医学の知識ゼロで医学情報の嘘を見抜く最強メソッド!【050】あっと驚き! 根拠は半世紀も前のカビの生えた一研究者の主張のみ
前回の「オレンジジュースでアタマが良くなる!」という現役医師の主張に引き続き、今回は「フッ素でアタマが悪くなる!」という話の真贋を見抜きます。
全然難しいことではありません。
次のことさえ覚えておいていただければね。
出所不明の情報には、耳を貸す価値すらない
どんなに偉い人物が言うことでも、一個人の意見・主張に過ぎないものはエビデンスレベルとしては論外
あまりに古い論文、研究結果は科学的根拠にはならない
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虫歯を防ぐ効果があるとのことで、フッ素入りの練り歯磨き製品はたくさん販売されています。
多くの方におなじみの成分であり、毎日少しずつですが、確実に体の中に取り入れていることでしょう。
著者のN医師は、このフッ素の害悪について警鐘を鳴らしています。
同書で著者は、中国の研究で、「フッ素濃度が高い水を飲んでいる村の子どもはIQが低い」という報告があると紹介しています。
フッ素摂取量と子どものIQとの間に関連性があることは、どうやら「メタ解析」による結論であると言います。
著者は、「(メタ解析は)エビデンスレベルとしてはこれが一番高い」と述べており、もし本当に、適切なメタ解析がなされているのなら、それはまったくそのとおりだと筆者も同意します。
メタ解析を行ったということは、相当数の論文が存在し、多くの定量的なデータ(数値データ)が存在するということになります。
ですが著者は、このメタ解析の結果を論じた論文について具体的に引用していません。
よって、フッ素と子どものIQとの関連性について示したデータを確認できませんし、確認できないものは科学的根拠とはなり得ません。
そして、「メタ解析はエビデンスレベルがもっとも高い」と言った舌の根も乾かぬうちに、直後のパラグラフで著者のロジックは崩壊します。
「事実として、フッ素は他のどんな化学物質よりもがん死を増やす」と書き、さらに、その「事実」とやらが何を根拠にしているのかについて、著者は次のように述べています。
「(米国の)国立がん研究所で34年勤務したディーン・バーク博士が言っているのだから、説得力がある」と。
本連載をここまで読み進められた読者には、もはや明白でしょう。
どこの誰が言ったにせよ、一人だけが主張していること、それはエビデンスレベルとしては「論外」であると。
このような主張のデタラメぶりを見抜くのに、医学の専門知識は必要ありません。
あなたには、ただ、臨床医学における「エビデンスレベルピラミッド」だけは、頭に入れておいていただきたいと思います。
怪しい主張や胡散臭い広告の謳い文句が、このピラミッドのどこに該当するか?
それさえ見抜くことができれば、嘘と欺瞞の健康・医学情報に騙されることはなくなるのです。
エビデンスレベルピラミッドについては、過去の記事を見てね↓↓
ところで、このバーク博士とやらが一体どのような人物で、どれほど信用するに足りるのか、著者はまったく述べていませんので、調べてみました。
この方は、「ビタミンB17が腫瘍細胞に接触すると、青酸化合物とベンズアルデヒドを発生させ、腫瘍細胞を死滅させる」と主張したそうです。
当時の米食品医薬品局(FDA、米国の医薬品承認機関)や米癌協会はB17の効果を否定し、バーク博士を厳しく批判したとのことです。
さらにバーク博士は、「FDAが承認している抗がん剤こそ毒性が強く、発がん性すらもっている」と、怯むことなく当局と衝突したようです。
どうやら一部の人たちからは、バーク博士は強大な公権力に屈しなかった英雄のように支持されていたようです。
ちなみに、バーク博士がビタミンB17の抗腫瘍効果に関する自説を展開したのは、半世紀も前の1970年代のことだということです。
そして、その後、ビタミンB17の抗腫瘍効果について、第三者によって科学的に検証され、確認され、支持された形跡は、私が文献データベース「PubMed」で調べた限りでは見出すことができませんでした。
大昔の一個人の、それも根拠の確認できない主張を持ち出して、「説得力」も何もあったものではないでしょう。
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