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医学の知識ゼロで医学情報の嘘を見抜く最強メソッド!【027】エビデンスレベルを見分ける

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「エビデンス」にはレベルがある


世にエビデンスと呼ばれるものには、さまざまな種類があります。
論文にしても、研究内容や研究方法には種々あり、それぞれにエビデンスとしての信頼度は異なります。
下の図は、医学研究のエビデンスレベルの違いを示した「エビデンスレベル・ピラミッド」です。
これを見て一目瞭然なのが、一専門家の言うことはエビデンスレベルが最低、否、エビデンスにすらならないということです。

医学研究におけるエビデンスレベル・ピラミッド

あなたに、ぜひ身に付けていただきたいスキルがあります。
それは、「エビデンスレベル」を見分けるということです。
最近では、CMやネットの広告でも「エビデンス」という言葉を耳目にする機会が増えました。
ですが、自社の製品やサービスを売りたいがために使っている「エビデンス」という言葉が、本当に科学的な根拠として信用に値するものなのかどうか?
あるエビデンスに関する信頼性のレベルを見分けるには、このエビデンスレベル・ピラミッドに照らし合わせればよろしいのですが、次の3つの見るべきポイントさえ覚えておけば、エビデンスレベルをザックリと見分けられるでしょう。

エビデンスレベルが、より高いのは、

  • 後ろ向き研究よりも前向き研究

  • 観察研究よりも介入研究

  • ひとつだけの研究結果よりも複数の結果のレビュー(システマティックレビュー/メタ解析)

では、まずは、「エビデンスレベル・ピラミッド」の各階層について見ていきましょう。

臨床診療ガイドラインは最高レベル、一専門家の主張は論外


エビデンスレベル・ピラミッドの下の階層から見ていきましょう。
 
「症例報告」というのは、「こんな患者がいた」という個々の症例(患者)に関する報告です。
珍しい症例だと、他の医師の参考になるので、同じような患者に遭遇した際には診療に役立ちます。
一例ずつの個別報告ですので、一般論に帰することができず、医学的なエビデンスとしての信頼度は高くありません。
ですが、経験知の蓄積という点で、医療従事者には非常に役に立っています。
 
「症例シリーズ」とは、特定の疾患に絞ったり、共通の特徴をもつ複数の症例に関して報告するものです。
複数の症例を扱うという点において、一般論に帰するような考察もある程度は可能です。
ですが、明確な目的と緻密な計画をもって実施される臨床試験とは異なり、やはり情報の提供と共有を目的とした「報告」という意味合いが大きく、エビデンスのレベルとしては、それほど高いとは言えません。
 
「症例対照研究」とは、いわゆる後ろ向き研究のことです。
たとえば、食道がんに罹(かか)った人と罹ったことのない人を対象として、カルテ情報や本人からの聞き取り(アンケート)などから、食道がんの発症要因を見出そうとする過去情報の調査方法です。
たとえば、食道がんに罹った人のグループで、多量の飲酒習慣のある人が目立って多いと、飲酒は食道がんの一因ではないかと疑われるわけです。
 
「コホート研究」とは、前向き研究のことで、たとえば、飲酒が食道がんの要因になっているのかを調べるのに、日常的な飲酒習慣のある人と、ない人の二つのグループで、どちらが食道がんになる人が多いのか、将来にわたって長期に観察するものです。
エビデンスの信頼度としては、前向きの方が後ろ向きよりも高いとみなされます。
 
「ランダム化比較試験(RCT)」とは、多数の被験者を集めてきて、偏りが生じないように無作為に2つのグループに分けて比較する前向き試験です。
たとえば、片方のグループに「成分X」を含むお茶を飲み続けてもらい、もう一方のグループには普通のお茶を飲んでもらうとします。
2つのグループを比較して、成分Xの効果を評価しようというわけです。
成分Xを摂取させるという人為的な介入を行うことから、「介入研究と」呼ばれ、観察研究である「コホート研究」よりもエビデンスレベルが高いとみなされます。
介入研究とは、端的に言えば「人体実験」になるわけですが、個人の意思と権利を尊重するため、すべての被験者には試験の目的と方法、リスクや個人がこうむり得る不利益などについて丁寧に説明した上で、本人(または保護者)の同意を得て行われます。
途中で試験から離脱したいと思えば、不利益をこうむることなく、いつでもやめることができます。
被験者に何らかの負担を強いる介入研究では、特に個人の権利への配慮が重要です。
 
ひとつの研究、一回限りの試験結果ではなく、過去に複数の研究機関が実施した多くの研究結果を網羅的にレビュー(見直し)して、俯瞰的な結論を導き出そうとするのが「システマティックレビュー」「メタ解析」です。
システマティックレビューでは、過去にどのような研究が行われ、どのような結論だったのかを定性的に評価します。
異なる結論があった場合、その原因は何か、試験方法にどのような違いがあったのかを調べ、真実の答えを見つけようとします。
メタ解析では、多数の研究によって導き出された数値データの定量的評価も行われます。
異なる試験研究によって取得された数値を分析するのですから、高度な統計学的手法が用いられます。
既存のあらゆるデータを統合的に解析するメタ解析とシステマティックレビューは、客観性(再現性の担保)という面では、もっとも信頼度が高い評価方法です。
 
そして、メタ解析やシステマティックレビューによって導き出された結果につき、トップクラスの専門家たちが慎重に議論と検討を行った上で合意に至った結論を、医療の現場で役立つような形にまとめたものが「臨床診療ガイドライン」です。
臨床診療ガイドラインは多くの場合、医学界の権威である学会の名のもとに公表されます。
そして、多くの医療従事者に周知され、これに基づいた医療が臨床現場で実践されているのです。
 
以上の通り、医学におけるエビデンスとしての信頼度は、臨床診療ガイドラインを最高レベルとし、その下にエビデンスレベルの異なる様々な研究手法があって、一専門家の主張や意見、個人の体験談などは、エビデンスとすら認められません。
くどいようですが、大事なことですので、何度でも強調しておきます。
一専門家の言うことなど、それが誰であれ、鵜呑みにしてはいけません。
 
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