額に入った夕暮れ【毎週ショートショートnote】
「いや! 夜になんかなりたくない!」
夕暮れが金切り声で叫ぶ。
「見てよ、空も地も海も朱に染まって、沈む間際の太陽が金色に輝いて……誰もがため息つくほど美しいのよ、私は! なのにどうしてカラスみたいな真っ黒けの夜にならなきゃいけないの!?」
「じゃあ、絵になるかい? 絵になって額に入れば、永遠に君の美しさをとどめることができるよ」
「ほんと!?」
夜の言葉に、夕暮れは喜んで額の中へ入った。
***
「ああ、疲れた。ちょっと休みたいんだけど……ねえ。ねえってば! 誰かいないの!?」
だがその声が額の外へ洩れることはない。
「この絵、だいぶ色褪せてるね」
「ずっと日があたってたのかな」
目の前の客の言葉が癪に障る。
「何よ、失礼ね……やだ! 肌が黄ばんでカサカサ! ずっと休んでないから……ねえ、誰か! 誰か代わって!」
夕暮れの苦悶の表情を、夜が外からじっと見つめていた。
「誰も来ないさ。君は永遠に額の中へ閉じ込められていればいい。君がいなくても一日は過ぎていくんだ」
静かに呟く夜の声も、もちろん額の中へは届かない。
あたりはだんだんと暗くなっていった。
(461字)
【あとがき】
皆さま、ご無沙汰しております。
創作大賞2025の応募準備で、しばらく道場をお休みしておりました。
他にも樺島ざくろさんと新しい企画を始めたり、小さなお仕事を始めたり、夫が入院したり(→軽い処置入院です。もうすっかり元気です)と、いろいろ落ち着かない日々を過ごしておりますが、一生懸命やることがあるのはありがたいなと思っています。
これからまたゆるゆると、毎ショにも参加していきます!
よろしくお願いいたします!
*初期版で、ざくろさんのお名前に敬称がついておりませんでした!
申し訳ございません!!
*この記事は、以下の企画に参加しております。
*よかったら、こちらも覗いてくださいませ~。
【ユニット『さじかげん』往復書簡】
【創作大賞2025応募作品『栗と牡丹』】
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