映画鑑賞の「ちょうどいい」を見つける。名画座を巡って
最近名画座に足を運ぶことが増えた。映画自体が好きなので町中の新しいシネコンにももちろん行く。国内で未公開の作品の封切りを大きなスクリーンで楽しむ雰囲気も決して嫌いではない。それでもなお名画座に足を運ぶのには色んな理由がある。

視聴環境の変化
ここ5年ほどで映画館の鑑賞料金は上昇傾向にあり、今後も上がるかもしれない。原因は複数あり、サブスクの動画配信の台頭やコロナ禍と最近は円安の影響などで作品や販売用の原材料の仕入れも経営を圧迫する要因となっているとか。以下は、ここ20年ほどの一般鑑賞料金の推移。
1993年:一般(大人)料金が1800円に
2014年:消費税率改定に伴う値上げはなし
2019年以降:一部の映画館で一般料金が1900円に値上げ
2023年:一般料金が2000円になる映画館も現れる
2023年6月:TOHOシネマズで一部料金改定
体感としてもあっという間に2000円に到達し、最近では2000円を超える席もある。サービスデーを利用する方法もあるが、予定や何より自分の気分に合うとは限らない事も多い。映画鑑賞はもっと気軽な娯楽であってほしいのだ。
そんな時に名画座はとてもありがたい存在となっている。自分がよく行く名画座では新作も通常の一般料金で公開されるが、少し前に公開された作品や名作を独自の料金体系で比較的低価格で見ることが出来る。大型のシネコンだと人気のある作品は長期間にわたり放映されるが、そうでもないと早朝や夜などの時間帯に上映時間が追いやられ、すぐに打ち切りとなる。
その点名画座では月ごとのスケジュールが決まっていて、比較的ゆったりとしている。人気がないから他の作品や時間帯へとどんどん移る気ぜわしい感じがなく観たい作品を出かけやすい時間帯にいわばゴールデンタイムに観る事が出来るのはうれしい。
館独自の工夫と魅力
名画座はスクリーンは小さ目だったり建物ふくむ設備も最新のものでは無いが、それを他にはない味として生かしDIY的な工夫を凝らしてシネコンとはちがう独自の雰囲気を作りだしている。

書棚にはキネマ旬報のバックナンバー


先日初めて行った横浜の名画座ジャック&ベティでは、レトロな世界感を打ち出していて、売店の飲物もガラス瓶のコカ・コーラが用意されていたりと徹底しているし、たまに行くキネカ大森では、ロビーで映画関連の書籍を閲覧出来たりスタッフ手作りのボードで映画の紹介を
掲示していたり、上映前後にも嬉しい工夫が散りばめられている。
そんな魅力溢れる名画座が都内には点在していたがいくつかは残念ながら閉業していった所も多い。岩波ホールや三軒茶屋中央劇場など、いつかまた行こうと思っていた。でも行かなかった。またいつかと思って実際にはそうせず、お金も時間も使わずにいればその場所はなくなっても文句は言えないし、無くした事を存分に悲しむ事もできない。だってその場所に行く時間を割かなかったのは自分なのだから。
だから自分が町にあってほしいお店や場所にはなるべく足を運びお金や時間を使う事をしていけたらいいな、と最近は思っています。きっと東京以外にも色んな魅力的な映画館がある筈なのでそんな事をテーマにした旅も面白いかもしれません。

92年のバックナンバーでした

