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医学の知識ゼロで医学情報の嘘を見抜く最強メソッド!【034】「統計学的有意差あり」にご注意!

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アルツハイマー型認知症の主要な原因と考えられる異常タンパク質「アミロイドβ」。
近年、脳内に蓄積したアミロイドβを減らす複数の新薬が国内で相次いで承認されました。
抗体医薬品に分類される比較的高価な薬です。

臨床試験では、脳内アミロイドβの量を有意に減少させ、認知機能の程度を数値化した「スコア」も統計学的に有意に改善することが示され、その効果が大いに期待された新薬のはずでした。
ところが、複数の臨床試験の結果をメタ解析した報告によると、蓄積アミロイドβの減少や認知機能のスコアが有意に改善していても、患者本人やその家族には、症状や生活の質(QOL)が改善したとの実感に乏しいということが判明しました。
つまり、対照群(効果のない偽薬を投与した群)と比較して、数値としては統計学的に有意に良化したという結果であっても、その改善幅は患者や家族が「良くなった」と実感できる基準(「最小臨床的重要差」という)に達していなかったのです。
当事者たちが治療の恩恵を実感できないのなら、高額な治療薬を使っても、著しくコスパが悪いのではないかと考えられるようになったのでした。

あなたが患者になったと想像してみてください。たとえば、こんな状況です。

あなた「先生、今のお薬ですが、あまり効いているとは思えないのですが・・・・。別のお薬に変えていただいてもいいですか?」
医師「いえいえ、そんなことはありません。数値は間違いなく良くなってきてますよ」
あなた「でも、相変わらずしんどいですし、食欲もありません。良くなっているとは思えないのですが・・・・」
医師「それは、あなたが感じていないだけであって、検査結果では確実に良くなっているんです。安心してください」

どうやら、患者満足度の低い薬のようです。
これでは、あなたに利益があるとは言えないですよね。
患者の利益になってこその臨床医学です。
このように、何らかの数値に統計学的な有意差があることと、臨床的に意義があるということは、まったくの別物と考えた方がよいでしょう。

多くの臨床研究において、「数値」の変動が検討されます。
そして論文では、有意に数値が「良化した」という結論を誇らしげに謳います。
あたかも、大変に意義のある成果が得られたかのように。
ですが、臨床的に意味のある良化なのかというと、そのことに着目していない臨床研究論文が、意外にも多いのです。

科学論文は発表されただけでは「科学的根拠」にはなりません。
他者が検証した結果、再現性が確認できない、臨床的な有用性が認められないということは多々あります。
まさに本庶佑博士が、「論文の9割は嘘。10年後も残るのは1割だけ」とおっしるゆえんです。

「特定保健用食品(トクホ)」や「機能性表示食品」などの広告や表示において、「統計学的に有意差があった」と謳っているものは枚挙にいとまがないほどです。
ですが、それらの文言が意味するところは、「臨床的に意義がある」ということではありません。
それに多くの場合、再現性の確認すらなされていません。
必ずしも、それらの商品で病気が改善するなどという根拠にはならないのです。

「統計学的有意差あり」にくれぐれもご注意を。
そして、「薬を飲まずに、健康食品やサプリで病気を治したい」などとは、間違っても考えないことです。

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