「理想のリハビリ」を追いかけて――理学療法士M君の開業 その軌跡
今回はこの記事から 派生した内容となります
▼制度の隙間から見上げる火影――ある当事者のリハビリへの言葉から
要約
「180日の壁」という絶望: 脳卒中発症から180日を過ぎるとリハビリが打ち切られる現状。しかし、身体の可能性はそこでは終わりません。「回復しない」という教育に、私は静かな違和感を覚えます。
自費リハビリの光と影: 公的リハビリを失った「リハビリ難民」を救う自費施設。しかし、高額な費用や経営優先の姿勢など、当事者が安心して通える場所はまだ少ないのが現実です。
理学療法士の「開業権」: 医師の指示なしに「治療」ができない制度の縛り。協会のスタンスや職域の壁に悩みながらも、もっと自由に患者さんに寄り添いたいと願う療法士たちの葛藤。
クリニックという新たな戦場: 経営上のリスクを抱えながらも、患者さん一人ひとりと40分間じっくり向き合う今の職場。「薄利多売」ではない、魂を込めたリハビリを提供するために、私は今日、第一歩を踏み出しました。
この 記事を書いていて
下書きの段階で
「開業権」の部分で
M君について 書いていたのです
開業権が無いために
実際に 開業したM君は
苦しみます
病院が変わっていく中で――M君の出発と 静かな別れ
M君は 金沢大学で 理学療法士の免許を取得しました
新潟に 養成校が 乱立する中
金沢大学で 学んだということは
自分の人生を つまらないものにはしたくはない
そういう 気持ちがあったのかもしれません
もちろん
頭のいい人でした
優秀な 理学療法士でした
M君は わたしたちと同じく
ボバースコンセプト という 考え方で
脳卒中の患者さんの リハビリを行っていました
すぐに 仕事にも慣れ
患者さんからも 好評を得ていました
しかし
その病院の リハビリ部の管理者が変わりました
わたしたちに
ある「選択」が
突き付けられました
「その治療スタイルを継続するか?
辞めるか?」
わたしは
深い 悩みと 悲しみと 悔しさ
そして 不安感を抱いて
辞めました
その後 ほどなく
多くの仲間や上司が
その病院を 去りました
M君も そのひとりでした
…
わたしたちが 働き 学んだ
その病院は
かつては
「新潟で 脳卒中のリハビリと言ったら
まずは あそこ」
と いわれ
リハビリスタッフの求人を出せば
県外からも応募がくるような
病院でしたが
現在は
エビデンス という
「言い訳」を 垂れ流しながら
患者さんの 目 を 見ず
体を マシンや 装具で
がちがち と 固めて
歩かせるだけ の
病院 と なり果てました
▲そのことに触れた 以前の記事です
「自分の施術」を求めて――M君の「開業」
その病院を辞めた M君も
悩んでいたと思います
病院 という 組織に
絶望したのかもしれません
医療現場の リハビリ
その 時代の流れ にも
絶望したのかもしれません
彼は 開業します
「理学療法士として 開業する」
ことは できません
「整体師」を
自称 し
開業を します
リハビリ職としての プライドがあった
M君ならば
「病院の第一線でリハビリをしてきた自分」
と
「無免許で開業している 整体師」
とを
同列に置くことに
抵抗があったかも しれません
しかし
彼は 整体師として
開業しました
彼の リハビリの腕前は
病院の患者さん方には
好評でした
『この 腕前があれば
評判が 評判を呼んで
お客さんが集まる』
そう 思っていたかも
しれません
その自負心の現われなのでしょうか
彼の 店舗は
もはや 人通りが なくなってしまった
かつての 繁華街
新潟市の
古町
という 場所でした
減る「お客様の顔」――延長される「特別料金」
開店前の段階から
彼は お店の様子を
SNS で 公開していました
わたしは 直接彼と
メッセージのやり取りは
しませんでしたが
彼を フォローしていました
お客さんを 施術した「喜び」
そして その「劇的な効果」
が
公開されていました
あるときは
ある 著名人を 施術したことなどが
公開されてもいました
当初は
順調そう
に みえました
しかし
徐々に
お客さんの 生の様子が
みられなく なりました
イベントに 参加する
予告
イベントを おこなう
予告
そういう
予告
だけが
増えていきました
当時 別の病院で働いていた わたしは
それを 少し 痛々しい 想いで
読んでいました
発信内容は その後
自分が どれだけ
「専門知識」
「治療経験」
を有しているか を
アピール
するように なりました
「脳卒中の患者さん」
を 専門とする
と 整体院の方針を
突然変化させ
病院時代の
患者さんをリハビリをした経験
や
脳卒中の方向けの
自主トレ方法 などを
公開するように
なりました
その後
しばらく
沈黙
がありました
そして
久々の 投稿内容は
施術料金が
「イベント記念価格」
に なったこと
について でした
しばらくすると
「好評につき」
といって
その 値下げされた値段が
延長
延長
延長
されて
いきました
『あぁ あぶないのかな?』
と 懸念しておりました
その後は
内容が さらに 混乱していきました
「店舗に
『風の谷のナウシカ』全巻を そろえました
漫画 ほかにも あります
読み放題ですので 是非 お立ち寄りください」
なんていう 内容も
ありましたね…
そんな ある日
お店を 畳むことを
告知していました
彼の すばらしいところは
「わたしの 施術で
喜んでくださった
お客様方に
申し訳ない」
と 記していたこと です
そして
閉店したという
がらんとした 店舗の写真を
公開し
しばらくたって
アカウントは
消えました
治療先を選ぶ心――M君に到達するまでの道
M君の この開業を
わたしは 失敗だとは 考えません
マーケティング
の 必要性について
彼は 学んだのだと 考えます
自分の体が 不調を訴えているとき
あなたは どこに
相談されますか?
一回 治療を始めたら
しばらく 通うかも しれませんよね?
となれば
料金は 安い方が 善い
でも
いいかげんな 治療は 受けたくない
病院に 行こうか?
いろいろな病院の
口コミ や
知り合いの 意見を聞く
良ければ 行くが
そういう病院ほど
混雑 していることは
覚悟 しなければならない
だからといって
評判の悪いところへ行く 勇気は
なかなか 持てない
医療保険が使える 整骨院
そこなら 金銭的な負担が 少ない
調べてみたら
口コミの 評価も
良いようだ
では まずは
ためしに
そこに 行ってみよう
…
だいたい そんな 感じでは
ありませんか?
あ 受診を検討する前に
近くのドラッグストアで
湿布 や 痛み止めの薬を 購入して
それで 我慢
それで 様子をみる
かも
しれませんね?
これは 一例でしかありませんが
こんな風に 考えれば
なかなか M君の 整体院に
足を運ぶことは
患者さんにとって
とても ハードルが高いことだと
わかります
施術料6,300円――価値を決めるもの
彼の施術料は 何千円でしたでしょうか?
覚えておりませんが
たとえば
新潟時代の わたしの 施術料は
60分(実質90分) で
6,300円 でした
この金額
どう 感じられますか?
新潟での 自費での施術料金としては
平均 ですが
実際は 新潟では
「高い」
と 感じられる方が
ほとんどだと 想います
新潟の 県民性かもしれませんが
「がまん」
されるのです
自分の体に お金を使うことを
「もったいない」
と
思われる方が
一定数おられる 印象です
わたしの お客様は
みなさん 紹介で
わたしを 知っていただきました
みなさん
医療機関や 治療院で
さまざまな 治療をしても
改善されず
困り果てて
わたしに 相談されたのでした
6,300円
「これなら 安い」
と 言っていただた方も
おられました
高い か 安い か
それは
そこにいたる お客様の
ご経験で
変化します
経済的な余裕が
一番の理由 では ない
と 考えます
満車の整骨院――M君の眼差しを想う
当時の M君には
施術の腕前も
店舗を経営する 知識も
まったく 足りていませんでした
医療保険が使える
整骨院の 駐車場が
満車になっている光景を
当時の M君は
どんな 想いで 見たことでしょう…
…
実は その後
わたしは M君と
一度だけ
再会しました
彼はその後
脳卒中リハビリビジネスの
草分け的な 会社に入社していました
「たくわえが ゼロ になっただけです
金銭的な ダメージは軽微ですよ
それよりも いい経験ができました」
M君は そう言って
はにかみながら 笑っていました
その後 その会社も 辞めたようですが
その後の 足あとは
もう わかりません
医療保険が使える――それで「治療」はできるのか
こうお話してくると
「リハビリ職にも 開業権を!」
と わたしは 主張しそうですよね
でも
わたしは 実は
慎重
な 立場です
「医療保険の 不正請求」
この 問題が
解決されていません
医療機関 や 接骨院 などが
実際には行っていない 診療 や 処置 を
行ったように
偽って
健康保険組合などに
診療報酬を請求する行為
「文句を言わなそうな 患者をピックアップ」して
割り増しした 請求をする
全てで行われている ことではないですが
長期間 なくならない 問題です
リハビリの仲間が
これを 犯すリスクが なくならないことを
わたしは 危惧します
また
金銭的な負担が 少ないこと自体にも
問題が あります
「どうせ 安いし」
と 思った患者さんが
治療・施術を受けるとき
文字通り
「完全な受け身」
と なることです
治療は
治療者と患者さんとが
共に 行わないと
成立しません
治療費が 安いことが
その 受け身 を
守り続けてしまっている
そういう 一面も
あると
わたしは 考えます
結び――M君のチャレンジを想って
M君は 今は どこで なにを
しているのか
もう わかりません
でも M君のことです
理学療法士 という 資格
そして 豊かな 経験
が あります
どこかで
元気に
チャレンジしているのだろうと
想います
いえ
確信しています
ということで
今日は M君のことを
お話してみました
ここまで おつきあいくださり
ありがとうございました
どうぞ 今日という日が
あなたにとって
善い
いちにちと
なりますように…

UnsplashのJake Melaraが撮影した写真のJake Melaraが撮影したイラスト素材
