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岩手物語 第十四話 静寂の川

宜しければ、第一話からドウゾ。▼

第十四話 静寂の川

パトカーが二台やってきて、ガンさん達を確保した。
しばらくすると更に二台。
一台は覆面だ。

その覆面パトカーから及川刑事が降りてきた。

「彼に毛布を貸してやれ。」

警官に声をかけると、心配そうな面持ちで僕に駆け寄る。
そうして、僕の肩をポンと叩いた。

「コウ君、おじいさんも凄い人だったが……やはりお孫さんだね。」

「いえ、僕は。
あの……じいちゃんの事、なんで強いか知ってるんですか。」

すると、及川刑事が話してくれた。

「僕はよくは知らないけどね。
おじいさんが若い時、県警で柔道を教えてたらしいよ。」

「そうだったんですか。」

知らなかった。

県警で柔道を教えていた。
という事は、じいちゃんは刑事だったのか。

僕は、はっとして周りを見渡した。

「そうだ、ミチザネ。」

既にミチザネの姿は消えていた。

彼が警察を呼んでくれたのだろうか。

そして、あの怪物の事、何か知っているのだろうか。

「聴取、いいかい。」

そう及川刑事に声を掛けられたけれど、なんと説明したらいいのか僕には分からなかった。

橋で襲撃犯に襲われた。
そして、すぐにあの化け物達の群れに襲われたのだ。

僕は肩に毛布を掛けて、橋の歩道に腰を掛けていた。
警察に後ろ手で連行されていく、ガンさんとコウジ。

通り過ぎるコウジが小さな声で言った。

「……ごめん。」

僕は何故かその瞬間に感じていた。
あの時、僕を殴ったのはコウジだと。

僕の家を襲った動機は及川刑事が解明してくれるだろう。

でも、どんな動機であれ、じいちゃんを痛々しい姿にした彼らを許すことは出来ないだろうと感じていた。

僕は川の様子を伺うと、橋から恐る恐る覗き込んだ。
美しく透明な流れは、いつもと変わらない、静かなせせらぎを鳴らしていた。


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