その『痛い』は勘違いかも!?痛みの正体は"脳のアラーム"神経の誤解を見抜く3つの見方
どうも、足ひれ社長のヨシです!
今日は土曜日、「スタディサタデー」ということで、スポーツ科学のお話を。しかも今日は、私が今まさに痛めている脛(すね)を教材にお届けします(笑)。
実は昨日、選手の練習終わりに5分だけ時間があったので、選手にフィンを借りてプールに入ったんです。
ちょっと泳ぐつもりでした。
でも、ひと蹴りもできませんでした…。
脛の前側(前脛骨筋)が痛すぎて、フィンの重さに足首が持っていかれると激痛。力を入れようとしても入らない…。結局、一回も蹴れずにプールから上がりました。悲しい…。
なぜかというと、先週、ムエタイの練習で、久しぶりにキックありのスパーリングをやって、左の脛を痛めましてね。まあ、ここはキックのカット(防御)の時にどうしても蹴られやすい場所なので仕方ないんです。
さて、ここであなたに質問です。
『痛い!』って、身体が壊れているサインだと思っていませんか?
「痛い=どこか損傷してる・怪我してる」
「痛いところは、それだけダメージを受けてる証拠」
「痛いなら使っちゃダメ」
そう考えるのが普通ですよね?私もずっとそう思っていました。
でも、スポーツ科学を学んでいくと、痛みは"勘違い"で起きることもあると分かってきます。
痛みが勘違いなんて・・・不思議でしょ?あぁ、決して根性論じゃないですよ!(笑)
今日の話は「痛めたら気をつけようね」「痛めないようにちゃんとケアしようね」なんていう、当たり前のつまらない教訓話じゃありません。
『痛みって実はこんなに不思議なメカニズムなんだ!』という驚きの話です。最後まで読めば、あなたはもう、痛みに必要以上に怯えなくなる脳みそを手に入れられます。いってみましょう!
痛みは"ダメージメーター"ではなく、脳が鳴らす「アラーム」
結論から言います。
痛みは、必ずしも身体の損傷量をそのまま映す"メーター"ではありません。脳が「危ないかも」と判断したときに鳴らす"アラーム"です。
痛みとは、"脳が"身体を守るために出す警報のこと。ケガの大きさを正確に測る装置ではないんです。
「え?痛いのに、壊れてないことがあるってこと?」
そうなんです。順番に説明しますね。
想像してみてください。
あなたの家やご近所、学校、職場の火災報知器。
あれって、火事のときに鳴りますよね?
でも、料理でちょっと煙が出ただけでも、鳴ってしまった、誤報だったとかたま〜にニュースだったり、ご近所とかであったこと、聞いたことないですか?
逆に、よく注意喚起されてますが、コンセントの奥で静かにショートしていても、すごい煙が出るまでは鳴らない。気付いたら大火事になってて、どのチャンネルをつけてもその大火事のニュースばっかり、みたいな。
実は、痛みも、これと同じなんです。
火災報知器(脳)は「火事の大きさ」を測っているんじゃない。「これは危ないぞ」というサインを感じ取って鳴っている。だから、ダメージが小さくても大きく鳴ることがあるし、ダメージがあっても鳴らないことがある。
痛みの神経科学の世界では、有名な話があります。
ちょっと想像力豊かな方は、薄目で読んでいただきたいのですが…
工事現場で足に釘を踏み抜いてしまい、激痛で運ばれてきた作業員。
ところがブーツを脱がせてみたら、釘は足の指と指の"隙間"を通っていて、皮膚一枚すら刺さっていなかった、というんです。それでも本人は、本物の激痛に苦しんでいたんです。
逆に、試合中に骨折しているのに、興奮しているうちは気づかず動き続けてしまう選手もいます。
2019年の井上尚弥vsノニト・ドネア戦、2ラウンドにドネアから左フックを受けた井上尚弥選手は、そのラウンド以降、12ラウンド試合終了まで、ドネアが二重に見えていた状態で戦っていたと試合後インタビューで語っていました。
そして後日、それは右眼窩底骨折と鼻骨骨折だったと発表されました…。これこそアドレナリンですね。
痛みの強さと、損傷の大きさは、きれいには一致しない。ここが今日いちばんの驚きポイントです。
なぜ痛みは"損傷の大きさ"とズレるのか
「じゃあ、痛みって気のせいなの?」
そう思いますよね。でも、違います。痛みは100%リアルです。
ただ、痛みは「傷口の中継映像」ではなく、脳がいろんな情報を材料にして"作り出している"信号なんです。
材料になるのは、こんなものです。
実際のその部分の傷み具合
過去に同じ場所をケガした記憶
「またやったらまずい」という不安
疲労や睡眠不足、気分の落ち込み
これらを脳がぜんぶ足し算して、「今どれくらい警報を鳴らすべきか」を決めている。
だから、同じ程度のケガでも、不安が強い日は痛みが強く出るし、夢中になっているときは同じ傷でも痛みが引っ込む。
私の脛でも、まさにこれが起きました。
ムエタイで痛めた直後は、普通にスパーリング継続できてたし、触らなければ激痛はないし、歩けるし、日常で困ることもなかった。だから私も、これは大丈夫なやつだなと、そんなに気にせず過ごしていたんです。
ところが3日前、家でトイレに行こうと立ち上がっただけで、急に痛くなって。そこから、それまでなかった肉離れっぽい痛みに変わったんです。何もしていないのに、です。
椅子から立ち上がる動作で、脛が新しく壊れるわけがありませんよね。でも、脳の「アラームの設定」が切り替わった瞬間に、痛みの出方がガラッと変わった。まさに、痛みが損傷量とズレる典型でした。
なぜ痛みは「勘違い」で強くなるのか
もう一つ、これを知ると世界が変わる仕組みがあります。
痛みを何度も経験すると、脳と神経は「警報の感度」をどんどん上げていくんです。
これを専門的には「感作(かんさ)」と言います。感作とは、神経が過敏になって、小さな刺激でも大きな痛みとして感じてしまう状態のこと。
火災報知器のツマミを、感度MAXまで回してしまったイメージです。ほんの少しの煙で、全力で鳴り続ける。
「そんなの、ただの気にしすぎでしょ?」
そう思いますよね。でも、これは根性やメンタル、気持ちの問題じゃなくて、神経そのものが物理的に変化して起きる現象なんです。つまり、痛みは"誤報"のように強くなることがある、ということ。
これ、私自身が身をもって経験しています。
高校生まではケガらしいケガがなかった私も、練習量が増えてフィンスイミングを始めてから、あちこち痛めるようになりました。腰をケアすれば今度は足首、足首を治せば今度は肩…と、まるでモグラ叩き。
そこで私は、自分の身体を細かく観察する習慣がつきました。これ自体はすごく良かった。おかげで今は、違和感が"痛み"に育つ前に対処できます。
でも、副作用があったんです。
敏感になりすぎて、痛みまで過敏に拾うようになってしまった。ちょっとの違和感でもすぐ整骨院に駆け込むので、先生に「今度はどこ?」と言われるくらい、痛いところ探しをしてましたね(笑)。
本当によろしくない痛みなのか、神経が過敏になって感じているだけの痛みなのか、それともメンタルからきている痛みなのか。ここを見分けられるようになるまで、本当に面倒でしたね。
痛みは「増幅される」し、「勘違い」でも鳴る。これを知らないと、鳴りっぱなしのアラームに一日中ビクビクすることになるんです。
痛みは"敵"じゃなく"情報"。3種類に読み解く
ここまで読むと、こう思うかもしれません。
「じゃあ痛みは無視していいの?」
いいえ、逆です。
無視するのではなく、"読み解く"んです。
痛みが「損傷そのもの」ではなく「脳からの情報」だとわかると、その情報がどの種類かを読めばいい、という発想になります。私は痛みを、動かし方でこう分けています。
想像してみてください。車の警告ランプです。
① 動かしちゃいけない痛み
エンジン警告灯のようなもの。本当に壊れているサインだから、ここで走らせたら悪化する。安静が正解の痛みです。
大学院生の時、福岡での学会の帰りに、まさに私の車がこの状態にも関わらず、住んでいた鹿児島から500kmと走り過ぎたせいで、車から謎の液体が出血のように出てきて、再起不能になったことがあります…(笑)
② 気をつけて動かす痛み
ガソリン残量ランプのようなもの。壊れてはいないけど、無理な使い方をするとぶり返す。範囲を選んで、かばいながら動かす痛みです。
③ 動かさないといけない痛み
サイドブレーキを引いたまま、みたいな状態。固まって可動域が出ないことで痛んでいるので、逆にそのブレーキを外して動かさないと治らない。安静にするほど悪くなるタイプです。
同じ「痛い」でも、正解が真逆になる。だから痛みを鵜呑みにして、「痛い=とにかく安静」と決めつけないことが大事なんです。
もちろん、「痛いなら無理をするな」は大前提。そのうえで、この痛みはどれかな?と一歩引いて眺める。それだけで、痛みは怖い信号から"読める情報"に変わります。
ちなみに今の私の脛は①寄り。だから泳ぐのは我慢して、日常では動きと姿勢に気をつける。筋肉の痛みなので、1週間くらい安静にすればすぐ戻ります。悔しいけど、ここで無理して蹴らないのが正解ですね。
今日はムエタイの練習も、キック無しのボクシングだけにしました。
選手の痛みも、"どの情報か"を読む
私が選手や生徒の「痛い」を聞くとき、見ているのは痛みそのものだけじゃありません。
その痛みが①②③のどれなのか、そしてメンタルがどう混ざっているかまで読みます。
たとえば、「これは痛みを言い訳にして、無意識にやりたくないことを避けているな」というケース(笑)。
逆に、「この子は痛みを我慢しすぎているな」というケースもある。
我慢しすぎる子は、私は止めたい。
でも、本人は練習をやめたくない。
そういうとき私が考えるのは、「じゃあ、痛いところを使わずにできることは何があるか?」です。痛い場所は守りながら、鍛えられる場所は鍛える。
痛みという情報を正しく読めれば、「休む」と「諦める」を切り分けられる。これが指導者としての仕事のひとつだと思っています。
まとめ:痛みに怯えなくていい
長くなったので、今日のポイントを3つに。
痛みは損傷量のメーターではなく、脳が「危ないかも」と鳴らすアラームである。だから、痛みの強さとケガの大きさは一致しない。
神経は繰り返し痛むと過敏になり、小さな刺激でも大きく痛む(感作)。痛みは"勘違い"のように増幅することがある。
だから痛みは鵜呑みにせず、「動かしちゃいけない・気をつけて動かす・動かさないといけない」のどれかを読み解く。「痛いなら無理をするな」を大前提に、正体を見極めればいい。
痛みを「敵」だと思うと、ただ怖いだけの信号になります。
でも、「これは脳が私を守ろうとして鳴らしているアラームで、ときどき鳴りすぎるんだな」と捉え直せると、痛みは"読み解く対象"に変わる。
そうなれば、必要以上に怯えることも、無謀に我慢することもなくなります。あなたの痛みも、きっと味方にできますよ。
さて、私も脛のアラームが鳴りやんだら、早くフィンを蹴りたいところです(笑)。
ということで、今回もここまで読んでくれてありがとうございました。
この内容、良かった!勉強になった!と思っていただけたら「スキ❤️」と「フォロー✅」、「シェア♻️」、「チップ💙」で応援していただければ嬉しいです...!
また、「自分のあの痛みはどのタイプだろう?」と気になったことや、「こんな痛みはどうなの?」という質問があれば、ぜひ「コメント欄」に入力して教えてください!
それではまた次回お会いしましょう!
またね〜
フィンスイミングスペシャリスト
足ひれ社長 関野 義秀

☆あわせて読みたい👇
📗関連マガジン📗
