見出し画像

デジタルタトゥーを消したい③|アマノ文筆クラブ

あれさえなければ、と何度思ったか。

一生懸命書いた記事は誰にも読まれないのに、あれだけは消えない。検索するたび、上のほうに出てくる。埋もれるどころか、増えていく。

傍らの鏡に映る俺の顔は、ますますげっそりしていく。

思い余って、専門業者に相談した。

見積もりを見て、一度は帰ろうと思った。それでも頼んだ。
聞かれたことには何でも答えた。指示されたことは何でもやった。

半年かかった。

検索窓に俺の名前を打ち込む。関連語を足してみる。

出てこない。

もう誰も、あれを見ることはない。
あっけないほどだ。

いつしか俺はまた、人並みにインターネットを使うようになった。
ブログも再開した。誰も読まない記事を、毎日書いた。

深夜、いつものようにアクセスした俺は画面を凝視した。

—— 今朝の記事が、炎上している。

鏡に俺の顔が映っていた。
口元が、緩んでいる。





甘野充さんの、アマノ文筆クラブに参加します。

▼三部作です


#アマノ文筆クラブ #デジタルタトゥーを消したい #ショートショート #創作 #小説 #ABC共創ラボ #AI協働 #共創

いいなと思ったら応援しよう!