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移民・核武装そして今回の参院選 ―― トッドの警鐘にどう応えるか

投票日の朝、静かな住宅街を歩きながら、私はふとエマニュエル・トッドの言葉を思い出した。

「日本はこのままでは持たない」。少子高齢化、人口減少、安全保障の脆弱さ――。彼が突きつけたのは「移民」と「核武装」という、私たちが避けてきた問いだった。


今回の選挙で、移民政策を正面から論じた政党はほとんどなかった。しかし現実は待ってくれない。技能実習制度の行き詰まり、難民認定をめぐる混乱、川口市のクルド人問題。すでに社会の深層で変化は始まっている。

「受け入れるか否か」だけでなく、「誰が管理するのか」「どう共生するのか」。その社会設計を描く力が、私たちには欠けているのではないかと思う。


一方、核武装。被爆国としての記憶を思えば、多くの人が拒否感を抱くのは当然だ。私自身もそうだ。しかし安全保障環境は厳しさを増し、世論調査では「状況次第で検討すべき」と答える人が少しずつ増えている。

支持の拡大ではなく、「議論してもいいのでは」という兆し。それを無視せず、抑止の論理も倫理的ジレンマも包み隠さず示し、国民全体で考えること。それこそ民主主義国家の責任だろう。


今回の参院選は、大きな政策論争が不在のまま終わった。有権者として投票所に立ちながら、私はどこか「選択した」という実感を持ちきれなかった。だが同時に思う。思想家の言葉を生活に引き寄せ、未来を自分ごととして考えるのは、結局は私たち市民の役割なのだと。


SDGsは「持続可能性」「平和」「不平等の是正」を掲げる。移民も核も、日本の未来を持続させるかどうかを問う鏡である。勇ましいスローガンではなく、冷静な判断と誠実な議論、そして感情に耳を澄ます知性の力。

それを信じて一票を投じることが、未来への最初の準備ではないだろうか。


投票所を出たとき、夏の光に包まれた人々が静かに行き交っていた。彼らの表情の奥にもまた、不安と希望の入り交じる未来があるのだろう。

私たちはその未来に、どんな答えを差し出すことができるのか。――問いは、今も胸の中で響き続けている。

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