【玉鋼+αの刀たち展】を銀座蔦屋書店で開催しました!
こんぼた!
日本刀鑑賞大好きVtuberの、ぼたまる雪です!
この度は2026年5月23日~5月24日の2日間、東京・銀座のGINZA SIX『銀座蔦屋書店』で【玉鋼+αの刀たち】展を開催しました!

玉鋼+αの刀たち展では、
短刀 星燈(隕鉄):ぼたまる雪所有
短刀 三笠(戦艦三笠の左砲身):個人蔵
太刀 青海波(戦艦陸奥の防禦鋼板):一般財団法人群青財団管理
の計3振りと関連資料を展示いたしました。
また、展示全体の設計や解説文の作成、刀剣の手入れ、会場設営などを担当させていただきました。
一般個人Vの者として、責任ある展示運営に関わらせていただいたことを大変光栄に思います。
今回のnoteでは展示の内容や詳細を記載していきますね!
概要(HPと頒布物)
今回の展示は、一般財団法人群青財団さんの主催で開催されました。
普段からスポンサーとしてぼたまるもお世話になっております。
今回は群青財団の管理する刀剣・太刀『青海波』や個人蔵の短刀『三笠』と並べて、私の『星燈』を展示しました。
サイト内で会場配布のパンフレットや青海波の鑑賞ペーパーをダウンロードできます。
電子版パンフレットは表紙の星燈の肌模様がきれいに出てるので特におすすめ。
DL数や閲覧数なども次回に繋がる指標になるので、よかったら見ていってね。
展示内容
①短刀 銘 『以流星鐵 広康作/星燈』:隕鉄
アフリカのギベオン産の隕鉄が3割玉鋼に混ぜられた短刀。
備前長船の刀匠、安藤広康刀匠の作品です。
私の刀で、名付け親はリスナー/フォロワーです。
#玉鋼プラスアルファの刀たち展
— ぼたまる雪@日本刀鑑賞Vtuber (@botamaru_yuki) May 23, 2026
展示の紹介だよ!
①『星燈』!隕鉄:玉鋼が3:7で混ざっています。岡山の現代刀匠・安藤広康刀匠の作!
今回は星燈の銘ではなく『以流星鐵 広康作』の方をお見せしています。
隕鉄を使った刀の、独特な地鉄の線をお楽しみください。 https://t.co/nGXiKKVtfn pic.twitter.com/S7UyFB9Teu
購入の経緯を語り始めると脱線してしまうので、別の記事を参照してください。

前面のガラスが無いような透明感のある展示になっています。
隕鉄の刀剣は、世界では古代エジプトのツタンカーメン王の墓にも隕鉄製の剣が副葬されていたことで有名ですし、紀元前1300年ごろにヒッタイト(古代トルコ)で製鉄法が確立するまでは鉄剣とは宇宙から来たものであったようです。
日本では幕末ごろの榎本武揚氏の『流星刀』、現代ではかかみがはら航空宇宙博物館の『天鉄刀』などが特に有名ですね。
そんな隕鉄を用いた刀の肌を見てみましょう。



隕鉄の刀の大きな特徴として、白い筋状の模様が顕著に浮き上がっていることが挙げられます。
比較用に100%玉鋼の刀剣と並べてみると、わかりやすくなると思います。
というわけで私物の玉鋼100%の刀と並べました。
まずはなんの説明もない状態でご覧ください。

玉鋼+αの刀たち展なので、玉鋼のみの刀も並べた方がわかりやすかったですね…反省。
なんとなく鉄の雰囲気が違うことは感じていただけると思います。
では次に、少し見やすいように画像をいじったものをご覧ください。

でもお刺身でたとえると隕鉄の刀はサーモンだと思うの。
隕鉄の刀は、白い線がとても多くみられます。
おそらく隕鉄自体には含まれるニッケルなどの元素に由来していると考えられています。
隕鉄100%の刀剣(天鉄刀)が岐阜県のかかみがはら航空宇宙博物館にも展示されていますが、あちらはより白い模様の表れ方が顕著だと感じました。
ちなみに、隕鉄というと『ウィドマンシュテッテン構造』という独特の層構造が有名ですが隕鉄の刀で見られることは少ないように思います。隕鉄を酸処理することでこの構造は見ることができるようですが、鍛刀の過程に酸処理は不要ですし敢えて錆のリスクを冒す必要もないし…。
今度手持ちの隕鉄を酸処理してみようかな
右の玉鋼の刀は、美濃(現在の岐阜)で約360年前に作られた江戸時代の刀です。私物です。
緑色ふんわりラインで囲んでいる部分に粒状のものが観察できることと思います。
この大きい粒が『沸(にえ)』といいます。
大きい粒以外にも霧状のふんわりした細かいキラキラがあり、『匂(におい)』と呼ばれます。
これらが光にあたると反射してキラキラします。
沸や匂が連続して刃文や地鉄の模様を形成していきます。
玉鋼のみの刀でも白い細かい線や色味があると感じたかもしれませんが、実際に見比べてみると隕鉄の刀の模様とは雰囲気が全く違います。
(余談かつ上級者向けですが、比較写真1枚目の右の写真は沸による『映り』も見えるので少し遠目に見てみてください。)
個人的な所感ですが、
隕鉄の日本刀は不純物たるニッケルなどの模様が強く出がち。
鉄の結晶のはたらきはあまり見られない。
ただ、そのぶん刀の表情や鍛錬の構造が見やすいし独特で面白い。
パッと見てわかるタイプの”わかりやすさ”があるから初めて刀を鑑賞する人にもいいと思う。玉鋼のみの日本刀は鉄の結晶の表現力の幅が無限大。
見どころが多い分、初心者だと目が慣れるまではどこをみたらいいかわかりにくいかもしれない。
目が慣れたら違いが一気に分かるようになってたのしい。
というような違いがあるように感じます。
実物や写真を見て、みなさんはどのように感じたでしょうか?
コメントなどで教えてくれるとうれしいです。
②-a (戦艦・三笠と三笠刀の歴史)
戦艦三笠。
明治35年にイギリスで竣工、明治36年12月に日本海軍の連合艦隊に編入され旗艦となった戦艦です。
明治37年8月10日の黄海海戦にて破損した後部12吋(インチ)左砲の砲身が破損してしまいます。
その砲身の鉄が、昭和3年1月~昭和7年5月の期間に室蘭の瑞泉鍛刀所でたくさんの日本刀へと生まれ変わりました。
(この刀たちを『三笠刀』、展示した短刀は『短刀三笠』とここでは呼び分けていきますね。)
手掛けた刀匠は堀井秀明刀匠。
由緒書きの箱では『水心子源秀明』と記されていますが、これは秀明刀匠の師匠の師匠の師匠が水心子正秀であるからだと思われます。
水心子正秀の弟子の月山貞吉と大慶直胤両刀匠に師事していたのが、堀井英明刀匠の師匠の堀井家初代・胤吉。
ちなみに秀明刀匠の幼名は『兼吉』で、師・胤吉の後を継いだ2代・胤明刀匠に入門し、一文字名前をもらって『兼明』と改名しました。
大正二年に刀剣保存会から『宜ク秀明ト改メ稱ス可シ(宜く秀明と改め称す可し)』とお便りが来て秀明と改名しました。
(=兼明さんへ。あなたは水心子正秀の流れを汲んでいるんだから、美濃伝で使われている『兼』じゃなくて『秀』を使って『秀明』って名前にしなさいね)
ちなみに堀井胤明刀匠と秀明刀匠が親子という表記もありまして、おそらく秀明刀匠が胤明刀匠の三女と結婚(婿入り)したことが理由だと思われます。
すこし日本の歴史の話に戻します。
戦艦三笠が主砲を破壊された翌年明治38年5月27日、東郷平八郎元帥率いる連合艦隊はロシアのバルチック艦隊に勝利し、その後ポーツマスにて日露講和条約が締結されました。
そして今回展示された三笠刀の来歴ですが、所有者様のおじいさまが東郷元帥から直々に贈られたものになります。
同時に展示されていた額縁の中は、東郷平八郎元帥の直筆サイン入りのお写真でした。
おじいさまと東郷元帥が交流があったとのことで、今回の展示では直筆サイン入りの東郷元帥の写真と銅像と、短刀三笠の桐箱を同時に展示させていただきました。
貴重な刀剣や資料を拝見して大興奮するとともに、身が引き締まる思いで扱わせていただきました。

直筆サイン入りの東郷元帥のお写真



もともと三笠刀全般が作られた経緯として、
『日露の海戦に皇国の興廃を此の一戦と決したる戦艦三笠が戦役中搭載せし12吋主砲砲鋼を主材とし海軍用長短剣を鍛造し以て関係希望者に分与せば好個の記念品たるべし』
意訳
(日露間の海戦で日本の運命を決めた戦艦三笠が搭載していた12インチ主砲の鋼で海軍用の長剣・短剣をつくって、希望する関係者にお分けしたらいい記念品になるよね)
という意図があったようですが、蓋の裏も
『記念のため海軍將校用として鍛造せしものなり』
と記載があるので、東郷元帥用に鍛造したものが贈られたのではないかと推察できます。
はわわ
②-b 短刀 銘『三笠/秀明』
刀身自体の解説に移りましょう。

小ぶりで凛とまとまった姿。鎌倉時代の短刀を思わせる姿をしています。
隕鉄の刀と同じように、玉鋼のみの刀と比較して見ていきましょう。

少し加工も入れています。
雰囲気的には隕鉄の刀よりも玉鋼のみの刀と雰囲気が近い感じだと思います。
鎌倉時代をイメージした姿。
海の関係者に「波、平らけく(波が穏やかでありますように)」と好まれたという直刃。
きめ細かい模様が川や海の水面が波打つように流れている地鉄。
端正で素晴らしい刀です。

短刀三笠の地鉄の模様が写真の縦向きに流れているようだと述べましたが、
これは戦艦三笠主砲の鉄というよりは刀匠の作風によるところが大きいのではと感じます。
作り手が違えば雰囲気も変わる。日本刀の奥深いところです。
今回の短刀三笠の主砲鉄割合を調べるにあたって、判断基準は今回は一旦関係者間で共有するのみにさせていただきます。
(戦艦三笠と三笠刀の人気に伴い贋作も昔から多く流通していると聞きますので、”改善”された贋作がオクなどに出てくるリスクは避けたい…)
検査ではなく文献の調査にはなりますが、おそらく砲身がそのまま使われており玉鋼は混ざっていないと推測いたします。

みんな大好き大根刀枕!!!!!
③太刀『青海波』:戦艦陸奥
短刀三笠に引き続き、戦艦に由来する鉄を混ぜて鍛えた刀剣です。
戦艦陸奥の防禦鋼板という部位を使っています。
正式な銘文は長くて、
(表)備前國長舩住弘次作 柳匠堂重恒彫
(裏)以戦艦陸奥防禦鋼板鍛 令和元年牡丹華
となっています。
読み方や鑑賞のポイントは本展示の公式サイトで鑑賞ペーパーを配布しているのでそちらをご覧ください٩(*´︶`*)۶✨
戦艦陸奥と『青海波』のまとめは以前もしているので、こちらもご参照いただけると幸いです。
本展示における要点をまとめますと、
・戦艦陸奥は1921年に完成。
・姉妹艦の長門と共に、当時熱狂的なブームを巻き起こしたが、1943年に原因不明の爆発で沈没。
・太刀『青海波』は戦艦陸奥の防禦鋼板を用いて作られた。
・艦船として、そして日本刀として陸奥が末永く愛されていくよう願いが込められている。
を押さえていただければ問題ありません。


鋒が両刃造りになっているので誤解されやすいのですが、
青海波は小烏丸造りではなく元帥刀造りです。
刀置きか太刀置きか、とても迷いました。
今回は他の刀たち同様に由来となっているものの銘文が見える向きで、なおかつ桜に錨⚓の彫り物が波の鎺と組み合わさる様子を見せたくて刃を上に置きました。


彫刻にもご注目ください!
戦艦陸奥の防禦鋼板(以降陸奥鉄)は鍛造も彫刻も大変苦労された素材だったと聞きます。
ニッケルとクロムの含有量が高く、非常に硬く熱伝導率が高い材質であり、焼き入れをしても刃文が形成されにくいなどの問題が想定されたため、玉鋼と陸奥鉄の割合にはとても悩んだそうです。
最終的に陸奥鉄:玉鋼=1:9となりました。
刀身のところどころに鍛えた時のすじ模様がみられますが、折り返し鍛錬する過程でも相当硬い鉄だったんだろうなと思いを馳せることができます。
(現代刀は携わった職人さんに制作当時のお話を聞くことができる点もすばらしいですね)

また、鉄以外の金属元素の影響からか刀身自体が青みがかって見えるという特徴もあります。
(今回の展示ではフロア照明が黄色系だったので青みはすこし見えにくかったかもしれません。)

好きな刀剣発表妖怪が、好きな部位を発表します。🐲
片刃から両刃に切り替わるところの部位の切り替え。
彫り物の曲線。
地鉄。
よく見ると刃文が小さく乱れてるとこ
正式名称とかそんなのおいといて、好き好き大好き🐲
・-・ー・-・ー・-・ー・-・ー・-・ー・-・ー・-・ー・
青海波に関する情報はまだまだ公式HPにあります↓
お借りしたもの
刀箱
たびたび写真に載っていた、展示用の刀のケース。
こちらは刀箱師・中村さまにご協力いただきました!
ありがとうございます!
ケースにガラスが全然見えず、鑑賞していて自分が映りこむこともない。
透明感がたかく、まるで自分と刀を遮るものはないような錯覚すら覚えます。

ぼたの刀を入れる機会があればとあこがれてた
本展示のnoteも書いてくださってます٩(*´︶`*)۶✨
毎日note更新してるすげぇ人なのでぜひリンク先も見てみてください!
鉛筆艦船画
鉛筆艦船画家の菅野泰紀さまより、
「黒鋼の城 - 戦艦 陸奥 2593 -」「海の防人 - 一等戦艦 三笠 2562」
の2枚の絵画をお借りいたしました。
戦艦陸奥から生まれた『青海波』の上には陸奥の絵を、
戦艦三笠から生まれた三笠短刀の上には三笠の絵を飾らせていただきました。



ぜひのぞいてみてください👀✨
菅野泰紀さま(アートスタジオ楓)公式サイト↓
(BOOTH以外のオンラインショップも公式HPにあります。)
戦艦がこういう姿をしていて今はこういう刀になっているのだ、と視覚的に見ることができ、刀たちの生まれ持った歴史に対する想像がとても膨らみました。
素晴らしい作品をお貸しいただき、誠にありがとうございました!
おわりに
今回は【玉鋼+αの刀たち展】をご覧いただき、ありがとうございました。
みなさまの反応を現地やインターネットで見させていただきました。楽しんでいただけたようで大変うれしく感じています。
公式HPの配布物(パンフと解説ペーパー)も両方3000回以上表示されていると担当者より聞き、みなさまのお手元に記録がたくさんのこっている事実に心躍らせています。
記録が残っているという事実は強いです。
一度でも展示があったこと、撮影されて姿や地鉄・刃文などが記録されていることはとても強いのです。
もし仮に失われてしまった場合、復元するにも資料がないと困難ですしそもそもの実在が確認できない自体すら起こりえます。
ですので、展示という実績を残し、たくさんの人の手元に記録が残り、みなさまの記憶に残る展示となったことはこの3振にとって大きな意義があったと思います。
宇宙や海の記憶をもった刀はいかがでしたか。
美しいでしょうか。興味深いでしょうか。
そう思っていただけたならこれに勝る喜びはありません。
どうかこの刀たちが、いつまでも貴方の記憶に残りますように。
今後
展示では展示ケースの高さなど諸々の改善点がありました。
また、
『言語の壁』
『玉鋼のみの刀との比較』
『展示面ではない面もお見せしたい』
『2日間東京のみの開催だったので来られない人も多かった』
など、もっとより印象に残るようなアプローチができたらという展望があります。
今まで見てくれたみなさまにも、もっとたくさんの方々にも楽しんでいただきたいです。
まだ詳細はお出しできないのですが、私も各刀剣の所有者・管理者様もこの刀たちの魅力をより多くの人に広めたい点で意見が一致しているので今後また新たなお知らせができることと思います。
ですのでどうか、【玉鋼+αの刀たち】展のことを覚えていてくださいね。
日本刀はいいぞ。
今回諸々の費用負担を群青財団さまがしてくださっていて、今回の展示で初めて群青財団を知った方もよかったら公式HPや寄付のページも見ていってほしいです。
リスナー・フォロワー各位の拡散や寄付による協力が大変大きな力になります。
https://foundation.gunjo.org/ja/donations/
スペシャルサンクス

素晴らしい絵画で戦艦たちの魅力を伝えてくださった艦船画家の菅野さま、
美しい展示ケースで刀たちの魅力を十全に引き出して下さった刀箱師の中村さま、
書籍への掲載・宣伝などに大きくご協力くださった刀剣画報さま、
展示にあたりさまざまなご配慮をくださった銀座蔦屋書店のみなさま、
そして物資の手配など様々な場面で仲立ちしてくださった群青財団のみなさま。
そして現地やインターネットで展示を楽しんでくださったみなさま!
本当にありがとうございました。
展示にあたってだいぶやりたい放題やらせていただいたので、それを支えてくださる皆様がいて、たのしんでくださる方々を見て、とてもうれしくなりました。
私の人生が今後もし暗闇に呑まれることがあってもこの記憶があれば道を明るく照らしてくれるような、そんな心地がしています。
『星燈』という名前も思い出もあたたかさも、みんなにもらいました。ありがとうございます。
_人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人_
> じゃけんこれからもどんどん思い出を増やしていこうね!! <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄
日本刀はいいぞ
報告会&反省会の様子がこちら。
チャンネル登録数がすべてではないし、そういう活動をさせていただいてるけども数字が力であることも事実ではあるのでよかったらチャンネル登録もお願いします。かしこ。
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