ドコモ「データ増量おためしキャンペーン」は何を狙うのか?ahamo 40GB増量の本当の目的を考察
ドコモが「データ増量おためしキャンペーン」を発表しました。
ahamoは30GBから40GBへ。ドコモ miniも契約内容に応じてデータ容量が増量されます。しかも料金はそのままで、申し込みも不要です。
利用者から見れば、素直にうれしいニュースです。
私も、データ容量が増えること自体を否定するつもりはありません。
ただ、このニュースを読んだ瞬間、別のことが気になりました。
「ドコモは、何を得るためにこのキャンペーンをやるのだろう?」
数百万人規模の利用者を対象に、一定期間とはいえ追加のデータ容量を提供するには、それなりのコストがかかります。
だから私は、「利用者に喜んでもらうため」という理由だけでは説明がつかないと思いました。
ドコモ「データ増量おためしキャンペーン」でアンケート実施が意味するもの
今回の発表で、私が気になったのは10GB増えたことではありません。
キャンペーン終了後にアンケートを実施すると書かれていたことです。
ここに、この施策の本当の目的が隠れているように感じました。
ドコモは契約者が毎月何GB使っているのかを把握しています。
30GB契約の人が25GB使っているのか。
29GBなのか。
15GBしか使っていないのか。
こうした利用状況は、契約情報や通信量のデータからある程度把握できるはずです。
では、なぜ改めてアンケートまで実施するのでしょうか。
通信量だけなら、すでに持っているデータです。
それでも利用者の声を集めたいということは、「通信量では見えないもの」を知りたいのだと思います。
例えば、
40GBになったことで安心感は変わったのか。
動画を見る時間は増えたのか。
外出先でWi-Fiを探さなくなったのか。
「もう30GBには戻りたくない」と感じたのか。
あるいは、他社へ乗り換えようと思っていた気持ちは変わったのか。
こうした情報は、通信量のログだけでは分かりません。
だからこそ、アンケートを実施する意味があるのかもしれません。
このアンケートこそ今回のキャンペーンで一番価値のあるデータだと思っています。
ドコモ「データ増量おためしキャンペーン」の本当の目的とは
利用者には「データ容量が増えるキャンペーン」と見えていても、企業では一つの施策に複数の目的を持たせることも少なくありません。
例えば、新商品を発売するときも、売上だけではなく、価格に対する反応や購買行動、リピート率など、さまざまなデータを集めています。
通信会社でも、同じような考え方が取られている可能性があります。
今回も「ギガを配ること」そのものが目的ではなく、その結果として利用者がどう変わるのかを知ることに、大きな価値を見いだしているのではないでしょうか。
そう考えると、このキャンペーンは「プレゼント」というよりも、大規模な実証実験のように見えます。
ドコモ「データ増量おためしキャンペーン」から考える4つの狙い【考察】
ここから先は、公開情報ではありません。
発表資料にも書かれていません。
あくまで、通信会社の立場で考えたときに私が思ったことです。
つまり、完全に個人の考察です。
企業の立場で考えてみると、「利用者が喜ぶかどうか」だけでは終わらせません。
「この施策で何が分かるのか。」
「次の料金プランにどう生かせるのか。」
「競合との差は縮まるのか。」
そうした議論が行われていても不思議ではありません。
だから私は、このキャンペーンを見て四つの狙いを考察しました。
その四つとは何か。
ahamo 40GB増量は30GBへ戻れなくするため?【考察①】
最初に思ったのは、これでした。
「40GBに慣れさせること自体が目的なのではないか。」
もちろん、ドコモがそんなことを公表しているわけではありません。
ただ、企業のマーケティングとして考えると、十分にあり得る話です。
例えば、これまで30GBの範囲でやりくりしていた人が40GBになったとします。
最初は「10GB増えたから安心だな」くらいにしか思わないかもしれません。
ところが数か月も経つと、その10GBは少しずつ生活の中に溶け込んでいきます。
外出先でも動画を気兼ねなく見るようになる。
アプリの更新をWi-Fiまで待たなくなる。
テザリングも以前より気軽に使うようになる。
一つひとつは小さな変化でも、それが積み重なると「30GBで生活していた頃の感覚」は少しずつ薄れていきます。
そしてキャンペーンが終わったとき、
「30GBで十分だったはずなのに、なんだか窮屈だ。」
そんな利用者が増えるかもしれません。
これは通信量の話ではありません。
人は一度便利さに慣れると、それが新しい当たり前になる。
こうした心理は、マーケティングでもよく知られている考え方です。
だから私には、「40GBを体験してもらうこと」そのものに意味があるように見えました。
もし実際にそうした利用者が多ければ、「利用者が容量不足を感じ始めるライン」を探る材料になるのかもしれません。
これは次の料金プランを考えるうえで、価値の高いデータになります。
ahamo 40GBは料金改定の布石なのか【考察②】
もう一つ気になったのは、その先のシナリオです。
もし今回のキャンペーンで、
「40GBくらいあると満足度が高い」
という結果が出たら、ドコモはどう考えるでしょうか。
そんな展開も想像してしまいます。
例えば、将来的に
「ahamoを40GBへ変更します。」
という発表があったとします。
利用者にとっては歓迎される話でしょう。
一方で、その後に
「サービス内容の見直しに伴い、料金を改定します。」
という発表が続いたらどうでしょう。
もちろん、現時点でそのような計画があるとは言えません。
これはあくまで私の考察です。
ただ、企業が新しい商品や料金体系を導入するとき、いきなり変更することはあまりありません。
まず市場の反応を見る。
利用者がどこまで受け入れるかを調べる。
そのうえで、本格的な変更を検討する。
こうした進め方は珍しくありません。
そう考えると、今回のキャンペーンは「ギガを増やすこと」が目的ではなく、「40GBという商品価値が市場で受け入れられるのか」を確かめるテストとも読めます。
もし利用者が40GBを当然のように受け入れたなら、その結果は次の料金プランづくりにも生かされるでしょう。
ahamo 40GB増量は楽天モバイル・au・ソフトバンク対抗になるのか【考察③】
私がもう一つ気になったのは、競争環境です。
今の通信業界は、以前よりもずっと競争が激しくなっています。
楽天モバイルは料金面で存在感を高めていますし、auやソフトバンクもプランの見直しを続けています。mineoやUQモバイルなども含め、利用者の選択肢は以前より広がっています。
利用者は以前よりも気軽に乗り換えを検討する時代です。
そんな中でドコモが知りたいことは、意外とシンプルなのではないでしょうか。
「10GB増やしただけで、他社への流出は減るのか。」
もし料金を下げなくても、容量を少し増やすだけで解約率が改善するなら、企業としては非常に効率のいい施策になります。
逆に、容量を増やしても乗り換えが減らないのであれば、利用者は別の理由で通信会社を選んでいることになります。
つまり今回のキャンペーンは、「利用者は何を重視して通信会社を選んでいるのか」を探る実験でもあるように見えます。
容量なのか。
料金なのか。
通信品質なのか。
ブランドなのか。
サポートなのか。
その優先順位が分かれば、今後のサービスや投資の方向性を検討する材料にもなりそうです。
競争が激しい今だからこそ、「10GB」の価値を測っているように見えるのです。
ギガ増量で通信品質への不満は減るのか【考察④】
最後は、少し意地の悪い見方です。
近年、通信品質について利用者から厳しい声が出る場面がありました。
もちろん、通信品質の改善は通信会社にとって最優先の課題です。
一方で、設備投資には時間もお金もかかります。
基地局を増やすにも、エリアを改善するにも、一朝一夕では終わりません。
「データ容量を増やすことで、利用者の満足度はどこまで改善するのかを確かめたいのではないか。」
ということです。
例えば、
「通信速度に少し不満はあるけれど、ギガが増えたから以前ほど気にならなくなった。」
そんな利用者が一定数いるのかもしれません。
あるいは、
「通信品質には不満がある。でも容量も増えたし、もう少し様子を見よう。」
そう考える人がどれくらいいるのか。
もしデータ容量の増量だけで解約率や満足度が改善するのであれば、企業にとって重要な判断材料の一つになるのかもしれません。
ドコモ経営陣は「ギガ増量」ではなく何を見ているのか
私は今回の記事を書きながら、考えていたことがあります。
利用者は、
「10GB増えた。」
「ラッキー。」
という景色を見ています。
では、ドコモの経営陣は何を見ているのでしょうか。
おそらく、見ているものは違います。
例えば、
・キャンペーン期間中の通信量はどれだけ増えたのか。
・動画視聴やテザリングの利用はどれだけ変化したのか。
・キャンペーン対象者の解約率は改善したのか。
・他社へのMNPは減ったのか。
・アンケートで満足度はどう変わったのか。
・40GBを標準にした場合、料金改定を受け入れる利用者はどのくらいいるのか。
こうした指標にも注目している可能性はありそうです。
つまり、利用者は「ギガ」を見ていますが、企業は「行動の変化」を見ています。
今回のキャンペーンで本当に欲しいのは、10GBを使ったという事実ではありません。
10GB増えたことで、人がどう変わったのか。
企業にとっては、そこに価値を見いだしている可能性があります。
ドコモ「10GB増量キャンペーン」は目的ではなく手段なのか
利用者にとって、容量が増えることは歓迎される施策だと思います。
ただ、営利企業が何百万人規模を対象にコストをかける以上、「利用者が喜ぶから」で終わる施策ではないでしょう。
今回ドコモが本当に知りたかったのは、
40GBという容量の評価なのか。
他社への流出を止められるのか。
通信品質への不満をどこまで補えるのか。
それとも、将来の料金プランを見直すための材料なのか。
現時点では分かりません。
しかし、一つだけ言えることがあります。
このキャンペーンの答えは、キャンペーン期間中には分からないということです。
このキャンペーンの本当の意味は、今後の動きで見えてくるのかもしれない
本当の答えは、現時点ではまだ分かりません。
もし今後、ドコモが新しい料金プランを発表したり、40GBが標準容量になったり、料金体系そのものが見直されたりしたとき。
あるいは、今回のアンケート結果を踏まえた新しい施策が公表されたとき。
そのとき初めて、
「あのギガ増量キャンペーンには、こうした狙いもあったのかもしれない。」
と振り返る人もいるかもしれません。
もちろん、今回の考察が当たっているとは限りません。
ただ、一つのキャンペーンを「お得だった」で終わらせるのではなく、その背景にどのような意図があったのかを考えてみることも、企業の戦略を考える面白さの一つだと私は思います。
だから私は、このニュースを単なる「10GB増量」の話としてではなく、企業が何を見ようとしていたのかという視点から考えてみました。
※本記事はNTTドコモが公表した「データ増量おためしキャンペーン」の内容をもとに作成しています。本文中の企業戦略や料金プラン、マーケティングに関する内容は公開情報を踏まえた筆者の考察であり、NTTドコモが公表した内容ではありません。
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