・ホロコースト』の正体がターゲットにしているのは、新たな歴史戦の本ジャパンズ・ホロコーストだ。そのウソを暴く内容となっている。防諜ならぬ防歴史戦だ。

 以前、同じように『ジャパンズ・ホロコースト』をターゲットにし、ウソを暴く本である『『ジャパンズ・ホロコースト』解体新書』をご紹介した。

 『ジャパンズ・ホロコースト』解体新書は保守言論人である大高未貴が、反日プロパガンダの発生源である人、組織、書籍を中心に、いわば「臭いの元」を突き止める仕事をしている。大高未貴は本書『ジャパンズ・ホロコースト』の正体にも同じテーマをよりコンパクトにしたものを寄稿している。

 本書『ジャパンズ・ホロコースト』の正体は、藤岡信勝を中心に19名の研究者がそれぞれの立場で『ジャパンズ・ホロコースト』のウソを暴いて24の論考を掲載いる。素晴らしいのは、単に19名が原稿を寄稿しただけではなく、事前に研究会を立ち上げ、2024年8月から2023年3月にかけて8回の公開研究会を行い、16名の研究員が研究発表を行なっている。このようにして、各人の興味や研究内容が被らないように自然に調整された、と言うことなのだろう。その16名に3名の研究員の論考を加えて本書ができたのだそうだ。

 本書は、『ジャパンズ・ホロコースト』のデタラメさを、内容から、歴史を取り扱う上での学問形式から、また、実際に外国人などから「南京事件が〜」とか「慰安婦問題が〜」と言われた場合にどう対処するべきかという対処などの、多様な観点から論述している。もちろん内容についての反証が一番ボリュームがある。『ジャパンズ・ホロコースト』に書いてある数字についても反証があるし、『ジャパンズ・ホロコースト』の著者リッグについての人物紹介(なんと米国の陸軍大学や士官学校で歴史教師として教鞭をとっている!)や出版社の書籍の傾向、また文言としての内容のみならず、使われている写真についてもデタラメであることを暴いている。

 本書に寄稿している人々はいずれ名の知られた言論人で、読み応え抜群!私は以前、南京事件と慰安婦問題について本を読み、読書記事を書いたので、その件についてはこれまである程度は知ることができていたが、そのほかの大東亜戦争のあれこれについては、まったく知らないことばかりだった。日本人であれば、できれば本書を一度は読んでおくべきだと思う。読みやすいし。強くお勧めできる良書である。
 というわけでご興味を持った方は書店へGO!!

 以下では「歴史研究ってこういう観点で良し悪しが決まるんだ〜」と私にとって学びがあった論稿を紹介する。マニアックな視点なので、ご興味ない方は、ここで離脱をどうぞ〜。


本書『『ジャパンズ・ホロコースト』の正体』の目次

 本書の目次は下記のとおり。

【緒 言】
本書はいかにして成立したか 藤岡信勝
アメリカの友人たちへ 山上信吾

【第1部】――反日プロパガンダ本出版の背景
『Japan’s Holocaust』とは何か 宇山卓栄
「開戦の詔勅」を前に溶解する虚構の書 大高未貴
あからさまな「反日レイシズム」 茂木弘道
戦争プロパガンダと日本支配の現在 高橋史朗

【第2部】――「ホロコースト」と学術書の基準
「ホロコースト」を日本の歴史に持ち込むな 藤岡信勝
『Japan’s Holocaust』におけるホロコースト概念の歪曲 ミロスラフ・マリノフ
『Japan’s Holocaust』を歴史学の基準で書評する 長谷亮介
歴史を検証しない「歴史家」リッグ ジェイソン・モーガン

【第3部】――虚構の南京事件と慰安婦の噓
「南京虐殺」に反論する 阿羅健一
一次史料が明かす南京事件の真実 池田 悠
『Japan’s Holocaust』の写真を検証する 溝口郁夫
リッグの「慰安婦」論の考察 ジョン・マーク・ラムザイヤー
日本の慰安婦制度と米国の戦略爆撃の比較 マックス・フォン・シュラー

【第4部】――大東亜戦争とプロパガンダ
栗林忠道と香港虐殺・強姦問題 田中秀雄
中国の民族性・重慶爆撃・戦犯裁判を検証する 田中秀雄
「バターン死の行進」を検証する 溝口郁夫
戦争プロパガンダの亡霊 丸谷元人
日米開戦と原爆問題 笠谷和比古
昭和天皇の終戦決意と「原爆神話」 矢野義昭
『Japan’s Holocaust』の最大の意義とは ロバート・D・エルドリッヂ

『ジャパンズ・ホロコースト』の正体 目次

 どれも素晴らしい論考なので、本書をお手に取ってぜひ読んでいただきたいのであるが、私にとっては第4部に知らない内容が多かった。これは読み手のこれまでの興味関心によって異なるところだろう。
 本記事では特に長谷亮介の「『Japan’s Holocaust』を歴史学の基準で書評する」を取り上げて、歴史を取り扱う上での形式、というか専門家が何に重きを置いて歴史を研究しているのかをご紹介したい。言われてみれば、そうだよな、当然だよ、と思うところばかりであるし、本来であれば『歴史とは何か』や『歴史学研究入門』を直接読んで学ぶところなのだろう。だが私にとっては、いいとっかかりになったような気がする。

『Japan’s Holocaust』を歴史学の基準で書評する

 本稿の筆者である長谷亮介はE・H・カーの『歴史とは何かセニョボス/ラングロアの『歴史学研究入門などを基準にして、『ジャパンズ・ホロコースト』を書評している。まるで、歴史研究の手ほどきを受けているかのような、講義録のような書評なのである。
 本来であれば、長谷亮介がどのように『ジャパンズ・ホロコースト』を反証しているかを紹介すべきなのかもしれないが、本記事では講義録のような書評から「歴史研究」で大事なものはなんであるかを抽出してみたい。それが今後、役に立ちそうな気がするからだ。あるいは『歴史とは何か』や『歴史学研究入門』を読んでみようという動機づけになりそうな気がするからだ。自分勝手な動機で、自分勝手なまとめ方で申し訳ない💦

歴史研究の意義

 長谷亮介は、韓国の研究者の危機感を下記のように表現するp173-p174。

  • 嘘の歴史を教え続ける民族に未来はない

また、歴史戦に巻き込まれている日本の子どもたちが将来、「大虐殺を行なった国の子孫」のような間違ったレッテルを貼られないためには、下記のことが必要だし、そう考える日本人が増えているp174。

  • 歴史の事実を探究し、嘘の歴史に立ち向かう

    • =歴史の事実を直視し、根拠のない日本批判には反論する

    • 例えば、慰安婦、南京事件など

  • そうでなければ、真の友好は築けない

  • 感情論や古い通説ではなく、一次史料をもとに議論する

上記のことが行えない言論空間は人間から理性を奪い、将来その国の人々を不幸にするp175。イデオロギーや人種差別という偏見で歴史を考察していると言わざるを得ないp174。米国の大学のことだ。日本でもそういう風潮はないだろうか?

歴史学の本質

 本稿の著者 長谷亮介は歴史学の本質として下記のように述べる。

  • 歴史とは

    • 一次史料に基づいて考察され

    • 新発見があれば通説に反論することが可能であり

    • 実際、通説が覆った例がある

  • 歴史は、

    • 学術的根拠を示すことができれば

    • 誰でも自由に考察することができる

また歴史家E・H・カーの言葉を引用し、下記のようにも述べているp168。事実と解釈ということを述べているんだろうなぁ。

  • 歴史とは

    • 歴史家と事実との間の不断の過程であり、現在と過去との間の尽きることを知らぬ対話である

  • 歴史家

    • 裁判官ではない。過去の人物に対して道徳的判断を下す資格はない

    • 歴史家は善悪を測る尺度を持っていない。

    • 歴史家の仕事は原因の研究である

一次史料とは

 では一次史料とはどういったものだろうか?

一次史料いちじしりょうとは、研究対象となる時代に、当事者や目撃者によって作成された、当時の生の情報の原典(日記、書状、公文書、金石文、考古遺物など)のことです。歴史研究において信頼度が高い根拠となり、後世に作成された二次史料(論文、歴史書、物語)と区別されます。

GoogleAI "一次史料とは" 2026/02/28

過去に存在した事象を把握し筋道を立てるのに役立つ材料を「史料」と呼ぶ。紙に書かれた文献史料がすぐに頭に浮かぶが、口頭伝承、金石文、絵画、録音、映像(写真、動画)など様々な種類がある。遺物・遺跡なども広い意味の史料である。
史料は一つ一つ、歴史研究を行う上での有効性・信頼度(信憑性)が異なり、これを見極める作業を「史料批判」と呼ぶ。文献史料を例にとると、その目安となるものは、その史料を「いつ」「どこで」「だれが」書いたか、の三要素であり「そのとき」「その場で」「その人が」の三要素を充たしたものを「一次史料」と呼び、そうでないものを「二次史料」と呼んでいる。

歴史史料とは何か 国立国会図書館より

歴史研究の基準

 長谷亮介は、下記2つの本を紹介し、これらの本に言及する形で歴史研究の基準を説明する。

 きっとより詳細にさらにさまざまな基準があるのだろうが、長谷亮介は『ジャパンズ・ホロコースト』のダメっぷりを指摘するにあたって、下記のような歴史研究を行うにあたっての注意点を述べている。

  • 史料の探索と収集が歴史家にとって最も重要な仕事

    • → 「歴史は史料で作られる」:『歴史とは何か』より

  • 史料の取り扱いに注意する

    • 先行研究に依存しすぎず自分で史料を直接確認する

      • →「史料の確認を行わない研究者は未熟である」:『歴史学研究入門』より

    • 近代の著作家の語った内容史料を混同しない

      • →批判精神が欠如した最も粗野な所業である:『歴史学研究入門』より

  • 歴史家の歴史的および社会的環境を研究せよ

  • 歴史の通説はくつがえことがある

    • →「不正確な研究は必ず排除される」:『歴史とは何か』より

    • →「古い解釈が拒否されたのではなく、新しい解釈に取って代わられる」:『歴史学研究入門』より

  • 歴史家

    • 道徳的判断を下す資格はない

    • 歴史家の仕事原因の研究である

『ジャパンズ・ホロコースト』への反証

  • 朝鮮労働者の人数についてp159

    • 67万から100万人の朝鮮人が強制的に日本に送られ…

    • ➡︎一次史料などから、60万人が戦時労務動員(日本人と同様)、180万人が自発的な日本渡航

  • 朝鮮人男性の奴隷化」という言葉に対してp160

    • ➡︎言葉が未定義であることを指摘。賃金表や労務表、傷病手当金記録などの一次史料から実態と異なることを反論。

  • 慰安婦問題p160に数ページしか割いていない。

    • ➡︎韓国・日本で盛んに研究されているのに、自分の説に都合の良い先行研究しか参照せず受け売りの主張をするに留まっている。幅広く先行研究や資料を収集、整理し考察する必要がある。

  • 日本軍は国際協定や人間の基本的良識に著しく反し、言語に絶する残虐行為を行った」「極端なエゴイズムを助長し…最もグロテスクな残虐行為を喜んで行う…」に対してp167

    • ➡︎残虐でない事象が1942年に起きている。インドネシア・スラバヤ沖開戦。日本軍は敵であるはずの442人の漂流者を救助し手厚くもてなした。のちに「海の武士道」と称えられた。

  • 歴史修正主義者と非難p169:日本の起こした犯罪を認めようとしないと、日本人を非難するために使用している。

    • ➡︎ 通説に異議を唱える日本人が増えているだけ

  • 南京大虐殺p169

    • ➡︎ 遺体の埋葬件数について、史料の調査が進むにつれて大虐殺があったとする陣営の論客も「埋葬遺体数の記録に厳密さを欠くところがあった」と認めるようになったp171。

    • ➡︎学術的な議論を通した通説への反論であり、歴史の修正ではないp171。

おわりに

 17ページの論考を紹介するのに6000字近く使ってしまった。読んでくださって、ありがとうございます。
 この論考だけでも、『ジャパンズ・ホロコースト』のデタラメさがご理解いただけるのでは、と思う。
 私が歴史の方法論に、興味があったばかりに、こんなまとめ方になってしまった。いずれにしても、本稿を始めとする本書は濃密で、読みがいがある。ぜひ、直接本書に当たってほしい。


 



引用内、引用外に関わらず、太字、並字の区別は、本稿作者がつけました。
文中数字については、引用内、引用外に関わらず、漢数字、ローマ数字は、その時々で読みやすいと判断した方を本稿作者の判断で使用しています。
また、文言の間違い、表現のわかりやすさなど、随時訂正しています。ご了承ください

おまけ:さらに見識を広げたり知識を深めたい方のために

ちょっと検索して気持ちに引っかかったものを載せてみます。
私もまだ読んでいない本もありますが、もしお役に立つようであればご参考までに。
 執筆者は著名な言論人なので、みなさんご自身の著作をお持ちである。中でも『ジャパンズ・ホロコースト』関連の著作をお持ちの方の本を紹介させていただくことにした。他にもあるかもしれない。抜けがあったらスミマセン。もしよかったら、指摘してくださいませ〜。

『ジャパンズ・ホロコースト』の正体

執筆者:大高未貴の本

執筆者:茂木弘道

徴用工関係

執筆者:阿羅健一

南京事件の本をたくさん書いておられる。

執筆者:池田悠

執筆者:ジョン・マーク・ラムザイヤー

歴史学関係


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