第2回:【誤算】USBなら何でもいいと思ってた過去の自分を殴りたい。
「最高」の後の、冷めたピザ
ロゴが出た瞬間の全能感。あの時は確かに、俺なら世界を変えられるとすら思った。だが、設定を終えて一通り触りだすと、脳汁でパンパンだった頭が次第に冷えていく。
「……これ、Windows 11とそんなに違うか?」
期待していたのは、指先に吸い付くような超次元のレスポンス。しかし実際は、ブラウザを開くたびにワンテンポ遅れる。爆速というよりは、せいぜい「ちょっと身軽なWindows」程度だ。
「何か設定が違うのか?」
私は必死に調べ直した。ネットの記事には「USB 3.0のポートに刺すこと」とある。
「……いや、わしのLIFEBOOK U9310/D、USB Type-Aの口は青いの(3.0)しかないわい!」
【重要】USB 3.0の「正体」を君は知っているか?
原因を突き詰めるうちに、私は自分の無知を思い知ることになる。インストールした「USBメモリ」そのものが犯人だったのだ。
ここで、当時の私が衝撃を受けた「USBの罠」をしっかり伝えたい。
おそらく一般的に「USB 3.0対応メモリ」として安価に売られているものは、その中身はほぼ100%「フラッシュメモリ」を指している。だが、ここが最大の落とし穴だ。
📊 「通り道」と「中身」は全くの別物
直感的にわかるように、単位を揃えて整理してみた。
種類 最高速度
USB 3.0 約 625 MB/s
フラッシュメモリ 約 100 MB/s
SSD 約 450 〜 500 MB/s
「USB 3.0対応」という言葉は、あくまで「道路(規格)が広いですよ」と言っているだけで、そこを走る「車(中身)」が速いかどうかは別問題なのだ。
私は、せっかくの「10車線道路」に、わざわざ「低速な軽トラ(一般的なUSBメモリ)」を走らせていた。道路がどれだけ広くても、車が遅ければ「もっさり」するのは当たり前だったのである。
約6,000円の「シュッとした」投資と、溢れ出す脳汁
「3.0なら何でもいいと思ってたよ、USB一個分損したじゃん!」
悔しさに唇を噛みながら、私はAmazonで「中身が本物のSSD」である超小型モデルをポチった。
それが、HIKSEMIの極小外付けSSDだ。
お値段、6,OOO円前後。18,499円で買った本体価格の約1/3という、小遣い制の私にはなかなかの投資だが、もはや止まれない。
届いたブツは、まさに「極小」。
ポートに直接挿しても、まるで最初からそこにあったかのような一体感。これなら「MacBookに憧れた自分」の美学も守れる。
真の爆速、そして全能感の再来
このHIKSEMIにChromeOS Flexを焼き直し、再び起動した瞬間――。 「摩擦ゼロ」の世界へ
今度は本物だ。OSの起動、ログイン、ブラウザの立ち上がり。すべてが指先に吸い付く。 「これだ……俺が求めていたのは、この『摩擦ゼロ』の世界なんだ!」 6,000円の投資に対する不安は、一瞬で「最高の買い物」という全能感に書き換えられた。
忍び寄る「Flex」の限界
だが、完璧だと思った世界に、すぐに小さな「影」が差す。 爆速で動くブラウザを見つめていると、心の奥底で別の欲求が首をもたげてきた。 「……これだけ速いなら、Androidアプリも動くんじゃないか? 漫画アプリを入れたり、ゲームもやりたいぞ」
しかし、ここで非情な現実を知る。
「ChromeOS Flexは、Google Playストアが使えない」
「えっ、使えないの……?」 Windows上で公式ツールを使って焼くだけの「ぬるま湯」では、ここまでが限界だった。一度火がついた欲望を鎮めるには、もはや公式の道(Flex)を外れ、さらに深い「魔改造」の世界へ足を踏み入れるしかない。
調べてみると、どうやら「本物のChromebook」の魂を移植する「Brunch(ブランシュ)」というフレームワークなら、その夢が叶うらしい。だが、それにはWindowsを飛び出し、未知のOS「Ubuntu」を操る必要があるという……。
私の挑戦は、ここから一気に「コマンドラインの荒野」へと突入していく。
