医学の知識ゼロで医学情報の嘘を見抜く最強メソッド!【033】「トクホ」「機能性表示食品」で病気は治らない
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「トクホ」と「機能性表示食品」
医薬品ではない、食品に分類される商品に、「特定保健用食品(トクホ)」や「機能性表示食品」などがあるのをご存じだと思います。
なんだか、病気に効きそうなことを謳っている商品もありますね。
たとえば、「血圧○○超えたら○○茶」だとか。
これって、高血圧に効くってことなんでしょうか?
このお茶を飲んでたら、医者にかからなくてもいいってことなの?
医薬品ではないのに、こんな謳い文句ってOKなの?
「トクホ」と「機能性表示食品」について、表に概要をまとめます。
「特定保健用食品(トクホ)」は1991年に始まった制度で、1993年に初めて2製品が許可されました。
国に根拠となるデータ、原則として、適切な手法に則って実施された臨床試験データを提出して審査を経たのちに、可否の判断が下されます。
形式としては、消費者庁長官の名で表示が許可されます。

「トクホ」になると、「内臓脂肪を減らすのを助ける」だとか、「食後の血中中性脂肪の上昇をおだやかにする」などの表示が可能です。
ですが、医薬品と違うところは、脂質代謝異常症が改善するような、具体的な病気への治療・改善効果を謳うことはできません。
「血圧○○超えたら」で有名な「トクホ」のペットボトル飲料ですが、同社のホームページを見ると、「血圧が高めの方に対する効果が認められた」と謳っています。
そしてまた、「本品の効果効能を保証するものではありません」とも書かれています。
効果が認められた? 保証するものではない?
効果があるの? ないの? どっちなの?
こんな曖昧な、両義的な表示が許されるのか!?と私は思うのですが、いかがでしょうか。
「トクホ」や「機能性表示食品」に病気が治るというエビデンスは微塵もない!
「トクホ」として許可を受けるためには、原則として、ヒトを対象とした臨床試験データの提出が求められます。
厚生労働省による医薬品の審査ほどは厳しくはないのですが、それでも、被験者を数十人、あるいは百人以上も集めて、数ヶ月以上にわたる試験を実施するには高額な費用がかかります。
「この制度は、ごく一部の大手企業のためのものだ」との不満が中小企業から噴出しました。
実際ビジネス上、不公平ですし、中小企業にもチャンスを与え、広く国民の健康増進に役立てるべきだと国も判断したのでしょう。
2015年に「機能性表示食品」の制度が始まりました。
「機能性表示食品」では、臨床試験の実施は必ずしも必要ありません。
過去の文献(他者のものでも可)が複数あり、それをレビューした分析結果(一応、システマティックレビューっぽいもの)をもって、特定の機能性があることを示せばよいのです。
しかも、これは「届出」であり、審査を経て表示の許可を受けるものではありません。
「トクホ」とは異なり、何か問題が起きた場合は、すべて企業が責任を負うことになります。
査読付き論文として発表されたRCTデータの提出が義務付けられている「トクホ」※
ですが、たったひとつの試験結果でもって科学的根拠とはみなせないことは、本書において繰り返し述べてきたことです。
※ 「特定保健用食品申請に係る申請書作成上の留意事項」↓↓
また、査読と言っても、ジャーナルによって、その厳しさは様々です。
特に、日本語の臨床医学論文を掲載する商業誌(学会などが刊行するものではなく、民間の出版社が発行するジャーナル)には、まったく形式的な手続きを経て「査読済み」とするようなものもあります。
実際に私は、そのような医学系商業誌に日本語の論文を投稿し、発表した経験があります。
それは非常に驚くべき経験でした。
なぜなら私は、原著論文(オリジナルな研究内容について報告する論文)というものは、すべからく査読を経て掲載されるものだと思っていたからです(私が世間知らずなだけでしたが)。
ところが、その商業誌の「投稿規定」を読んで初めて知ったところによると、そのジャーナルでは、論文を投稿する際に「査読付き」を選べるのです。
つまり、その日本語の医学系商業誌では、「査読なし」での論文掲載が標準であって(つまり、投稿された論文は、基本的にすべて掲載される)、追加で数万円の手数料を支払えば「査読付き」で論文を発表できるという仕組みです。
私は「査読付き」を選びましたが、実際、その査読はとても甘い形式だけのもので、実質的には査読がないのも同じでした。
「こんなジャーナルもあるんだ」と驚いたものです。
まったく、世間知らずでした。
このように、ゆるい査読を経て発表された日本語論文をして「エビデンス」と称し、「トクホ」の表示が許可されているのが現実です。
たとえば、内臓脂肪を減らす効果があるだとか、肝機能を示す数値を下げるだとか、それだけでは病気を改善できると言えるものではありません。
一つひとつの検査項目の数値というのは、医師が患者の病状を判断するための材料に過ぎません。
何かひとつの指標が良化したからと言って、それだけでは臨床的に病気が良くなったという証拠にはならないのです。
「トクホ」も「機能性表示食品」も、「科学的エビデンスを提示すること」が求められていますが、それらの多くが、「ある特定の数値が良化した」ということを示しているに過ぎません。
数値の変化ばかりに着目しているのですが、それは決して「病気が良くなることが証明された」ということではないのだということを十分に理解する必要があります。
トクホで、病気が良くなることを「科学的根拠」でもって示されたものは、ひとつも「ない」と言ってもいいでしょう。
なぜそう言えるのかと言うと、そのような臨床試験は倫理的に大きな問題をはらむからです。
病気が良くなるかどうかは、病気と診断された人を対象にしなければなりません。
そして、ここが重要なところなのですが、試験の実施期間中は医療機関での治療を受けることができません。
なぜなら、治療を受けると、病気が良くなっても、その製品の効果か、治療の効果かの判別がつかないからです。
病気だと診断が下された人に数ヶ月もの間、無治療を強いるような臨床試験が許されるでしょうか?
トクホや機能性表示食品で病気が治るという科学的根拠は得ようがないのです。
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