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施設入所は「親に申し訳ない」と感じているご家族様へ

「施設に入れるなんて、親に申し訳ない」

介護をされているご家族から、何度も聞いてきた言葉です。その気持ちはとても自然なことで、それだけご本人のことを大切に思っている証拠だと思っています。

ただ、現場で長く見てきて感じることがあります。罪悪感を抱えたまま無理を続けることが、必ずしもご本人にとって良い結果につながるわけではない、ということです。この記事では、そのことを少しだけ整理させてください。


「施設=親に悪いこと」は本当でしょうか

施設に入れることへの罪悪感の根っこには、「施設=可哀想な場所」というイメージがあることが多いように思います。でも、それは本当にそうでしょうか。

ご本人にとって何が一番良いかは、実際に生活が始まってみないと分からないことがあります。現場で見てきた中で、施設入所後にご本人が明らかに元気になったケースは少なくありません。

実際の現場から。私が関わったケースをご紹介します。


クリスマス会で見せた、お母様の笑顔

施設入所に強い罪悪感を抱えていた娘さんがいました。在宅介護はすでに限界を迎えており、共倒れの危険があったため、ケアマネや相談員が説得に近い形でお母様の施設入所をお願いしました。

入所後も娘さんは毎日面会に来られていました。ちょうどクリスマス会の日に面会に来られた娘さんは、そのままイベントを見学することになりました。

そこで娘さんが見たのは、楽しそうに歌を歌い、プレゼントをもらって笑顔になっているお母様の姿でした。娘さんは涙を流しながら、「家にいる時はこんな表情、見られなかった。ここに入れて本当に良かったです」とおっしゃっていました。

施設に入れることが「親に悪いこと」と感じるご家族は多いです。でも、娘さんが限界で倒れてしまうことが、きっとお母様にとって一番悲しいことだったのではないかと思っています。


限界を超えてから動いた結果、選択肢がなくなったケース

一方で、罪悪感から施設入所を避け続けた結果、取り返しのつかない状況になってしまったケースもあります。

「施設には絶対入れない」と在宅介護を続けていた娘さんが、やがてうつ状態になってしまいました。突然介護を続けることが難しくなり、お母様は緊急的に施設入所となりました。

施設を見学したり、じっくり選んだりする余裕はまったくありませんでした。「すぐに入れる施設」に入所するしかない状況になってしまったのです。

余裕があるうちに動いていれば、もっと選択肢があったはずです。罪悪感から決断を先延ばしにすることが、結果としてご本人にとっても良くない状況を生むことがあります。


施設に入ってから、みるみる元気になったお母様

独居のお母様が認知症とうつ症状のような状態になってしまったケースです。娘さんは毎日食事を作って届けていましたが、「食べた」とおっしゃるものの、ほとんど手がつけられていない状態が続いていました。

みるみる栄養状態が悪化し、痩せていくお母様を見て、ケアマネも施設入所を勧めました。

入所当初は拒否もありましたが、規則正しい生活リズムの中で過ごすうちに、3食しっかり召し上がるようになりました。1か月もすると顔色が良くなり、笑顔が増え、生活に活気が戻っていました。

娘さんは「施設に対して少し抵抗があったけど、こんなに元気そうなお母さんを見られて、もっと早くお願いしていればよかった」とおっしゃっていました。


罪悪感を持つことは、悪いことではない

施設入所に罪悪感を感じること自体は、決して悪いことではありません。それだけご本人のことを大切に思っているからこそ、生まれる感情だと思います。

ただ、罪悪感にとらわれすぎて、ご自身が限界を超えてしまうことには気をつけてほしいのです。

ご家族が心身ともに健康でいることが、ご本人の安心にもつながります。「施設に入れること=手を放すこと」ではありません。場所が変わっても、ご家族がそばにいようとする気持ちは変わらないはずです。


最後に

施設入所を選ぶことは、逃げではありません。ご本人にとって、より良い環境を選ぶための、大切な決断のひとつだと思っています。

迷っている方は、まずケアマネや施設の相談員に話を聞いてみてください。見学だけでも、施設に対するイメージが変わることがあります。

ご本人のために何ができるかを考え続けている、その気持ちは、きっとご本人にも届いていると思います。


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