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「10日以内に殺される—通り魔事件の生存者を襲う、巨大な陰謀」太田愛『犯罪者』


ちょっと一息、本の時間。

読書感想文です。


あらすじ


白昼の駅前広場で、5人が刺された。
4人が死亡。
ただ一人生き残った青年・修司は、病院で見知らぬ男から告げられる。

「逃げろ。あと10日生き延びれば助かる」

その直後、修司を襲う謎の暗殺者。
なぜ自分が殺されなければならないのか。
理由も分からないまま、修司は命を狙われ続ける。

はみだし刑事・相馬と、博覧強記の男・鑓水。
この二人と共に、修司は追われながら真相を追う—政治、大企業、マスコミ。
すべてが絡み合った巨大な陰謀が、少しずつ姿を現し始める。


感想


この本、止まらない。

そう、ページをめくる手が止まらない、次が気になって仕方がない、ミステリーの王道でありながら、その王道に「かかりたい」と思わせる魔力があります。

著者の太田愛氏は、『相棒』や『ウルトラマンティガ』の脚本家なんですね。

なるほど、と納得しました。

映像作品で培われた「引き」の技術が、この小説には満ちているようで、場面転換が多いのに、読むテンポが崩れず、むしろ加速します。

普段、本を読まない私にとって、これは驚きでした。




この物語の巧妙さは、リアリティの設計にあると思いました。

ファンタジーでもSFでもない。

現実世界で起きている—殺人、不法投棄、食品偽装—そんなニュースの裏側を、この小説は「もしかしたら」と思わせる形で描いています。

もちろんフィクションですが、

「ニュースで報じられる事件の裏には、こんな巨大な闇が本当にあるのかもしれない」

と、読んでいるうちに思ってしまいます。

私たちは、事件の表層しか知らず、報道される情報は、誰かによって選ばれ、整えられたもの。

その裏に何があるのか—この小説は、その「裏」を覗き見る興奮を与えてくれます。




あと、この本を読むべき理由があります。

『犯罪者』は、三部作の第一作です。

修司、相馬、鑓水の三人は、次作『幻夏』、そして『天上の葦』でも登場するようで、一度この三人に出会ってしまったら、あなたはきっと次も読みたくなるのではないでしょうか。

もっと早く気づきたかったですね。

ミステリー小説の面白さに、太田愛という作家さんに。

あなたも10日間の逃亡劇に、今夜から参加してみませんか?



ちょっと一息 いままでの読書感想



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