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第1回:【衝動】不意に欲しくなった「もう一つのOS」。

〜最初は、ただ「内蔵SSDで爆速のChromeOSを使いたい」という、ささやかな好奇心だった。 それが気づけば、Windows 11、ChromeOS、そしてUbuntuという三つのOSが、一台のノートPC(LIFEBOOK U9310)の中で互いの領土を監視し合う、三頭の魔獣「ケルベロス」を作り上げるまでの魔改造に発展してしまった。

家ではWindows 11、外ではChromeOS。 この使い分けを極限まで追求した結果、私はOSの起動プロセスという深淵を覗き込み、最終的に「完璧に作り上げたはずの城」から自ら締め出されるという、皮肉な結末を迎えることになる。

これは、深夜の静寂の中で「2秒の猶予」を求めて戦い抜いた、一人の男の執念と「とほほ」な教訓の記録である。〜

突然の「アレ」は、深夜にやってくる

皆さんは経験がないだろうか。深夜、ふとフリマアプリを眺めているときに襲ってくる、あの抗いようのない「物欲」という名の悪魔。

今回のターゲットは、ノートPCだ。 正直に言おう。全く、これっぽっちも必要なかった。 今使っている環境で何も困っていないし、仕事が滞っているわけでもない。

でも、あこがれは止められなかった。 カフェの窓際で、スタバのカップの横に鎮座するMacBook。あの薄さ、あの洗練された佇まい。一度そんなイメージが頭にこびりつくと、もうダメだ。

「MacBookは高い。でも、MacBookみたいな『かっこよさ』は手に入れたい」

そんな悪魔の囁きに導かれ、夜な夜な検索窓を叩き続けた。条件は「薄い、軽い、そして小遣いの範囲内で手が届くこと」。

1.8万円で手に入れた「免罪符」

そこで出会ってしまったのが、この一台。 「富士通 LIFEBOOK U9310/D」

  • 第10世代 Core i5

  • フルHD解像度

  • そして驚きの「18,499円(税込)」

「大特価」の赤文字が目に飛び込んできた。これなら小遣いから捻出できる。「これさえ買えば、あの物欲の呪縛から解き放たれるんだ」……そう自分に言い訳をして、私は購入ボタンをタップした。

謎の違和感と「最強の暇つぶし」の定義

届いた相棒は、第10世代CPUにWindows 11 Proという、数年は現役で戦えるスペックだった。 だが、数日使ってみて、あることに気づく。

「……これ、職場で何に使うんだ?」

冷静に考えてみてほしい。仕事の合間の暇つぶしだ。使うのはブラウザ経由のニュースサイト、YouTube、せいぜいSNS。Windows 11のフルパワーが必要な場面なんて、実はどこにもない。 むしろ、Windowsの「重厚感」が、フットワークの重さに繋がっている気がした。

「ネットしか見ないのに、このOSの重厚感……もったいなくないか?」

ひらめきの全能感:ChromeOSという解

その時、脳内に稲妻が走った。
「……ChromeOS、これしかないんじゃないか?」

古いPCを蘇らせる魔法として有名なChromeOS。これをあえて第10世代のi5にぶち込んだらどうなる?

  • 爆速の起動: ブラウザを開くまでの時間は、もはやゼロ秒に近いのでは?

  • バッテリーの奇跡: OS自体が超軽量なら、劣化したバッテリーでも飛躍的に延命できるんじゃないか?

  • 最強の使い分け: 家ではWin、外(仕事場)ではこの超軽量マシンでスマートにネットを回遊する。

「これだ!これこそが、俺が求めていた究極のモバイル環境だ!」 この時の高揚感といったらなかった。買うまでの調べている間が一番楽しいのと一緒で、試すまでの間が一番脳汁が出ている。もはや、世界を攻略するレシピを手に入れた気分だ。

「俺ならできる」感に震えた瞬間

まずは手軽に、USB 3.0メモリに「ChromeOS Flex」をインストールしてみた。 Windowsを残したまま、USBを刺した時だけ現れる「爆速のネット専用機」。

ドキドキしながらUSBを挿し、電源を入れる。 暗闇の中から「ChromeOS」のロゴが浮かび上がった瞬間、ガッツポーズが出た。

「最高じゃねぇか……!やっぱり俺ならできるんだ!」

この全能感、この達成感。これこそがガジェットいじりの醍醐味だ。完璧な第一歩のはずだった。 だが、この「手軽さ」の先に、USBメモリ特有の「もっさり」という名の絶望が待っていることを、この時の私はまだ知らない。



「ただのChromebook」では満足できなかった私が、いかにして異形のトリプルブートへと辿り着いたのか。その全貌を全5回でお届けいたします。

  • 第1回:【衝動】不意に欲しくなった「もう一つのOS」。

    • 最初はただ、ChromeOS Flexで軽快に遊びたかっただけなんだ。それが全ての始まりだった。

  • 第2回:【誤算】USBなら何でもいいと思ってた過去の自分を殴りたい。

    • 通信速度、フラッシュメモリ、SSD……「挿せれば同じ」だなんて、どの口が言ったのか。

  • 第3回:【狂気】USB3本差しの儀式。Brunchインストールは格闘技だ。

    • 公式じゃない道を歩む代償。3本のUSBメモリが織りなす、あまりにも特殊なインストールの記録。

  • 第4回:【政変】誰がこのPCの支配者か? OS起動の主導権争い(クーデター)編。

    • Windows、ChromeOS、そして最後にやってきたUbuntu。玄関の鍵(GRUB)を握るのは一体誰だ?

  • 第5回:【絶望】最短起動0秒の代償。自分のPCなのに、USBがないと入れない。

    • 「完璧な設定」の果てに、自分を締め出してしまった男の末路。2秒の猶予は、愛だったんだ。


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