デジタルタトゥーを消したい➁|アマノ文筆クラブ
依頼を受けて誰かの過去を消す。
それが俺の仕事。
別に物騒な話ではなく、むしろ地味な作業。
若気の至り。失言。撮られた写真。撮らせた写真。
依頼が来ると、まず検索する。名前、旧姓、当時のハンドルネーム。出てくるものを、片端から拾い上げていく。
事情は詮索しない。
理屈も共感も不要だ。仕事だと割り切ることが必要だから。
転載元をたどり、管理者に連絡し、テンプレートの文面を送る。返事は半分も来ない。来ない分は、法務に回す。一件に、二か月から三か月。
今日のリストを開く。
依頼が並んでいる。
三番目にあったのは、自分の名前だった。
指が止まった。
同姓同名か。
生年月日を確認する。合っている。
旧住所も、合っている。
依頼者名は、作業者の俺からは見ることはできない。そういう決まりだ。
依頼内容の欄。
「検索結果に表示される一切の記録の削除を希望」
俺は、自分の名前を検索した。
出てくる。まだ、全部出てくる。
—— 一切。
—— 誰が。
心当たりは、ある。
俺は、リストの上に戻り、順にいつもの作業を始めた。
一件目、二件目。
そして、四件目に取り掛かった。
甘野充さんの、アマノ文筆クラブに参加します。
▼三部作です。
もう一編、
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