199話 舞殿 Maidono — When I Looked Up at the Bride 【青春編】波打際スケッチ Sketches of the Shoreline ~AIと創る青春物語~
教室の窓から遠い席に、向き合うように座る二人がいる。

この間、鎌倉を二人で歩いた写真をスマホで見ている。

実はあの後、鶴岡八幡宮に行っている。

その日は、舞殿で結婚式をしていた。
ユウカは、白無垢の花嫁を見上げてうっとりとした。
この舞台は、静御前が舞った場所でもある。
「しづやしづ 賤のをだまき繰り返し
昔を今になすよしもがな」
義経と過ごした日々を思い出してしまう
その思いは止めようとしても止まらない
もう一度あの頃に戻りたい
しかし現実には叶わない
それでも忘れない

静御前が舞った舞殿は、建久2年(1191年)の大火で焼失、
その後、頼朝が再建し、1193年に現在の舞殿の原型となる建物が完成、
現在の舞殿は、関東大震災(1923年)で倒壊した社殿を復興した中で
1933年(昭和8年)再建されている。
静御前が舞った建物ではない・・・
けれど、同じ場所にある・・・

ユウカは、白無垢の花嫁を見上げていた目をそらすと、テツオと目が合った。
花婿、花嫁の背中が見える舞殿を背景に、二人は見つめあっていた。

今、教室の窓から遠い席に、座るテツオが横を向いて言った。
「ユウカさあ」
いつの間にか呼び捨てになっている。

「コンタクトにしたら?」
「その方が・・・・多分、かわいい」
ユウカは、髪を伸ばしていてよかったと思った。
ユウカの耳は、真っ赤になっていたからである。

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