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第三章 8時半から22時まで

本シリーズは特定の企業を批判する目的で書いているものではありません。
むしろ、あの時代に社会へ出た多くの人が
どこかで感じたかもしれない違和感の記録です。
それが個人の問題だったのか、
それとも時代の問題だったのか。
その問いを、冷静に辿っていきます。

シリーズ一作目はこちら:第一章 「あの挨拶」の会社

大まかな一日の流れを書いてみよう。
まず、
朝8時半に業務開始。
いきなり全員で肩を組み、
社訓を大声で暗唱する。
そしてマネージャーが全員を煽り、
仕事が始まる。
この時点での煽りは、
比較的前向きなものが多い。
マネージャー:
「数字取れないわけないよなぁっ!
やるぞ、おらぁっ!」
全員:
「〇すっ(特殊な挨拶)」
こんな感じで、
業務は始まる。
少しでもサボっている様子を見せると、
マネージャーが背後に立ち、
何やら始める(前述の通りである)。
そのため、この段階では、
必死で電話をかけまくり、
アポイントを取ろうとする。


12時ごろ。
昼食の時点で、
エリア全体にアポイントがないとなると、
再びマネージャーの煽りが入る。
この段階の煽りには、
明確に苛立ちが混じり始める。
「アポイントも取れてないのに、
昼飯たぁ、いいご身分だなぁ」
そんな言葉が飛んでくる。
ただ、
この時点では、
まだ悲観的になりすぎることはない。
とにかく頑張って、
「良い顧客」を見つけようと、
努力を続ける。


16時ごろ。
この段階でも、
エリア全体でアポイントが取れていないと、
マネージャーの煽りは、
怒号に変わる。
マネージャー:
「お前ら、
夕方までアポイント取れてないとか、
どういうことだ、ごるぁっ!
無理でも数字取ってこいっ!」
全員:
「(特殊な挨拶)」
そんな怒号が飛び交う合間に、
マネージャー自身も、
上司からの電話を受けている。
「(特殊な挨拶)!
絶対やります!
大丈夫です、(特殊な挨拶)!」
明らかに、
さらに上から煽られていることが、
こちらにも伝わってくる。


20時ごろ。
ここまでエリアで、
まったく数字が上がっていない状態だと、
マネージャーは完全に怒り狂う。
皆、追い詰められ、
無理やりなアポイントを取ったり、
月次の売り上げが上がっていない人間は、
外に出て、
飛び込み営業に行かされたりする。
そして、
「運がよければ」
22時。
ひたすら怒鳴られ散らされた挙句、
ようやく業務が終わる。


冷静に考えて、
毎日売り上げが上がる体制に持っていくのは、
かなり厳しい。
というか、
ほぼ無理である。
そんなわけで、
毎日、朝8時半から22時まで、
ひたすら電話をかけ続ける日々が、
ほぼ毎日続く。
リストについては、
あまり細かなことは言えないが、
下っ端の人間が電話をかける先は、
電話番号と企業名が書かれただけの名簿である。
つまり、
エリア内に存在する電話番号へ、
片っ端から電話をかけていくことになる。
ガチャ切りされることがほとんどなので、
一日に何百件と電話をかけ、
気づいた時には、
エリア全体で何十万件という企業に、
電話をかけていた。

第四章はこちら:第四章 レジェンドが生まれた夜
(公開前の場合があります)


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