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金利上昇が終わらせるキラキラパワーカップルの時代


プロローグ

さてとうとう政策金利が1%になるようです。2024年のゼロ金利解除から2年、インフレもあり「金利のある時代」がどんどん本格化して言った感があります。

2月の衆院選の際に「高市首相は積極財政志向だが日銀総裁を変える様な可能性は低い」と書いたのですがもう少し突っ込んだ言い方をするなら、高市首相の経済政策でも利上げを遅らせることは出来ても防ぐ事は出来ないと言った所で、現状のインフレ水準であればまた利上げは続いていくのではとも感じています。

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住宅価格高騰で増える超長期、ペアローン

さて東京都心のタワマンを中心に不動産価格の高騰が続いているからか、ペアローンや50年などの超長期ローンを利用した住宅購入が増えているようです。

住宅ローン利用者の実態調査【住宅ローン利用者調査(2026年1月調査)】@住宅金融支援機構より

実際住宅金融支援機構の調査を見ると2022年10月からの3年強で35年超の超長期ローンの割合は倍以上に増え、20代ではペアローンと収入合算で6割近くなっています。言って見れば特に若い世代では共働きでレバレッジして生活水準を上げるパワーカップルが標準と言う時代になりつつあるという事なのかもしれません。

低金利と住宅ローン減税が欠点を覆い隠し、利点を大きくした~超長期、ペアローンの利点を考える~

さてこの手の記事ではデメリットが語られがちですがまずは超長期ローン、ペアローンのメリットを考えていきます。その際に基本的に以下を前提常態としたいと思います。
夫婦の所得(手取り):夫600万円、妻400万円
ローン額:5000万円(中古住宅、省エネ基準適合住宅)
ローン金利:変動1%、元利均等返済

夫婦1千万円と言うのは一見そこまで高くないように見えますが、手取りなので額面であれば1200~1300万円位にはなります。また日本の場合上昇婚を臨む女性が多いので男性の方が高い所得と言う設定としています。また立地と新築では共働きであるがゆえに立地を選ぶというのも前提条件としました。

35年ローンと50年ローンの返済額比較

まずは超長期ローンの利点から、一番大きな利点はなんだかんだで月当たりの返済額が小さくなる事、5000万円、年利1%だと金額で月3.5万円、年42万円、割合では25%小さくなります。その分高いローンを組んだり、余裕分を運用して繰り上げ返済に充てるという選択肢もあります。一言で言えば返済額が小さくなることで選択肢が広がるのが利点と言えます。当たり前ですが50年ローンだと返済期間が長引く分支払う利息額も増えるのですが、利息が低い事で大きな差にならない事が欠点を最小化させています

住宅ローン減税@国土交通省より

そして続いてはペアローンの利点、それは住宅ローン減税をフル活用できる点です。上は住宅ローン減税の条件ですが、仮に省エネ基準適合住宅と言う前提条件であれば単独ローンの場合最大3000万円までしか適用されませんが上手くペアローンを組めば最大6000万円まで活用可能です。
単独ローンの場合:3000万円x0.7%x10=210万円
ペアローンの場合:5000万円x0.7%x10=350万円

大雑把な計算で実際はこれよりも小さくなると思いますが、単独では最大210万円の住宅ローン減税での還元が350万円と140万円、実際は返済が進む分差は小さくなるのですがトータルでは100万円以上差が付くと思われます
言ってみればこれまでの低金利と住宅ローン減税が欠点を覆い隠し、利点を大きくしたと言えるのではないかと思います。

返済ペースの遅さが金利上昇の影響を大きくする~超長期ローンのリスクを考える~

35,50年ローンの元本残高推移~10年目

続いてはリスクを考えていきます。まずは超長期ローンのリスクからです。35年と50年ローンの元本残高の推移を見ると年々差が広がり10年で50年ローンでは444万円ほど残高が大きくなっている事が見て取れます
この事が意味するのはまず仮に10年後住宅を売却するとした場合、その分残債で差がつく事です。
更に10年の返済が終了した11年目に仮に金利が2%になった時の返済はどうなるかを見ていきます。
35年ローン:残債37443419円を25年年利2%での元本均等返済→年額1,917,868 円(217,684 円増加)
50年ローン:残債41885126 円を40年年利2%での元本均等返済→年額1,531,142 円(255,506 円増加)
元本で444万円の差がある
結果、50年ローンの方が返済額の増加額が大きくなることが見て取れます。言うなれば返済ペースが遅い分より大きな元本が残る事で金利上昇の影響がより大きくなるわけです。

金利上昇と産休・育休のダブルパンチが導く破綻リスク~ペアローンのリスクを考える~

育児休業等給付について@厚生労働省より

続いてペアローンについて考えていきます。ペアローンの本質的なリスクは返し手が2人いる事でどちらかの所得が減少したり失業したりすると急激に厳しくなる事だと思います。ただこれは単独のローンのリスクが倍増する形となる事で単独ローンの破綻リスクが十分小さいと考える為、ここでは出産育休のリスクのみを考えます。ジェンダー論的には問題ありそうですがシミュレーションとしてはいかに考えます。
・出産・育休・時短勤務は女性のみが取る
・出産・育休・時短勤務時の女性の所得は育児休業給付に合わせて67%とする
この前提条件なので出産・育休・時短勤務時の全体の所得は以下になります。
・600万円+400万円x0.67=868万円

その前提での手取りに対する返済負担率は以下になります。

50年ローンにおけるローン額毎の負担率

返済負担率が高くて危険と思われる30%以上になるのは金利2%かつ9000万円以上のケースになりますが注目したいのは金利上昇と産休によるダブルショックの影響が大きい事、
・5000万円の場合でも返済率が12.8%→18%と5%以上悪化
・1億円の場合だと25.5%→35.9%と10%を超える悪化

一般的に返済比率25%は安全圏と言われますが、それでも出産育休と1%の金利上昇が重なる事で35%を超える危険水準に一気に達してしまうというのは注意が必要です。金利が1%いきなり上がる事は無いとは言え、0金利解消から政策金利が1%に達するまでわずか2年だったと考えると決して無視できる話ではないです。
言うなれば復活し、今後上昇していくであろう金利は今若い人を中心に主流化しているペアローン、超長期ローンのリスクをあぶりだすことは間違いありません。

金利上昇が終わらせるキラキラパワーカップルの時代

実はペアローンに関しても超長期のローンに関しても不動産ローンに詳しい専門家から見ると決してお勧めできないというのはよく聞く話ですし、私自身もそう思います。そしてこれまで見てきたようにこれからほとんど無視出来た金利が復活し上昇を続ける側面ではそのリスクは極大化するのも事実です。

ただ若い世代の視点に立てばこの流れは止められないとも思っています。私個人の視点ですが我々の時代よりも女性が働きやすい投資が行われその分割を食ってきた若い世代の男性からすれば「女性だからと言ってきつい労働から逃げて専業主婦やパート主婦になる」と言う選択肢は所得に関係なく許容できず、家を買うなら妻側も一定に負担をするのが当たり前と言う事なのでしょう。それに対しておっさんから四の五の言える事は無いです。

https://diamond-fudosan.jp/articles/-/1112193 より

ただそもそも難しい仕組みだけにこの金利上昇でこれまでの「便利な都心のタワマンでキラキラな生活を送るパワーカップル」よりも「ローンが破綻し離婚もし泥沼に陥る夫婦」のような悲惨な結末を迎えるカップルが目立ってくると思います。言うなればこの金利上昇は「キラキラしたパワーカップル」の時代を終わらせるのではないかと思います。

夫婦で収入(フロー)・資産(ストック)をきちんと共有出来るか~ペアローン破綻を避けるのに最も重要な事を考える~

さてここで終わらせることも不可能ではないですがそれではあまりに救いがないので悲惨なペアローン破綻を避けるのに最も大切な事を考察してみたいと思います。
私がこれまで書いてきた様々な事から「車の保有や保険・サブスクなどの固定費」を削減すると言った事が一見思い浮かびますが、それ以前で最も大切な事、それは夫婦お互いの収入(フロー)、資産(ストック)を正確に把握し出来ればそれぞれの両親も含めて共有する事ではないかと思います。

住宅ローン返済を見直す「リスケ」。その選択肢とリスクを知ろう@みずほ銀行

何故かと言えばそれが行えれば選択肢が増えるからです。例えば収入や資産をきちんと把握したうえでクルマなどの固定費の節減も限界だった場合でも例えば銀行に相談してリスケするという選択肢もあります。当然返済を減らす分、返済期間も伸び、全額返済が難しくなるかもしれませんが、残債が住宅の販売価格を下回れば住宅を売るだけで清算も可能になります。ただ収支・資産が正確に把握できてなければその選択肢も取れません。またどうしても破綻となりそうになった際でも夫婦だけでなくお互いの両親とキチンと協力関係が出来ていれば、両親側から生前贈与の形で資金援助が受けられるかもしれませんし、仮に残債が残っても実家に戻る事で家賃負担を軽減して経済的な余裕を作る事も可能になるかもしれません。逆に言えばこの把握共有が出来ないのであればペアローンを組むべきではないですし、住宅ローンを使っての住宅購入は避けるべきなのではないかと思います。

負動産的なものから脱却する方法~最後に~

はっきり言うとこの記事を書くのには正直苦戦しました。実際それくらいこのペアローンは難しい問題でした。ただ正直な所ペアローンをやめろと言っても今の若い世代には響かないのは正直理解できましたし、ただ多くの専門家の言う事ももっともだったからです。

そもそもの問題として都心のタワマンに住むパワーカップルと言うのも実は現在負動産として語られる親世代の生活スタイルから脱却できなかった人たちと言う印象も強いです。

そこから脱却するには個人的には2つの選択肢があると思います。そして2つの選択肢を決めるのは所謂イエ社会と言われる血縁コミュニティとの距離感で決まってくると思いますが、それは別で書きたいと思います。書けるかどうかは分かりませんがもしかいたらご覧になっていただければ幸いです。

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