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第3回:【狂気】USB3本差しの儀式。Brunchインストールは格闘技だ。

冒険者の本能:「その先」が見たい

HIKSEMIのSSDで爆速になったChromeOS Flex。普通ならここで「大勝利」と筆を置くところだ。だが、私は知ってしまった。Flexのさらに先、Androidアプリまで完璧に動作する「Brunch(ブランチ)」という深淵があることを。

「Androidがどうしても必要か?」と問われれば、答えは「否」かもしれない。だが、「そこに更なる高みがある」と言われたら、見に行くのがガジェット好きの性というもの。
「高みがあるなら見に行く。当然だろ!」 そう、これはもはや趣味ではなく、未知への冒険なのだ。

儀式:なぜUSBが3本も必要なのか

Brunchの導入作業は、Windows上のツールで完結したFlexとは次元が違った。本物のChromebookの魂を移植するには、以下の「3つの役者」を揃える必要があったのだ。

  1. 作業の舞台「Ubuntu USB」:Windowsを離れ、Linux環境で作業するためのOS。OSが動いている最中のシステムを書き換えるには、外部からの「バイパス手術」が必要になる。

  2. 移植する魂「Brunchイメージ」:別のUSBに忍ばせた、変換用のシステムデータ。本物のChromebookから抽出したリカバリイメージと、それをPCで動くように変換するBrunch本体をUbuntu上で合体させる必要がある。

  3. 受け入れる器「本命のUSB SSD」:実際にOSをインストールする、あのHIKSEMIだ。

私のLIFEBOOK U9310/DにはUSBハブが噛まされ、3本のUSBが突き刺さった。それはまるで、手術台の患者に何本もの点滴がつながっているような、異様な光景だった。

混乱:コマンドラインの迷宮

スマホでネットの情報を食い入るように見つめながら、慣れないLinuxのコマンドを打ち込んでいく。 「大丈夫、これらは全部USBの中での出来事だ。内蔵ディスクさえ触らなければ、USBを抜けば元に戻れる……」

だが、現実は甘くない。黒い画面に流れる無機質な文字列。 「ドライブのパスは /dev/sdb か? それとも sdc か?」 3本も刺さっているせいで、どれが「魂」でどれが「器」か、一瞬でも判断を誤れば、その瞬間に内蔵SSDのWindowsが消滅するリスクと隣り合わせだ。深夜、ファンの回転音だけが響く部屋で、私は「自ら招いた修羅場」のど真ん中に立っていた。

覚醒:Playストアの輝きと戦友の眼差し

格闘すること数時間。ついに、再起動した画面にAndroidのロゴが浮かび上がった。震える指でGoogleアカウントを入力し、ついにその瞬間が訪れる。

「Playストアが……開いた……!」

お馴染みのアイコンたちが並ぶ画面。YouTubeは爆速、漫画アプリも快適。 USBを抜けばいつものWindows 11、USBを刺せば爆速の最強Chromebook。 本体1.8万円、SSD 0.7万弱。合わせて約2.5万円で手に入れた、最新の高級機を凌駕するレスポンスと万能感。

「完璧だ。俺は、ついにここまで辿り着いたんだ……!」

私は満足気にPCを眺めた。そこには、あの戦いをともにしたSSD USBも喜んでいるようで、誇らしげにこちらを見ていた。

決断:深淵へ向かうための「犠牲」

だが、その平穏は長くは続かなかった。

「深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ」(ニーチェ)

かつて、哲学者ニーチェはそう言った。 最高の性能を手に入れ、勝利の余韻に浸っていた私を、さらなる「高み」が誘惑する。

「……てか、これ、邪魔じゃね?」

せっかくの超軽量モデルであるLIFEBOOKの横から、不格好に突き出したUSB SSD。一度その「物理的なノイズ」が気になりだすと、共闘した戦友(USB)への愛着さえも、理想の追求を妨げる「重荷」へと変わっていく。

私は決断した。この戦友を切り捨て、内蔵SSDという「不可侵の領土」へ、このシステムを直接ねじ込むことを。 それは、必要な犠牲。さらなる高みへ登るための、避けては通れない破壊。

この全能感ゆえの慢心。 これが、次なる「パーティションの深淵」で、本当にWindowsを消し飛ばす入り口だとも知らずに。


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