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【英国文豪、令和を歩く】第36回:Muslim life, calm and prim, heart so strong on every whim.

京都、鴨川のせせらぎが遠くに聞こえる夕暮れ時。喫茶店の蓄音機からは、どこか東方の調べを思わせるマイナーコードのジャズが流れている。ウィルは緋色のストールを指先で弄び、ドイルは古い革の手帳を広げている

ウィリアムシェイクスピア                                                                                                                    

ねえ、ドイル。さっき表の通りを、美しい刺繍の布を頭に纏った女性たちが通り過ぎていったわ。この八百万の神々が住まう極東の地でも、砂漠の彼方から届いた唯一神への祈りは、絶えることなく捧げられているのね。「ムスリム」……彼らの信仰の強さを見ていると、私の物語の登場人物たちが抱く、あの烈火のような情熱を思い出すわ。

                                                                                                                         コナンドイル

(万年筆を置き、眼鏡の奥の瞳を鋭く光らせて)
ああ、ウィル。イスラムの世界か。私の友人にとっても、東洋の謎や情熱は常に興味深い対象だった。彼らの信仰は、生活の細部に至るまで厳格な論理と規律に貫かれている。一日に五度の礼拝、聖地への巡礼……。それは一見、自由を縛る鎖のように見えるが、実は混沌とした世界の中で自己を律するための、最も強固な「精神の骨格」なのだよ。

(身を乗り出し、熱っぽく語る)
「鎖」だなんて、ドイル、あなたらしいわね! でも、それは愛という名の甘い拘束と同じではないかしら? ほら、ロミオがジュリエットの窓辺で、東方の太陽が昇るのを待つように、彼らもまた、夜明けの光の中に神の姿を見ようとする。情熱とは、対象が何であれ、己のすべてを投げ打つことでしょう? 彼らが額を地につけて祈る姿は、まるで最愛の人に跪く恋人のようで、見ていて胸が熱くなるわ。

(わずかに苦笑して)
君にかかれば、宗教的な敬虔さもロマンスの一部になってしまうな。だが、現実的な視点で見れば、彼らの「誠実さ」は特筆すべきものだ。かつて私が南アフリカや海を越えた土地での事件を扱った際にも感じたことだが、信条を持つ人間というのは、良くも悪くも予測がつく。彼らの禁忌や義務を理解していれば、その行動原理は数学的な正確さで導き出せるのだよ。

(ふふっと笑い、自分の珈琲を一口飲んで)
予測ができるからこそ、そこから外れた時のドラマが面白いのよ、ドイル。例えば、戒律と友情の間に立たされた男の苦悩……。ああ、想像しただけで新しい一幕が書けそうだわ! それに、彼らが大切にする「喜捨(ザカート)」の精神はどう? 恵まれない者に手を差し伸べるその慈悲深さは、この殺伐とした現代において、最も美しい「詩」だと思わない?

(真剣な面持ちで頷き)
確かに、相互扶助の精神は、共同体を維持するための高度な知恵でもある。ベーカー街の住人たちも、社会の底辺で苦しむ者たちへの眼差しを忘れてはいなかった。ムスリムの人々が守り続けているその「公正さ」への渇望は、法学者が六法全書を紐解くよりも、ずっと直接的に人間の魂を救うのかもしれない。

(窓の外の暮れなずむ空を見つめて)
太陽が沈み、一番星が輝き始めるわ。あの星の下で、今も誰かがメッカの方角を確かめ、静かに祈りを捧げている……。ドイル、私たちは言葉や推理で世界を解き明かそうとするけれど、彼らは「信じる」というたった一つの行為で、宇宙と繋がっているのね。それは少し、羨ましい気もするわ。

(静かに手帳を閉じ)
論理の果てには常に、解明できない「大いなる意志」への畏怖が残るものだ。ウィル、君が舞台に魔法をかけるように、彼らもまた信仰という魔法で、過酷な現実を聖なる物語へと変えているのだろう。……さて、そろそろ店を出ようか。今夜は、あの街角にあるハラール料理の店でも覗いてみるのはどうだい? 新しい発見があるかもしれん。

(華やかに笑って立ち上がり)
名案ね、ドイル! あなたの鋭い鼻で、最高のスパイスの調合を見抜いてちょうだい。私はその香りに誘われて、異国の王宮に迷い込んだ王女の気分で歩くことにするわ。

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