AI信仰があなたの財布を焼き尽くす
SBGの黒字は帳簿だけだって知ってた? なぜ現金が減ってるか、説明できますか?
~ 3.89%の株価上昇は、AIバブルの露呈だった ~

2025年5月14日、ソフトバンクグループ(SBG)の株価は、決算発表を受けて3.89%上昇した。だがその『好反応』に浮かれているのは、決算の数字を精読していない者たちだけだろう。
『4年ぶりの黒字転換』という見出しは、確かに派手だった。
だがその実態は、焼け太り同然の帳簿上のマジックと『AIがすべてを救う』という信仰にも似た物語に支えられているだけだ。
SBGの黒字は、現金を生んだ結果ではない。
寧ろ手元資金は減っている。それでもなお、『黒字だから安心』と思ったのなら、あなたもすでに『AIカルト経済』の信者なのかも知れない。
数字を見れば、この株価上昇がいかに空虚で、危うい幻想の上に成り立っているかは一目瞭然である。
黒字の正体は『都合よく膨れた幻影』
SBGが記録した純利益の大半は、保有株の評価益と為替差益。
つまり、実際に稼いだわけではない。帳簿の数字が膨らんだだけの『紙上の錬金術』だ。
後藤CFOも『企業価値そのものではない』と述べており、自らマジックの種明かしをしている始末だ。
評価益の牽引役となったのは、ByteDanceやTモバイル、ドイツテレコムなど他人の成績表。SBGの本業は蚊帳の外だ。
ビジョンファンド:一部の勝ちで全体の泥を隠す
SVFは3876億円の黒字とされているが、それも一部の投資先だけが跳ねただけ。WeWorkを筆頭に、傷んだ案件はまだまだ山積みだ。
『回復』と言えるほどの地力はどこにもなく、マーケットが風向きを変えれば、次の決算ではまた評価損の山が築かれるだろう。
LTV急上昇という『首に巻かれたレバレッジの縄』
LTV(Loan to Value)は、前期8%台から今期18%前後へと急騰。理由は明白。OpenAIへの巨額出資と株式価値の目減り。
担保に差し出されるのはArm株。
つまり、もしもAI熱が冷めてArm株が落ちれば、SBGはマージンコールで資金を吸い取られる危険を孕んでいる。資産を売らずに借金を重ねる構造は、まさにサーカスの曲芸。
『AI』という麻薬に酔った投資戦略
OpenAIに4~5兆円、Ampere買収、スターゲート計画……、孫正義は再び『神話の語り部』として舞台に立った。だが、その全てが『未実現』どころか、『未確認』の領域だ。
OpenAIは営利化の道筋が不透明で、Ampereは競争の激しい半導体業界で確かな地位を築いているわけでもない。スターゲート計画に至っては、名前だけがひとり歩きしている状態で、未来はいつもプレゼンの中でだけ輝いている。
自転車操業の資金繰り
2025年、SBGは1.3兆円のArm株支払いなど大型支出に備え、個人向け社債で6000億円を調達。だがこれは、単なる『借金の借り換え』
『AIバブル』という花火大会
SBG株が3.89%上がったのは、企業価値が上がったからではない。
誰かが夢を買ったからだ。
Arm、OpenAI、PayPay……。未来を連想させるワードを並べれば株価は動く。だが、それらの『夢物語』がいつ実現するのか、そもそも実現するのかは誰にも分からない。
その熱狂の火薬庫に火をつけたのは、評価益という使い古された導火線だ。
その株価は『未来』ではなく『幻想』
SBGが提示したのは、事業の成長ではなく、AIの夢と評価益の幻影だった。財務は危うく、リスクは積み上がっている。
この株に投資するということは、未来が都合よく実現するという一点に賭けることだ。だがそれは、過去の『アリババ神話』や『WeWork信仰』と何が違うのか。
いまの株価は、冷静な評価の結果ではない。それはAIバブルの中で最も燃え易い『夢物語』という燃料に着火しただけの話だ。
慎重な投資家は、そっと火薬庫から距離を取るべきだ。
武智倫太郎(週刊バブルウォッチ編集長)

