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【2026年版】写真1枚でしゃべるAI動画|EC運営者の作り方と使いどころ

こんにちは。ネットショップを一人で切り盛りしている店主です。

「スタッフ紹介の動画を作りたいけど、顔出しも撮影も気が重い」——そう思ったことはありませんか。

実は今、顔写真1枚とセリフの文章さえあれば、AIが「しゃべるアニメ動画」を作ってくれる時代になりました。撮影も動画編集ソフトも不要。書くのは「指示文(プロンプト)」だけです。

私も実際に、架空の雑貨店を題材にして1本作ってみました。この記事ではその手順をそのまま公開します。プロンプトは全文コピーして使える形で載せているので、読み終える頃には自分の店の動画も作れるはずです。
できあがったのがこちらです。15秒・音声つき。撮影も動画編集ソフトも使っていません。

※ 記事内に出てくる店名・人物・ロゴはすべて架空のものです。実在の店舗・人物とは関係ありません。

ただし先に言っておきます。この技術、商品ページにはまだ向きません。どこで使えてどこで使えないのか——現役の店主としての正直な結論も、記事の最後にまとめました。

なお「量産」の話は以前の記事1素材→何十通りに|自己完結型FDE×生成AIのEC動画術で書いたので、今回は「まず1本、どう作るか」だけに絞ります。



📌 この記事でわかること

  • 顔写真1枚から「しゃべるアニメ動画」を作る全手順(コピペ可能なプロンプトつき)

  • Seedance 2.5とMiniMax H3の違いと使い分け

  • 公式ガイドが書いていること/書いていないこと

  • AIが日本語の文字を崩す仕組みと回避策

  • 顔写真をクラウドAIに送るときのセキュリティと法律の注意点

  • 結局、ネットショップで使えるのか——現役店主としての正直な結論


「しゃべるアニメ動画」とは何か

しゃべるアニメ動画とは、1枚の顔写真をAIでイラスト風に変換し、そこにセリフの声を重ねて口を動かして見せる、生成AI動画の一種です。 「AIアバター動画」と呼ばれることもあります。

2026年に入り、Seedance 2.5やMiniMax H3のように、画像・音声・動画をまとめて生成できるAIモデルが登場しました。撮影機材も編集スキルもなしに、写真1枚と文章だけで作れます。ただし本人の声を録音しているわけではなく、AIが生成した音声と口の動きを重ねている仕組みです。

早ければ10分ほど(筆者の体感値・目安。工程に慣れている場合の所要時間で、初回はこれより長くなります)で1本できあがります。


全体の流れと、そろえるもの

必要なのは顔写真1枚・背景画像・セリフ文・生成AIアカウントの4つだけで、動画編集ソフトは不要です。

やることは大きく4つ。①写真をアニメにする(あわせて背景画像も用意) ②セリフを15秒に収める ③プロンプトを書く ④動画を生成する——このあと⑤見て直す、まで含めて5工程です。むずかしい作業はひとつもありません。

先に用意するもの4点

  • ①自分(またはスタッフ)の顔写真:正面・笑顔・明るい場所で撮ったもの。胸から上が写っていればOK

  • ②背景にしたい画像:お店のロゴ入りバナーなど、すでにある画像で構いません

  • ③しゃべらせたい文章:まずは長くて大丈夫。あとで15秒用に短くします

  • ④アカウント:アニメ化用にChatGPT、動画生成用にDreamina(ByteDance(バイトダンス)運営のSeedance 2.5公式サービス)

Seedance 2.5には無料のお試し枠がありますが、無料の出力にはウォーターマーク(透かし)が入ります(後述)。本格的に使うなら透かしを外せる有料プランを検討してください。

この記事で使う例

これから、架空の生活雑貨店「ミント雑貨店」の店長「あい」を題材に、スタッフ紹介のオープニング動画を作っていきます。使う素材はこの3枚だけです。

  • 素材①元の写真:スマホで撮った1枚(すべての出発点)

  • 素材②アニメ化した人物:①をChatGPTでアニメ化。白背景(動画の「添付画像1」)

  • 素材③背景画像:お店のバナー(動画の「添付画像2」)

以降、プロンプト内の「添付画像1」=人物、「添付画像2」=背景で統一します。

生成AI動画は「あいさつ・紹介・雰囲気」には強い一方、商品そのものを見せる用途にはまだ向きません(理由は第14章で)。用途を見極めてから作り始めてください。


STEP1 写真をアニメにする(背景は白)

背景を白ひと色にした写真を使うと、後工程の合成でロゴや文字が欠けにくくなります。

ChatGPTに顔写真を添付して、こう頼むだけです。

アニメ化したキャラクターを作成。背景は白。
元の笑顔・髪型・服装・ポーズはそのまま活かしてください。

※対象:ChatGPT(画像生成対応モデル)。目的:顔写真をアニメ調キャラクターに変換。使い方:顔写真を添付しこのテキストを送るだけです。

「元の笑顔・髪型・服装・ポーズを活かす」の一文が必ず必要です。無いとまったく別人の"かわいいアニメ絵"が返ってきます。合格ラインは、笑顔・髪型・服の色・小物という「本人だと分かる特徴」が残っているかです。

うまくいく写真

  • 正面向き・胸から上が写っている

  • 自然な笑顔で目が開いている

  • 明るい場所で服の色や小物がはっきり見える

失敗しやすい写真

  • 横顔・うつむき・目つぶり

  • 暗い、逆光、ぼやけている

  • 背景が煩雑、または顔が小さすぎる(引きの全身写真)

背景を白にする理由は、あとで別の背景と合成するからです。模様が入っていると人物のまわりが汚くなったり背景が二重に見えたりします。

できあがったら「添付画像1(人物)」として保存します。気になる所は「もう少し笑顔を強く」と追加で頼めば直せます。ここで妥協すると動画も妥協した顔で15秒動くことになります。


STEP2 背景画像を用意する

新しく作らず自店のバナー画像をそのまま流用でき、ロゴは右か上に置くと文字崩れが起きにくくなります。

今回はこのような背景を使いました。


  • 色調:生成りベージュ×ミントグリーンを基調

  • モチーフ:木目の棚とドライフラワー

  • 文字:「MINT ZAKKA」のロゴ(右上に配置)

AIは文字を「模様」として描き直すため、放っておくと綴りが変わる・文字が増える・ロゴが二重になります。プロンプトに「ロゴ、文字、配置、色を維持し、変形・点滅・増殖させない」と必ず入れてください。特に日本語は文字化けしやすいので、AIに描かせず画像で渡すのが鉄則です(第10章)。

これを「添付画像2(背景)」として保存します。人物は画面の左寄りに立たせるので、ロゴが右側か上部にある画像を選ぶと重なりません。


STEP3 セリフを15秒に収める

セリフは書き言葉を削るほど、AIの発話が自然に聞こえます。

初心者がいちばんつまずくのがここです。文章が長いとAIは早口にするか、途中で切ります。

尺と文字数の対応

日本語のナレーションは1分あたり約300字(「NHK式」と呼ばれる目安)が実務でよく使われる基準です。会話調はやや遅くなるため、これをもとにすると——

  • 10秒:約45〜55字(ひとこと挨拶向け)

  • 15秒:約65〜75字(標準のオープニング向け)

  • 18〜20秒:約85〜100字(長めの文章。ゆとりを持って話させたいとき)

実例:元の文章を15秒用に整える

そのまま(長い・書き言葉)——105字。

「ミント雑貨店は、日々の暮らしに関する小さな楽しさを提供することを目的として、Made in Japan の生活雑貨のセレクトを行っているオンラインストアです。新入荷も随時追加しておりますので、ぜひご覧ください。」

これは18〜20秒の目安(85〜100字)すら超えています。15秒用(話し言葉に短縮)——73字。

「ミント雑貨店の店長、あいです。メイドインジャパンの生活雑貨を、ひとつずつ選んでいます。暮らしが少し楽しくなる一点を、ぜひ見つけていってくださいね!」

短くする3つのコツ

  • 書き言葉を削る:「〜することを目的として」「〜に関する」→消す

  • 同じ意味をまとめる:「セレクトを行っているオンラインストアです」→「選んでいます」

  • 英語はカタカナに開く:Made in Japan→「メイドインジャパン」。英字のままだと読み飛ばされます。開かない場合は【音声】欄で読み方を指定してください

これ以上削れない場合は尺を18〜20秒に。75字前後まで詰めても15秒のままだと早口になりがちです。


プロンプトの型(9ブロック)

9つの項目を秒数で3分割して書くだけで、AIが尺を無視して間延びさせることが減ります。

動画プロンプトは自由作文ではなく「記入用紙」です。この9つの見出しを毎回コピーして、中身だけ書き換えれば動きます。


  • ①参照画像の指定:添付1=人物、添付2=背景と役割を明記

  • ②動画仕様:16:9・15秒・1920×1080・高品質・口の動きを音声に同期

  • ③人物:顔・髪型・体型・服の色・小物を具体的に。「別人に変化させない」(書かないと途中で顔が別人に)

  • ④背景:色調と要素。「ロゴ・文字を変形させない」(書かないとロゴが崩れる・増える)

  • ⑤映像の流れ:0〜2秒/2〜8秒/8〜15秒に区切って指示

  • ⑥セリフ:第5章で整えた文章をそのまま

  • ⑦音声:年代・性別・トーン・速さ・英単語の読み方・BGM

  • ⑧演出上の注意:まばたき・呼吸・自然な手の動き/急なカメラ移動は禁止

  • ⑨ネガティブ指定:「出てほしくないもの」を単語で列挙(書かないと手の変形・字幕・透かしが出ます)

どの項目も書き忘れると、AIの解釈がブレて縦横比・表情・動きが毎回変わります。

「元気に話す」だけだと15秒ずっと同じ動きになります。0〜2秒:笑顔でカメラを見る/2〜8秒:うなずきながら紹介/8〜15秒:手を差し出して呼びかける——時間で区切って動きを指定すると、見ていて飽きない動画になります。


完成プロンプト全文(コピペ可)

このプロンプトは、書き換える3か所(人物・背景・セリフ)を変えるだけで別のスタッフ紹介にも使い回せます。

実際に「ミント雑貨店」を題材にしたSeedance 2.5用のプロンプトです。店名を自分のお店の名前に置き換えればそのまま使えます。

【参照画像の指定】
添付画像1:登場人物のデザイン参照
添付画像2:背景デザイン参照

【動画仕様】
16:9、15秒、1920×1080、高品質。
明るく親しみやすい、生活雑貨のネットショップ紹介動画。
日本語音声と人物の口の動きを正確に同期させる。

【人物】
添付画像1のアニメ調の女性キャラクターを、そのままの顔、髪型、体型、ネイビーのテーラードジャケット、白いインナー、ゴールドのネックレスと小さなフープピアスで再現する。
別人に変化させない。顔立ちや服装、イラストのタッチを最後まで一貫させる。
人物を画面中央より少し左側に、胸から上が見える構図で配置する。

【背景】
添付画像2の「MINT ZAKKA」の背景を使用する。
生成りベージュとミントグリーンを基調にした、木目の棚とドライフラワーのある落ち着いた店内。
背景のロゴ、文字、配置、色を維持し、文字を変形・点滅・増殖させない。
人物とロゴが重ならないように配置する。

【映像の流れ】
0~2秒:
やわらかな光が棚の上でゆっくり広がり、人物が穏やかな笑顔でカメラを見る。
カメラが人物へ向かって、ごく緩やかにドリーインする。

2~8秒:
人物が自然にうなずきながら、右手を軽く上げて店を紹介する。
落ち着いた、親しみやすい表情で話す。

8~15秒:
人物が片手を棚のほうへ自然に差し出し、来店を呼びかける。
「ひとつずつ選んでいます」の部分で、手のひらを上に向けて胸元から外側へ差し出す。
最後は軽く会釈し、穏やかな笑顔でカメラを見る。
背景の光がやわらかく強まり、あたたかい余韻を残して終了する。

【日本語セリフ】
「ミント雑貨店の店長、あいです。メイドインジャパンの生活雑貨を、ひとつずつ選んでいます。暮らしが少し楽しくなる一点を、ぜひ見つけていってくださいね!」

【音声】
20~30代の日本人女性の声。
落ち着いていて親しみやすく、押しつけがましくない話し方。
速すぎない自然なテンポだが、15秒以内にセリフを収める。
「メイドインジャパン」は「メイドインジャパン」とカタカナどおりに発音する。
クリアなスタジオ収録音声。
控えめなアコースティックのBGMを入れ、声を邪魔しない音量にする。

【演出上の注意】
自然なまばたき、呼吸、うなずき、手の動きを加える。
口の形を日本語音声に正確に合わせる。
過剰な身振り、急激なカメラ移動、顔や手の変形を避ける。
字幕は表示しない。
新しい文字、ロゴ、人物、小物を追加しない。

【ネガティブ指定】
別人化、実写化、顔の崩れ、表情の固定、口パクのずれ、不自然な歯、
指の増加、手の変形、服装の変更、アクセサリーの消失、体の揺れ、
背景文字の誤字、ロゴの変形、文字の増殖、激しいズーム、
カメラの手ブレ、過度な発光、低解像度、ノイズ、字幕、透かし。

※対象:Seedance 2.5(Dreaminaで利用可能)。目的:顔写真1枚とセリフ文から、口の動きが同期したアニメ動画を作る。使い方:【人物】【背景】【日本語セリフ】【音声】の3ブロックだけ書き換え、生成画面に貼り付けます。

💡 いきなり生成せず、対話型AIで下見する手もあります
ChatGPTなどの対話型AIに同じプロンプトを渡すと、生成せずにシーン案を文章で返してくれることがあります。クレジットを使う前に解釈のズレに気づけます。

自分用に書き換えるのは、この3か所だけ

  • 【人物】:服の色・小物・性別・年代(例:「白いシャツ、黒縁メガネの40代男性」)。「別人に変化させない」は消さない

  • 【背景】:自分の背景画像の色調とロゴ名。「文字を変形・点滅・増殖させない」は残す

  • 【日本語セリフ】【音声】:話す内容(75字以内)と声の年代・性別・読み方。トーン語は性別と結びつく決まりではなく自由に選べます。「15秒以内に収める」は残す

【映像の流れ】【演出上の注意】【ネガティブ指定】は内容を変えずそのまま使い回せます。ここが品質を守る部分です。


空テンプレート(使い回し用)

穴埋め欄を埋めるだけで、構成を崩さずに新しいプロンプトを作れます。

[ ]の中を埋めるだけで、自分の動画のプロンプトが完成します。

【参照画像の指定】
添付画像1:登場人物のデザイン参照
添付画像2:背景デザイン参照

【動画仕様】
16:9、[15]秒、1920×1080、高品質。
[明るく親しみやすい]雰囲気の紹介動画。
日本語音声と人物の口の動きを正確に同期させる。

【人物】
添付画像1のアニメ調の[女性/男性]キャラクターを、そのままの顔、髪型、体型、[服の色・種類]、[小物]で再現する。
別人に変化させない。顔立ちや服装、イラストのタッチを最後まで一貫させる。
人物を画面中央より少し左側に、胸から上が見える構図で配置する。

【背景】
添付画像2の「[ロゴ名]」の背景を使用する。
[背景の色調と要素]。
背景のロゴ、文字、配置、色を維持し、文字を変形・点滅・増殖させない。
人物とロゴが重ならないように配置する。

【映像の流れ】
0~2秒:
人物が穏やかな笑顔でカメラを見る。カメラがごく緩やかにドリーインする。

2~[8]秒:
人物が自然にうなずきながら、[紹介する内容]を話す。[親しみやすい]表情。

[8]~[15]秒:
人物が[呼びかけの動作]をする。最後は笑顔でカメラを見て終了する。

【日本語セリフ】
「[65〜75字のセリフ。英単語はカタカナで]」

【音声】
[20〜30代]の日本人[女性/男性]の声。
[落ち着いていて親しみやすい]話し方。
速すぎない自然なテンポだが、[15]秒以内にセリフを収める。
「[英単語]」は「[カタカナ読み]」と発音する。
クリアなスタジオ収録音声。控えめなBGMを、声を邪魔しない音量で入れる。

【演出上の注意】
自然なまばたき、呼吸、うなずき、手の動きを加える。
口の形を日本語音声に正確に合わせる。
過剰な身振り、急激なカメラ移動、顔や手の変形を避ける。
字幕は表示しない。新しい文字、ロゴ、人物、小物を追加しない。

【ネガティブ指定】
別人化、実写化、顔の崩れ、表情の固定、口パクのずれ、不自然な歯、
指の増加、手の変形、服装の変更、体の揺れ、
背景文字の誤字、ロゴの変形、文字の増殖、激しいズーム、
カメラの手ブレ、過度な発光、低解像度、ノイズ、字幕、透かし。

対象・目的は前章と同じです。使い方:[ ]の中だけを書き換えます。

最初の1本は前章の全文版を書き換えるほうが確実です。要素の書き忘れが防げます。慣れてきたら、この空欄を直接埋めてください。


公式ガイドの作法|「よく紹介される書き方」と公式ドキュメント

`( )`は音楽、`< >`は効果音、`{ }`はセリフ、`【 】`は字幕と役割を分けるだけで、AIへの指示が正確に伝わります。

Seedance 2.5の開発元であるByteDance(バイトダンス)は、Dreamina向けの公式プロンプトガイドを公開しています。ネット上でよく見る「カッコ記法」——`( )`=音楽、`< >`=効果音、`{ }`=セリフ、`【 】`=字幕——について、正直に書いておきます。私が実際に確認できた公式ドキュメントには、この記法は出てきませんでした。

公式ガイド(BytePlus ModelArkのドキュメント)には「字幕を消したいときはネガティブ指定で書く」という説明はありますが、記号の使い分けを指示する記述は見当たりませんでした。確認先はDreamina Seedance 2.5とSeedance-1.5-proの各prompt guideで、うち1ページは本文まで確認できていません。複数の第三者ブログは「公式の6要素フォーミュラ」として紹介していますが、公式への直接リンクは示していません。

つまりこの記法は、公式では確認できない実務コミュニティ発の書き方です。「公式だから必ず効く」と信じて詰まる事故を防ぐために書いておきます。私の完成動画もカッコなしで作りましたが、問題なく仕上がりました。

出典:Dreamina公式Seedance 2.5BytePlus ModelArk「Dreamina Seedance 2.5 prompt guide」(2026-08-13確認)

それでも、この書き方は載せる価値がある

理由は2つ。①複数の実務者が同じ内容を報告しており有用性は一定ある ②取り違えたときの現象を知っておくと、失敗の原因がすぐ分かるからです。


  • `( )`=音楽・BGM:例(控えめなアコースティックギターが流れる)

  • `< >`=効果音:例<紙袋がこすれるかすかな音>

  • `{ }`=セリフ(声に出す言葉):例{ひとつずつ選んでいます。}

  • `【 】`=画面に出す字幕:例【一点もの、入荷しました】

押さえておきたい3つのポイント

  • セリフと字幕は別回路:`{ }`は画面に出ません。両方欲しいなら同じ文を`【 】`にも書きます。字幕を出したくないなら`【 】`を一切使わない——これが最も確実な方法です

  • 言語・声・話し方はカッコの外に:言語を書き忘れると、別の言語・なまりで喋ることがあります

  • 効果音は詰め込まない:具体的で物理的な音を選んでください(例:「にぎやかな街の雰囲気」より「雨がトタン屋根を打つ音」)

今回のセリフをこの記法で書くと、以下のようになります。

セリフの言語:日本語。20〜30代の日本人女性が、落ち着いた親しみやすい声で話す。
{ミント雑貨店の店長、あいです。メイドインジャパンの生活雑貨を、ひとつずつ選んでいます。暮らしが少し楽しくなる一点を、ぜひ見つけていってくださいね!}
(控えめなアコースティックギターが、声を邪魔しない音量で流れる)
<紙袋がこすれるかすかな音>

「効くかどうかは、自分の1本で試して確かめてください」——記法の真偽に関わらず、字幕を出したくないなら`【 】`を使わないこと、言語を明記すること、効果音は具体的な音を選ぶこと、の3点は残ります。


日本語は「AIに描かせない」|文字化け対策

AIに直接日本語の文字を描かせるとほぼ崩れるため、文字は画像で渡すか完成後に別ソフトで載せるのが確実です。

Seedance 2.5もMiniMax H3も、日本語の文字を描くのが苦手です。画面の中に日本語を出させると、崩れた字・存在しない漢字・誤字(文字化け)になります。根性でどうにかなる部分ではありません。

AIは文字を「意味を持つ記号」ではなく「模様」として描いています。アルファベットは形の種類が少なく比較的もちますが、ひらがな・カタカナ・漢字は形が複雑で種類も多いため、それらしい形の"偽物の字"になります。1文字でも崩れると商用では使えません。

回避策=文字を「画像」で渡す

AIに文字を描かせず、すでに文字が入っている画像を参照させる——これが確実な方法です。今回のロゴが崩れなかったのも、まさにこの方法だからです。


  • ロゴ・店名・ブランド名:文字入り画像を参照として渡す。「ロゴ、文字、配置、色を維持し、変形・増殖させない」と書く→ほぼ崩れない

  • キャッチコピー・価格・電話番号:同じく画像に焼き込むか、動画完成後に載せる

  • 字幕・テロップ:完成後に編集ソフトで載せる。生成時に字幕を出させない→100%正確

  • `【 】`で日本語字幕をAIに出させる/「〇〇と表示して」と本文で指示:どちらも文字化けの危険大

「MINT ZAKKA」の文字が崩れなかったのは、AIが描いたのではなく参照画像にもとから入っていた文字だからです。「新しく文字を描く仕事」を一切与えていない、だから崩れませんでした。

プロンプトに入れておく2行です。

背景のロゴ、文字、配置、色を維持し、文字を変形・点滅・増殖させない。
新しい文字、ロゴ、看板、字幕を追加しない。

【ネガティブ】文字化け、誤字、崩れた文字、意味をなさない日本語、読めない漢字、新しい文字の追加、字幕、透かし。

生成後は必ず一時停止して、画面の文字を1文字ずつ読んでください。動いていると気づきませんが、止めると崩れが見えます。1文字でも違えば作り直しです(焼き込まれた文字は後から消せません)。


生成の進め方と、よくある失敗の直し方

失敗した動画は作り直すのではなく、崩れた1点だけを指摘する1行を追記するほうが早く直ります。

進め方はどのサービスでも共通です。

  • 素材(人物画像・背景画像・プロンプト全文)を先にそろえる

  • 1本目を生成(まずは短めで試す)

  • 顔・口・手・ロゴを一時停止しながら確認

  • 崩れた所だけプロンプトに1行足す(作り直しではなく追記が正解)

  • 2本目で仕上げ、うまくいったプロンプトは保存

失敗した生成物も、次のプロンプトを良くする材料です。

よくある失敗と直し方

  • 別人の顔になる:【人物】に「別人に変化させない。顔立ちを一貫させる」+髪型・服の色を具体的に

  • 口と声が合わない:【動画仕様】に「口の動きを正確に同期」/ネガティブに「口パクのずれ」

  • ロゴの文字が崩れる・増える:【背景】に「ロゴ、文字、配置、色を維持し、変形・増殖させない」

  • 早口・セリフが切れる:セリフを65〜75字まで削る、または尺を18〜20秒に

  • 15秒棒立ち:【映像の流れ】を0〜2/2〜8/8〜15秒に分けて書く

  • 勝手に字幕やロゴが出る:「字幕は表示しない」を追記。それでも出るなら`【 】`を一切使わない(第9章)のが最も効く

  • 日本語が文字化けする:AIに文字を描かせず、文字入りの画像を渡す(第10章)

  • 効果音を声で読み上げる/英語や別のなまりで喋る:効果音は`< >`とセリフ`{ }`を分け、「セリフの言語:日本語。」と明記

  • 画面が揺れる・ズームが激しい:「ごく緩やかにドリーイン(カメラが被写体へゆっくり近づく動き)」+ネガティブに「激しいズーム、手ブレ」


もうひとつの選択肢:MiniMax H3

同じ素材・同じ指示で作り比べると、Seedance 2.5とMiniMax H3では守られる条件が違います。プロンプトに書いたことが必ず通るとは限りません。

「もっと画質を上げたい」「安く済ませたい」ときの選択肢がMiniMax(ミニマックス)H3です。

世界ランキングで見ると、この2つは1位・2位に近い

arena.aiのimage-to-videoリーダーボードは、利用者が2つの動画を見比べて投票し勝敗で順位が決まる実力表です。2026年8月2日時点のスナップショット(2026-08-13確認)で、43モデル・累計約163万票(1,635,258票)です。

上位5モデルです(出典:arena.ai)。6位以下も僅差で並びます。

  • 1位:dreamina-seedance-2.0-720p(提供元ByteDance) スコア1478±10/投票数100,246

  • 2位:minimax-h3(提供元MiniMax) スコア1476±19/投票数1,190

  • 3位:grok-imagine-video-1.5-720p(提供元xAI(エックスエーアイ)) スコア1462±6/投票数87,626

  • 4位:gemini-omni-flash(提供元Google) スコア1462±7/投票数44,400

  • 5位:happyhorse-1.0(提供元Alibaba-ATH) スコア1442±10/投票数70,454

Seedance 2.5がこの表に無いのは新しすぎてまだ載っていないだけで、存在しないわけではありません。1位の`dreamina-seedance-2.0-720p`はSeedance 2.0(この記事のSeedance 2.5の1つ前の世代)。この記事で扱う2つのモデルは、実質1位・2位に近い水準にあるとみていいでしょう。

ランキングの正しい読み方

  • ①スコア差はごくわずか:1478と1476は誤差の範囲(±10・±19)で重なり、ほぼ互角と読むのが正解です

  • ②投票数を見る:H3は1,190票とまだ少なく(1位は100,246票)、順位は今後動く可能性があります

  • ③順位より「同じ土俵か」:上位はどれも実用水準。尺・解像度・コスト・指示の通りやすさで選ぶほうが実務では効きます

Seedance 2.5との違い

  • 解像度:H3は公式仕様では標準768p・24fps(2Kはオプション)。ただし利用するサービスによっては最初から2Kで出力されます(今回の実測は2560×1440)。Seedance 2.5は480p/720pが基本で、1080p/4Kもオプション

  • :H3は4〜15秒。Seedance 2.5は標準最大30秒(ベータの長尺モードで最大180秒)

  • 一度に作れる本数:H3は1〜4本まとめて(見比べられる)。Seedance 2.5は1本ずつ

同じ素材・同じ内容で作り比べた結果

同じ人物画像・同じ背景・同じセリフでMiniMax H3でも作りました。上のSeedance 2.5版と見比べてください。画はたしかに精細です。ただし守られた指示と、守られなかった指示がはっきり分かれました。


  • 人物の位置:どちらも指示どおり中央やや左に配置されました。ここは両方とも合格です

  • 背景ロゴ:Seedance 2.5は「MINT ZAKKA」の看板を最後まで画面右上に保ちました。MiniMax H3はカメラが寄るにつれて看板が画面外へ切れました(条件を変えて2回試して2回とも)

  • 字幕:どちらも出ませんでした。※ただし別の環境で試したときはH3が字幕を焼き込んだ例もあります。同じモデルでも実行するサービスや設定で変わるということです

  • BGM:Seedance 2.5は指示どおり控えめなBGMが入りました。MiniMax H3は声だけで、セリフのない区間は完全な無音でした

  • 画の精細さ:Seedance 2.5版が1280×720、MiniMax H3版が2560×1440(H3のほうが精細)

H3版のプロンプトにも「ロゴと重ならない配置」「控えめなBGMを入れる」と書いてあります。それでも看板は画面外へ切れ、BGMは入りませんでした。ここが最大の学びどころです。AIへの指示はお願いであって命令ではありません。

絶対に守ってほしい条件があるときは、①言い方を変えて生成し直す ②当たりが出るまで作り直す、のどちらかです。同じプロンプトでも、モデルと実行環境が変われば結果は変わります。焼き込まれた文字は後から消せません。公開前に必ず自分の目で最後まで再生して確認してください。

MiniMax H3で実際に使ったプロンプト

完成プロンプト全文(第7章)は設計図です。H3での生成では、要点を6ブロックに凝縮した短い版を使いました。呼び方はH3の入力欄に合わせて「添付画像」から「@Image」に変わりますが、指しているのは同じ2枚の参照画像です。

【全体スタイル】@Image 1 のアニメ調女性キャラクターと @Image 2 の背景を完全再現。高品質、16:9。
【構図・カメラ】人物は画面中央やや左、バストアップ。背景の「MINT ZAKKA」ロゴと重ならない配置。カメラは15秒かけて極めて緩やかにドリーイン。
【タイムラインとアクション】
[0-2s] やわらかな光が棚の上で広がる。人物は@Image 1 の笑顔でカメラを直視。自然なまばたき。
[2-8s] 自然にうなずきながら右手を軽く上げ、落ち着いた表情で話す。
[8-15s] 片手を棚のほうへ差し出し、「ひとつずつ選んでいます」で手のひらを上に向けて外側へ。最後は軽く会釈して笑顔で締める。
【音声・リップシンク】20-30代女性の落ち着いた親しみやすい声。以下のセリフと口の動きを完全に同期させる。
セリフ:「ミント雑貨店の店長、あいです。メイドインジャパンの生活雑貨を、ひとつずつ選んでいます。暮らしが少し楽しくなる一点を、ぜひ見つけていってくださいね!」
【背景・光】@Image 2 の生成りベージュとミントグリーン。終盤に向けて光がやわらかく強まり、あたたかい余韻を作る。
【ネガティブ】別人化、実写化、指の変形、ロゴの誤字、字幕なし。

※対象:MiniMax H3(公式サービス、またはComfyUIでのローカル実行)。目的:同じ人物・背景・セリフでSeedance 2.5と作り比べる短縮版として使う。使い方:@Image 1/@Image 2に参照画像を割り当て、このテキストを貼り付けます。

6ブロックでも、参照の役割・配置・秒数区切り・セリフ全文・リップシンク(声と口の動きの同期)・ネガティブの6要素は落としていません。削ったのは画像から読み取れる情報(服の色・小物)だけです。

最初の1本は第7章の全文版で作るのが確実です。要素の書き忘れが防げます。慣れたらこの短縮版へどうぞ。

画質=H3、指示への忠実さと長さ=Seedance 2.5が私の実感です。「ロゴを最後まで画面に入れたい」「BGMまで指示どおりにしたい」動画はSeedance 2.5が安全、条件がゆるい動画(雰囲気カット・SNS短尺)なら精細なH3が有利です。

コストの比べ方

同じモデルでも、どのサービスで使うかで料金が変わります(1ドル≒159円・2026年8月13日時点のレートで換算)。

  • Seedance 2.5(BytePlus公式発表):480pで1秒約0.09ドル(約14円)、720pで1秒約0.21ドル(約33円)。※提供元自身の発表(自社に有利な条件である点は差し引いて見る必要あり)

  • Seedance 2.5(リセラー経由):1秒0.45ドル前後〜最大0.89ドルの例も。同じモデルでも、どこで使うかで単価が最大10倍近く変わります

  • MiniMax H3(API直利用):ホスト型APIの単価は公表値を確認できませんでした。契約画面に出る消費量で確認してください

  • MiniMax H3(自分のPCで実行):生成そのものは0ドル(電気代とGPU代は別)

価格情報は発信元によって偏ります(安い数値は提供元、高い数値は他サービス経由)。確実なのは、自分が契約するプランの画面に出る消費量だけです。

あるクレジット制サービスで同一条件(同じ人物画像・同じ長さ)を測ったところ、MiniMax H3のほうが約4割安く済みました(利用サービス・時期により変動)。一方、本家Dreaminaで使えばSeedance 2.5のほうが安い場合もあり、単価はモデルだけでは決まりません。

自分のPCで動かすという選択肢

MiniMax H3はオープンウェイト——モデル本体が公開されているため、自分のパソコンにComfyUI(無料のノードベースツール)でインストールでき、生成そのものに費用はかかりません。

必要なスペックの目安:RTX 4090/5090など(VRAM 24GB以上)は快適。RTX 3060 Tiなど(VRAM 8GB)でも動きますが864×480・5秒の生成に約15分(私の環境での実測値)。システムRAMは64GBあると安定しやすい傾向です(コミュニティ報告)。

商用利用も無償でできますが「MiniMax H3コミュニティライセンス」の条件を満たす必要があります(次章[第13章])。まずは公式サービス(design.minimax.io)で1本作って手応えをつかみ、「何十本も作る」段階でローカル導入を検討するのがおすすめです。


アップロードされる情報とセキュリティ

顔写真もセリフ文も生成AI事業者のサーバーに送信されるため、特定されたくない素材は最初からアップロードしないのが最も確実な対策です。

見落とされがちですが、クラウドの生成AIを使うとは素材を他社のサーバーに預けることです。Seedance 2.5はブラウザ上のサービスでしか使えないため、動画を作るたびに人物の顔写真・自社ロゴ・商品画像・セリフの原稿がすべて相手のサーバーへ送られます。

さらに規約上、Dreaminaの運営会社には「永久・取消不能・全世界・あらゆる目的」という広範な利用許諾を与えることになります(利用規約に実際に書かれている文言)。アップロードした顔写真やロゴもこの対象になり得ます。

そもそもDreaminaの利用規約(Section 1)は、「本サービスは原則として、私的かつ非商用の利用のために提供されます("Our Services are generally provided for private, non-commercial use.")」と定めています(出典:Dreamina利用規約 2026-08-13確認)。つまり規約の建てつけ自体は「非商用が原則」です。商用目的で使うなら、この原則をふまえて前章「コストの比べ方」と巻末Q&Aの無料/有料プランの違いも確認しておいてください。

3つの使い方と、情報の行き先

  • Seedance 2.5/MiniMax H3(クラウド・API利用):どちらも社外サーバーへ送信。学習利用も含まれ得る

  • MiniMax H3(自分のPCで実行):外部に出ない。社外送信ゼロ

「H3が安全なのは開発元が違うからではありません」——MiniMax(上海)もByteDance(バイトダンス)も同じ中国企業です。根拠は「ローカルで動かせばデータが自分のPCから一歩も出ない」という一点だけです。H3もクラウド経由なら、Seedance 2.5と同じことが起きます。

特に上げてはいけない素材

  • お客様・従業員の顔写真(個人情報)、未発表の商品・新作サンプル

  • 取引先から預かった素材、社外秘の資料・価格表

  • 他社から使用許諾を得ただけの素材(再許諾する権利がない)

顔写真は個人情報保護法上の「個人情報」に当たります(個人識別性があるため)。クラウドの生成AIへのアップロードは、法律上どう扱われるのでしょうか。

個人情報保護委員会は2023年6月2日付の注意喚起で、生成AIサービスへの個人情報の入力について、そのサービスの運営事業者が入力データを学習等に利用する場合は「第三者提供」に該当し得る、という考え方を示しています(出典:個人情報保護委員会)。

つまり、顔写真をクラウドAIに送る時点で、法律上は「個人データを外部の第三者に渡している」可能性があります。運営会社が学習に使わない設定・契約になっているかどうかで扱いが変わるので、自分がアップロードするサービスの規約に「学習利用」の文言があるかは確認したほうがいいでしょう。

MiniMax H3をローカルで商用利用する場合、コミュニティライセンス上の義務は主に次の3点です。①自社サービスのUI上に、例えば「Powered by MiniMax H3」のように「MiniMax H3」の名称を明記する(生成した動画自体への表示義務ではありません) ②年間売上2,000万米ドル(2026年8月時点で約32億円)超は事前の書面許諾が必要 ③出力を他のAIモデルの学習に使わない。多くのEC事業者はこの規模に該当せず、実務上のハードルは高くありません。

公開前提の素材だけなら、クラウドのサービスで問題ありません。手軽さが勝ちます。顧客情報・未発表商品・社外秘を扱う、または社内規定でクラウドAIが禁止されているなら、「社外に一切出さない」要件を満たせるMiniMax H3のローカル実行が唯一の選択肢です。


ネットショップで使えるか(正直な費用対効果)

商品ページの訴求にはまだ費用対効果が合わず、実物と照合されない企画用途に限って使うのが現実的です。

ここまで作り方を説明してきましたが、使いどころを間違えると割に合いません。ここからは店主としての正直な結論です。

結論:商品ページの訴求には、まだ費用対効果が合いません。理由は2つ。①コストが高い ②実物を完全には複写できない——この2点から、商品そのものを見せる用途にはまだ向きません。

①は将来のコスト低下で解消されうる補助的な理由で、決定的なのは②です。実物の撮影に置き換わる段階には至っていません。

理由① コストが高い

1本あたりの生成費用そのものより、「一発で決まらない」ことが効いてきます。

  • 1本あたり:480pなら15秒で$1.35(0.09ドル/秒×15秒)=約215円、720pなら$3.15(0.21ドル/秒×15秒)=約501円(1ドル≒159円・2026年8月13日時点で換算。解像度を上げればさらに上がります)

  • 実際にかかる回数:顔・手・ロゴ・字幕の崩れで作り直しが前提です。1本仕上げるのに3〜5回は珍しくありません(体感値。習熟度・題材により変動)。この記事の動画は1回目で通りました(体感値・目安で制作10分)。ただしこれは「実物と照合されない」内容だったからで、商品を正確に写す動画ほど回数は増えます

  • 商品点数を掛けると:単価(約215〜501円)×作り直し回数(3〜5回)で、1商品あたりおよそ650円〜2,500円(215×3=645円/501×5=2,505円)。リセラー経由では最大0.89ドル/秒の例もあり桁が変わります。自分の契約プランの単価を当てはめれば再計算できます。数百〜数千点を扱う店舗では到底ペイしません

理由② 実物を完全に複写できない

これが決定的です。生成AIは「それらしい映像」を作る道具であって、実物を1対1で再現する道具ではありません。

再現しきれないもの:生地の質感・織り目・光沢、正確な色(同じ色でも別の色になる)、縫製やボタンの形状、シルエットや寸法の比率、タグ・ロゴ・型番などの文字。

それが招くもの:「届いた商品が動画と違う」というクレーム、返品・交換の増加、低評価レビュー、実物と異なる表示による法令上の問題です。景品表示法は、商品の内容について実際のものよりも著しく優良であると誤認される表示を禁じています。個別の事案ごとの総合判断にはなりますが、実物との乖離が大きいほど優良誤認のリスクは上がる、という一般論は成り立ちます。これは以前書いた楽天・Amazon・Yahoo!のAI画像|違反5パターンと対策【2026年版】で扱った「AI画像が実物と乖離するリスク」と、根っこは同じ問題です。

色・素材・寸法・機能など購入判断に直結する情報は、実物の写真と動画でしか示せません。AIの「それらしい商品映像」を商品ページに使うのは、返品対応とクレーム対応でかえって高くつきます。

では、どこで使えるのか

「実物の正確さを問われない場面」——ここに限れば、じゅうぶん実用になります。

  • 商品そのものの紹介・色や素材の説明:向かない(実物と食い違う。実写一択)

  • 着用イメージ・サイズ感の提示:向かない(体型と寸法の関係が不正確になる)

  • 価格・キャンペーンの告知:向かない(文字が崩れる。画像編集ソフトのほうが速くて正確)

  • あいさつ・自己紹介・スタッフ紹介:向く(実物と照合されない。この記事の動画がこれ)

  • お店・イベントの案内:向く(伝えるのは中身であって商品ではない)

  • 雰囲気カット・背景映像:向く(事実を主張しない映像だから)

  • 社内資料・企画の説明:向く(外に出ないので齟齬が起きない)

この記事の動画が成立したのは題材が「スタッフ紹介」だったからです。話しているのは人物であって商品ではなく、視聴者が実物と見比べる対象がありません。背景のロゴだけは実物どおりである必要がありましたが、「AIに描かせず画像で渡す」ことで解決しました。この構図に当てはまる用途だけを選ぶのが正しい付き合い方です。

生成コストは下がり続けており、実物への忠実度も上がっています。「寸分違わず再現する」精度と作り直し回数の減少、無料枠や低価格帯で試せるようになること——これらが揃えば商品ページへの投入も再検討できます。なお「コストが高い」という課題だけは、H3をローカルで動かせば今すぐ解消できますが、実物を複写できない問題は残るので結論は変わりません。

量産の話が前提として済んでいる方は、以前書いた1素材→何十通りに|自己完結型FDE×生成AIのEC動画術もあわせてどうぞ。



権利まわりは前回記事に譲る

AI動画に加工してよいかどうかは通常の撮影同意書に含まれないため、この1点だけを追加で確認してください。

撮影許可・同意書の書き方・商標・期限管理といった実写素材まわりの権利の話は、以前撮影許可と商用利用は別物|EC運営者が守る3つの権利にまとめました。そちらを読んでいただくのが早いです。

ここでは、AI動画ならではの追加論点だけ書きます。顔写真という個人情報をクラウドAIに渡すこと自体の論点は第13章「アップロードされる情報とセキュリティ」で扱ったので、ここでは渡す前に必要な同意まわりに絞ります。

  • スタッフの顔写真を使う場合は、力関係に注意してください。店長や経営者から直接頼まれると、スタッフは断りにくい立場にあります。「イヤなら断ってよい」と伝えたうえで、抵抗があれば店長自身の顔で代替する、アニメ化した画像だけ使う(第16章Q&A)などの選択肢を用意してください

  • 同意を取る相手は本人だけではありません。顧客や取引先など第三者の顔が写り込む場合、その人からも同意が必要です

  • 「AI編集の同意」は中身が要ります。①どのAIサービスにアップロードするか ②生成物の公開範囲と期間 ③運営会社側にも利用権が渡る可能性がある、の3点を説明したうえでの同意でなければ実質的ではありません(第13章の「永久・取消不能・全世界」の条項があるためです)

  • 同意はいつでも撤回できる前提で、差し替え・削除できる運用にしておいてください。AI生成物は後戻りしにくい性質があります

  • 未成年が被写体の場合は、保護者の同意も必須です

なお、生成AIの事業者向けの考え方は、経済産業省・総務省がまとめている「AI事業者ガイドライン」(2026年3月31日公表の第1.2版が最新)にも整理されています。気になる方は一度目を通しておくと安心です。

本記事の法律・規約に関する記述は、2026年8月時点で確認できた情報にもとづく一般的な解説であり、法的助言ではありません。個別の契約・表示が法令や各サービスの規約に適合するかどうかは、最新の規約原文の確認、または弁護士等の専門家への相談をおすすめします。


用語集・最終チェックリスト・Q&A

これだけ覚えれば足ります

  • プロンプト:AIへの指示文。この記事の主役です

  • ネガティブ指定:「出てほしくないもの」の一覧。単語を並べるだけでOK

  • 参照画像:見本として渡す画像。添付1/添付2と呼び分けます

  • ドリーイン:カメラが被写体へゆっくり近づく動き。急に寄ると不自然になります

  • リップシンク:声に合わせて口を動かすこと。ずれると安っぽく見えます

  • 文字化け:AIが日本語の文字を崩して描くこと。文字は画像で渡すか完成後に載せます

  • カッコ記法(Seedance 2.5):`( )`音楽/`< >`効果音/`{ }`セリフ/`【 】`字幕(第9章。公式ドキュメントでの明記は未確認)

  • オープンウェイト:モデル本体(重み)が公開され自分の環境で動かせること。商用利用には別途ライセンス条件がつくことが多いです(MiniMax H3も該当)

生成ボタンを押す前の最終チェック

  • 人物画像は白背景で顔がはっきり見え、背景ロゴと重ならない位置にある

  • セリフが15秒なら75字以内、言語も明記し、英単語はカタカナ読みで指定した

  • カッコ記法を使うなら種類が合っている(`( )`音楽/`< >`効果音/`{ }`セリフ/`【 】`字幕)

  • 【人物】【背景】に「別人に変化させない」「変形・増殖させない」と書き、【映像の流れ】を秒数で3分割した

  • ネガティブ指定に「手の変形・字幕・透かし」を入れ、日本語の文字をAIに描かせていない

  • プロンプト全文を保存し(作り直し用)、顔が写り込む全員からAI編集への同意を取った(第15章)

  • アップロード先が顧客情報や未発表商品を扱わないサービスになっている(第13章)

よくある質問

Q. しゃべるアニメ動画は無料で作れますか?
A. Seedance 2.5には無料のお試し枠(デイリークレジットや期間限定の無料生成)がありますが、無料の出力にはウォーターマーク(透かし)が入ります。有料プランでは、透かしなしのダウンロード・より高い解像度・クレジットの増量が受けられます。規約上も「私的・非商用の利用が原則」とされているので(第13章)、商用で使うなら有料プランが安全側です。一方MiniMax H3は、自分のパソコンで実行すれば生成そのものは無料です(電気代とGPU代は別)。ただしパソコンのスペックと導入の手間が必要になります(第12章)。

Q. 顔写真がなくても作れますか?
A. アニメ化した画像だけを動画生成サービスに渡せば、元の顔写真は送らずに済みます(第3章)。

Q. 「字幕なし」と指示したのに字幕が出るのはなぜですか?
A. AIへの指示は絶対の命令ではなくお願いに近いからです。`【 】`を一切使わない、または言い方を変えて作り直してください(第12章)。

Q. 商品ページにそのまま使ってもいいですか?
A. 現時点ではおすすめしません。実物を複写できずクレームや景品表示法上のリスクがあります(第14章)。

Q. 日本語のセリフはちゃんと発音されますか?
A. 英単語は英語読みされることがあるので、カタカナに開くか【音声】欄で読み方を指定してください(第5・9章)。


まとめ

顔写真1枚から、しゃべるアニメ動画を作る手順を紹介してきました。最後に3つだけ振り返ります。

鉄則1:プロンプトは「記入用紙」

9ブロックの型さえ守れば自由作文は不要です。秒数で3分割して動きを指定し、書き換えるのは【人物】【背景】【セリフ・音声】の3か所だけです。

鉄則2:AIへの指示は「お願い」であって「命令」ではない

モデルが変われば結果も変わります。MiniMax H3で背景の看板が画面外へ切れたように、書いた条件が必ず守られるとは限りません。1回で完璧を求めず「生成→1行追記→再生成」を前提に臨んでください。

鉄則3:「実物と照合されない企画」だけに使う

商品ページにはまだ向きません。使えるのは、あいさつ・スタッフ紹介・お店の雰囲気を伝える動画です。この線引きを間違えなければ、この技術は今すぐ実用になります。

まずは1本、自分の店のスタッフ紹介で試してみてください。うまくいったプロンプトは保存して、あなた専用の型に育てていってください。

なお、私自身はリサーチや調べもの全般で、自律的に動くAIエージェントのManusも併用しています。プロンプトの改善案を壁打ちする際に役立っています。

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