【今日は何の日エッセイ|#05】よそゆきの服と、動くパンダ。あの頃、デパートは魔法の国だった。
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今日は12月20日。「デパート開業の日」だそうです。
みなさんにとって、「デパート」ってどんな場所ですか? 今の私にとって、デパートは「ちょっと素敵なお買い物をする場所」。仕事帰りにふらっと化粧品を見たり、友人と話題のスイーツを食べに行ったり。少し背筋が伸びるような、そんな気軽な「非日常」を楽しむ場所です。
でも、この記念日を聞いて、ふと幼い頃の記憶が蘇りました。 まだ横浜に住んでいた頃、家族で行った横浜高島屋の記憶です。
昭和のあの頃、デパートに行くというのは、今とは全く違う、年に数回の「一大イベント」でした。
パパは一張羅のジャケットを羽織り、ママはいつもより少し高いヒールを履いて。お兄ちゃんと私も、母が用意してくれた「よそゆきの服」に着替える。玄関で靴を履くときから、もう胸が高鳴っていたのを覚えています。
デパートの重い扉を開けると、そこはもう夢の世界の入り口です。 1階の正面玄関を通り抜けると、すぐに広がる化粧品売り場。綺麗なお姉さんがたくさんいて、独特なおしろいのような良い香りが漂っていました。
その香りの海を抜けた先に待っているのが、エレベーターです。 扉の前には、制服を着て、真っ白な手袋をしたエレベーターガールのお姉さん。「上に、まいります」という独特の抑揚のアナウンスを聞くだけで、自分が少し大人になったような、特別な場所にいる緊張感がありました。
お昼ごはんは、憧れの「お子様ランチ」。 国旗が刺さったチキンライスに、ハンバーグ、そしてプリン。大人びたナイフとフォークを握りしめて、得意げに口に運ぶ瞬間は、最高のご馳走でした。食後はお決まりの屋上遊園地で、少し色褪せたパンダの乗り物に揺られるのが定番コースです。
そうそう、忘れられないのが、誕生日プレゼントに「リカちゃん人形」を買ってもらった日のことです。 ずっと憧れていたキラキラの箱を、店員さんが慣れた手つきで、デパートの包装紙でくるくると包み、最後にリボンをキュッとかけてくれる。その魔法のような手元を、私は瞬きも忘れてジーっと見つめていました。
買ってもらった瞬間から、嬉しくて、嬉しくて。その日の夜は、その箱を抱きしめたまま眠りにつきました。しばらくの間、私の腕の中はリカちゃんの指定席でした。
あれから数十年。時代は変わり、デパートに行くことは日常の一部になりました。 いつでも欲しいものが手に入り、毎日が「ハレの日」のようになった現代。
でも、だからこそ、思うのです。 あの頃、特別な日にしか着られなかった「よそゆきの服」の少し緊張する感触や、エレベーターガールのお姉さんの声、リボンがかけられる瞬間の高揚感。
そんな、少し不便で、でも温かくてキラキラしていた「昭和の魔法」が、今の時代にも少しだけ残っていたらいいな、と。
もし今日、デパートの近くを通ったら。 少しだけ足を止めて、あの頃の「魔法の国」に思いを馳せてみようと思います。
kotori 🕊️
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