1冊の本を書くということ✧♡

「私は、階段を降りて自分の店に入り、勘定台の後ろに座った。客は一人もいなかったよ。まだ夏で学校は休みだし、誰も本であれ何であれ必要としていなかったんだ。そこに腰かけて、棚に並んでいる本を眺めていた私は、私の本のこと、姉が口にした本のこと、私が十代の頃に書こうともくろんだ本のことを思い出した。私は作家になって、本を書きたかったんだよ。それが若い頃の夢でね、姉と私はよくいっしょにそのことを語り合ったものなんだ。彼女は、私の才能を信じていた。私も自信があったんだが、その自信がだんだん薄れて、ついには本を書くという夢そのものをすっかり忘れてしまっていたのさ。
私はまだ五十歳だ。もし煙草と酒を、というかむしろ酒と煙草をやめれば、まだ一冊の本を書けると思うんだ。何冊も書くのは、これは無理だ。しかし、ただ一冊なら、たぶんね。私は確信しているんだよ、リュカ、すべての人間は一冊の本を書くために生まれたのであって、ほかにはどんな目的もないんだ。天才的な本であろうと凡庸な本であろうと、そんなことは大した問題じゃない。けれども、何も書かなければ人は無為に生きたことになる。地上を通り過ぎただけで痕跡を残さずに終わるのだから。」
本を書くということの意味を、この小説に見つけ、衝撃を受けた時、自分はまだ40歳にもなっていなかったと思う。
すべての人間は一冊の本を書くために生まれたのであって、ほかにはどんな目的もないんだ。天才的な本であろうと凡庸な本であろうと、そんなことは大した問題じゃない。

Cウィルスでできた時差出校の時間。朝の時間が30分間多くなった時間に、路子は美術室と準備室の掃除をしていた。その時、コピーした紙がはらり、と目の前に現れた。
これは今日のメッセージだと路子は思う。
自分が昔気になってコピーした紙が突然はらりと現れる。面白い。犯人は自分のはずなのに、違う。父からだ。いや、雨男氏からか?
またはもっと遠くの自分の守護霊からのメッセージ。路子はこの文章を毎日目にできるように、透明な表紙の自分の日記のノートに貼った。
父が読んだであろう本が、いつも書棚に並んでいた。
若きウェルテルの悩み、赤と黒、戦争と平和、たまをあらそう、神曲、古今東西の古典。路子が読んだことのない本ばかりだ。
2020年、コロナウィルスで3月の授業がまるまる無くなった。
次第に時間差登校が始まり、授業が全く無いわけではなかったが、予定していた授業は吹っ飛び、あってもわずかな時間ばかりで、教師には事務仕事を片付けるための自由な時間があった。
仕事で消耗しない体力が有り余っていたのだろう。朝の午前3時頃、目覚めては、毎日小説を書いた。
世界はもう、終わるのではないかという危惧があった。
一冊の本も残さず死ねないという遺伝子スイッチがオンになったのかもしれない。
丁度、八戸のブックセンターで、夏目漱石の「道草」についての講義を聴いたばかりで、その講義の中で夏目漱石に「小説が溢れてとまらない」という状態が訪れたことを知る。
「何?小説が止まらない?」
実は私にも、過去に一度だけ「詩が止まらない」日があった。
スーパーで、「人生まだまだ長ネギ」というポップを見たのがきっかけ、という笑い話のようなスタートを切る。
他の野菜について考え始めたら、妄想が止まらずに、午後5時ごろから次の日の午前2時ごろまで、自分から色々な言葉が湧きだしたのだ。
ノートに懸命に書き留め、詩集を一冊作った。
漱石の体験と自分の体験の不思議なシンクロを感じた私は、毎日、思い浮かんだ話を書き続け、104章の話を書き上げた。それは恐れ多くも漱石大先生の道草の章と同じ数。1章の長さはまちまち。
半分は創作で、半分は私のエッセイで事実。
これを書いて何の意味があるか?とも思ったが、書き終えた時に、物語のオチもつき、自分の人生のエピソードもあらかた書いて、実に清々しい気分になった。
本にはなっていないが、アゴタ・クリストフの言うとおりかも?
人は一冊の本を書くために生まれてきた。
noteにいる人は、多かれ少なかれそのことに対する憧れを持っているに違いない。
それを達成した人、これから達成する人と、いろいろな方々に出会うのがnoteという場の面白さだ。
赤毛のアンで語り合おうという記事を書いて、出会ったmelissaさん。
世の中には本当に赤毛のアンのお茶会を実行してしまう人がいるんだと感心した。
また、ハーブに関わるお仕事をされているmelissaさんは、すでに本を出されていたことを最近、知る。

ハートは銀色の箔押し

すでに、この装丁の穏やかさに、心が持って行かれる。
この本から伝わってくる大切な人に伝えたい大切な物語。
ゆっくり美味しいお茶を飲む時間のように、本の中に入る。

私のヘタな写真がこの本の魅力を半減する。
ほぼ、庭のない家に住んでいるが、あねさまの家の庭は広く、色々な植物が生えている。増えすぎて危険というミントもモフモフして可愛いと生やしてるし、他のハーブもあるかもしれない。
この本は、あねさまなら、実際に活用してくれるかしら?

いろいろなハーブの効用がmelissaさんの体験と共に語られる。それぞれの大切なエピソードに、見知らぬハーブへも親しみが湧く。
ハーブやお茶が好きな人に手にして欲しい本。(ならまち月燈のビル1階のカフェで、melissaさんのお茶が出たりすると嬉しいと妄想中w)
すでに1冊の本を完成してお持ちのmelissaさんを素敵な先輩としてリスペクトします✨
そして、これから、今まさに本を作ろうとしている人もいる。
金子みすゞの詩の朗読の教室や、お芝居の上演を数限りなくしている女優の谷英美さん。
なんのはなしですか通信のアイウエオ順で、運命の出会い( ´艸`)
(あやのん→アローンシアター主宰女優谷英美)
あの世の金子みすゞから白羽の矢が立ったのか、伝記を執筆することになり、執筆しているのに出版社から出せなくなった紆余曲折、この度、クラウドファンディングを立ち上げて、伝記の出版を計画している。
谷さんの活動で特に重要なのが、現在出版されている金子みすゞの詩の表記が原文と違うことを指摘していること、そして金子みすゞ像も、彼女に読み解かれて、新しくなる可能性。
この彼女の一人だけの戦いをなんのはなしですか?界の創始者、コニシ木の子さんや通信を読んでいる方々が応援しているのは、奇跡のような出会いだ。
#なんのはなしですかと、タグをつけただけで始まる大きなエネルギーと出会い。コニシさんの活動は、本当に、創作者を応援する、書くことを諦めさせない、とても尊い活動です。
👇谷さんの活動に興味が湧いた方々、モヒよろ光ったら、
まだ見ぬ彼女の本を応援してくださいませ💖
すごい!支援が、半分を超えてる( ゚Д゚)
私も死ぬまでに自分の本を一冊手にできるかな?
でも、目の前にそれを実現している先輩たちがいるし、なんとなくできるかもと、軽やかに思っておこ✧♡
( ̄m ̄〃)ぷぷっ!
