御用学者列伝:杉山大志(続編)
杉山大志(1969年生)は、日本のエネルギー・環境分野の研究者であり、キヤノングローバル戦略研究所の研究主幹や、慶應義塾大学大学院の特任教授などを務めています。
彼は1991年に東京大学理学部物理学科を卒業後、1993年に東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻を修了し、電力中央研究所に入所しました。
国際的な基準で見れば、博士号を取得していない彼が気候変動分野の学術会議に参加しようとすれば、通常は厳しい評価を受けるはずです。しかし、1995年から1997年にかけてオーストリアの国際応用システム解析研究所(IIASA)で研究員としてキャリアを積み、2017年にキヤノングローバル戦略研究所の上席研究員、2019年からは現職に至っています。
研究実績と評価
SNSを中心とした学術プラットフォームResearchGateを確認すると、杉山氏の論文実績が極めて少ないことがわかります。
この程度の研究歴で『環境問題の専門家』を名乗ることに対し、疑問を呈する見方もあります。ただし、言論の自由が保障されている国では、たとえグレタ・トゥーンベリのような高校生であっても地球環境問題について意見を述べることは可能です。その意味では、杉山氏も自由な発言を許される立場にあると言えるでしょう。
実際に彼が寄稿している媒体は、キヤノングローバル戦略研究所のホームページのほか、『アゴラ』や『JBpress』、『WiLL』など、主に一般読者向けの雑誌やウェブメディアが中心です。こうした点からも、杉山氏の主張は学術的な評価よりも、一般向けの言説として発信されていることが伺えます。
さらに、彼は2004年から気候変動に関する政府間パネル(IPCC) の評価報告書の執筆者として名を連ねていますが、日本の専門家の国際的な発言力の低さが問題視され、日本が環境問題で不利な立場に置かれているとの指摘もあります。
日本の環境政策への影響
このように、国際的な評価を十分に得ているとは言いがたい研究者が、日本政府や企業の政策に影響を与えている現状があります。その結果、彼の見識に基づいた解説が基盤となることで、日本のエネルギー政策が不利な方向に導かれる懸念が指摘されています。
例えば、電気自動車(EV)の推進や、AIの消費電力問題など、今後のエネルギー政策において重要な議論が、誤った方向へ誘導される可能性があります。
杉山氏の最新レポートに関する指摘
杉山氏の最新のレポートを拝見すると、論理性に欠け、自説に都合の良い部分のみを抜き出し、他者の論文の一部を日本語に翻訳しているだけであることが明らかです。
このような行為は、研究者としての資質に大きな問題があることを示しており、SNS上で素人同士が根拠の乏しい議論を交わしているのと同レベルと言えます。とても職業として執筆された文章とは思えず、その信頼性には疑問が残ります。
葛西さんが発見した杉山氏が引用している論文の誤り
DeepSeekが起こすエネルギー問題: 効率の良いAIはより多くの電力需要を意味する – NPO法人 国際環境経済研究所|International Environment and Economy Institute
GPU会社の株安は分かるが、電力会社の株安は論理的ではない、と。
引用元の文献
指摘すべき誤り
1.DeepSeekの効率向上が必ずしも電力消費の削減につながるとは限らない
・効率化が進んだからといって、『AIが電力を大量に消費する』という一般的な認識を覆す証拠にはなりません。
・DeepSeekがAIの計算効率を向上させたことは事実かもしれませんが、それがAI全体の電力消費量の大幅な削減を意味するとは限りません。
・AIの利用が急増すれば、需要の増加が効率向上を上回ることがあるため、結果的に電力消費が増加する可能性があります。
2.ジェボンズのパラドックス(Jevons Paradox)の適用に関する問題
・『エネルギー効率が向上すると、全体のエネルギー消費も増える』というジェボンズのパラドックスをAIに適用していますが、このパラドックスが常に当てはまるとは限りません。
・IT分野では、クラウドコンピューティングや仮想化技術の導入によるデータセンターの統合により、効率化がリソースの最適化や消費の抑制につながるケースもあります。
3.パンアメリカン航空とボーイング707の例はAIと同じ状況ではない
・航空輸送業界の成長は『市場の拡大』が主な要因であり、燃費改善が直接的なトリガーとなったわけではありません。
・AIの電力消費と航空業界の成長を直接比較するのは適切ではありません。
4.クラウド技術の進歩を輸送コストと比較するのは不適切
・クラウド技術の進歩がAIのエネルギー消費の増減にどのように寄与するのか、具体的な説明が欠けています。
5.AIの電力消費は用途によって異なる
・AIを活用したデータセンターの最適化(GoogleのAIによる冷却システムの省エネ化)。
・AIの導入が進むことが『必ずしも電力消費の増加につながる』とは限りません。
結論
杉山氏の主張は『AIの効率向上は電力消費削減にはつながらない』という点を過度に強調しており、市場成長、エネルギー最適化技術、クラウド技術の影響など、他の重要な要因を考慮していない点に問題があります。そのため、AIのエネルギー消費に関する議論を行う際には、より包括的な視点からの分析が求められます。
武智倫太郎
