記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

初めて読んだ楳図かずお『14歳』の雑感と、楳図氏の1980年の【自選ベスト5】

楳図の長編では唯一未読だった『14歳』を、2025/10/28~10/30の無料期間に読み終えた。楳図かずおの遺作長編であり、最高傑作かどうかは人によりますが、楳図漫画の集大成だと思う。『漂流教室』のセルフリメイクでありスケールアップ版。『漂流教室』は「(主婦)と息子(小学生)」の時空を超えたつながりだったが、『14歳』では「(米国大統領)と息子(3歳児)」がつながる。「クラインのつぼ」の様に「つながるはずのないA地点とB地点が不可思議(非科学的≒超科学的)な方法でつながる(ワープ?)」というのは、楳図流のモダンホラー/不条理ホラーである『神の左手悪魔の右手』にもあった。

『14歳』の「完全版」はフルカラー18ページが新たに追加されてるらしいが、私が読んだ無料版には無かったと思う。私の雑感は無料版が基準です。



漂流教室』と『14歳』の話の構造は『パンドラの箱』と同じ造り?です。

ゼウスの命令によって人間界に送り込まれたパンドラは、絶対に開けてはいけないと強く言いつけられた『箱(実際は壺)』を持っていました。

『開けてはいけない』という言いつけよりも好奇心が勝ったパンドラは、その箱を開けてしまいます。すると箱の中からは、考えうるすべての災い(犯罪・病気・不幸など)が飛び出し、以後人間はこれらの災いとともに生きていくこととなりました。

パンドラが慌てて箱を閉めたところ、箱の中には『希望』だけが取り残された
、というのが、ギリシャ神話で語られたエピソードです。

主人公達が、人間が考え得る「あらゆる種類の絶望」に見舞われながら、最後の最後には、吹き消されそうな「かすかな希望らしきもの」と共に生きていく覚悟を示して終わる形式で、単純なハッピーエンドからは程遠い
私が「パンドラの箱」の話を知ったのは、小学生の時の聖典だった車田正美『リングにかけろ』で。他に「イカロスの翼」「ナチの親衛隊」も知った。

14歳』は、青年漫画誌に1990(平成2)年~1995(平成7)年にかけての連載。環境問題(地下は大深度まで開発されて超巨大な建造物がいくつもある。ただし日常生活の大半は地上? 突然に地球上にある全ての植物が枯れ果て、上空のオゾン層には穴が開く?)や、少子化(正確には無子化。ある年から突然世界中で子供が産まれなくなり、最後の年に産まれた子供は全員が葉緑素の影響で全身緑色。同じ年齢の米国大統領の息子は頭髪だけ緑色)が、楳図流の奇想天外、荒唐無稽な想像力で描かれている。時代設定は100年後ぐらいの未来(2120年代?)だったと思いますが、出てくる機械や装置のデザインが、近未来的でシャープなものではなく、岡本太郎を思わせる土俗的というのか泥臭い感じなのが面白い。楳図氏は過去のインタビューでスペイン人の芸術家(ピカソゴヤガウディ?)に親近感を覚えると答えていたはず。

楳図流の黙示録最後の審判?である本作は、想像を絶する残忍な世界だが、人類がどこに移動しても、どこまで進化しても、「善と悪」「光と闇」という相対的(逆転しうる)で二つに切り離すことができない難問は解決されないとも感じた。宇宙の果てまでもつきまとう「悪」のしぶとさ、生命力の強さは、逆に「人間の本性」ではないか。「忠実な善人ロボット」の「もの(人工人間)」の存在は、『鉄人28号』の鉄人と同じで、悪人が操縦機を奪えば(操縦者が変われば)、悪人の言いなり(下僕)になるしかない。終盤は『漂流教室』と同じ様に、絶体絶命で解決不可能としか思えない大ピンチの連続。

漂流教室』(1972~74年)にも描かれていた環境問題(環境汚染/公害)は、雑誌連載時の社会問題の反映でもあるでしょうが、『14歳』連載時(1990~95年)には、環境問題は特に騒がれていなかったように思う。『14歳』には、「地球は一つの生命体」であるという?ジェームズ・ラブロックの「ガイア理論」の影響があるのではないだろうか。私は1冊も読んでませんが、日本での最初の出版が1984年。「ガイア理論の影響が見られる作品」リストの中には現時点では含まれていない士郎正宗の『アップルシード』(1985~89年)で私は著者と仮説(の存在)を知りました。同じ作者の『ドミニオン』(1985~86年)にも明白な影響(環境汚染と宇宙移民など)が見られる。イギリス映画の『キングスマン』(2014/英+米)では、サミュエル・L・ジャクソンが演じる悪党が、環境への関心から「地球には人が多すぎる」として大量に人類を殺戮する一大計画を立てているが、その根拠が「ガイア理論」だったはず。

ホモ・サピエンス30万年、栄光と破滅の物語 人類帝国衰亡史』(2025年)という書籍のあきら氏による書評の一部分。私は未読。著者はヘンリー・ジー

ある種が生態系の頂点に達し、あらゆる競争相手を排除してしまうと、「決してあきらめることのない冷酷な相手」との長い戦いが始まり、最終的には敗北することが運命づけられている。

 その敵というのは「地球そのもの」で、光合成する最古の生命が大酸化イベントで大量絶滅したように、人類も自らが生み出した文明の重さによってやがて滅び去るのだ。


楳図氏の環境問題(破壊/汚染)への意識は、ガイア理論の影響?よりもずっと昔からあったんだろう。ほとんど記憶にありませんが『笑い仮面』(1967年)という作品では、「太陽の黒点」の影響が描かれてたかな? アリ人間??

SF作家J・G・バラードと『ニューウェーブ新しい波』運動の関係。

英国を代表する作家。 ~ 人間が探求しなければならないのは、外宇宙(アウター・スペース)ではなく、内宇宙(インナー・スペース)だ」として、SFの新しい波(ニュー・ウェーブ)運動の先頭に立った。

沈んだ世界 - J・G・バラード/峰岸久 訳|東京創元社

SFにおける『ニューウェーブ(新しい波)』運動は1960年代に発生し、1970年代にかけて文学的・芸術的な形式と内容において実験的な作品を生み出した。その主張は、運動を主導した一人であるJ・G・バラードによる「SFは外宇宙より内宇宙をめざすべきだ」に特徴づけられる。

J・G・バラード - Wikipedia


私はSFに関する知識は皆無で、楳図氏が影響を受けているかも判らない。「(脳を含む)身体」にとっての外部環境=世界を「外宇宙」、内部環境=精神を「内宇宙」とするならば、「外部環境」からの影響で「身体と精神」が具体的に影響を受ける(ケガや心の病)という一般的な方向とは反対方向の、「内部環境(精神)」の影響が「身体と世界」に具体的な影響を与える(物質化)という作品が、私が知る限り楳図氏には幾つかあり、『洗礼』(1974~76年)は代表作ではないか。「イドの怪物」のSF映画『禁断の惑星』(1956/米)や「知性を持った海」の『惑星ソラリス』(1972/ソ連)も、このジャンル?に入るか。楳図氏では、『漂流教室』の「怪虫の正体」、『14歳』の偽装してるが正体を言い当てられると消滅する「もの(人工人間)」も、この範疇。

沖仲仕の哲学者」と呼ばれるエリック・ホッファーの『現代という時代の気質』(1972年/晶文社/原著は1967年)の「訳者あとがき」のような文章で
翻訳者の柄谷行人が『現代のアメリカの大都市では、外的な自然は制圧下に治めたが、荒廃した内的な自然(精神)によって都市が食い荒らされている』みたいな文章(何十年も前に読んだきりで不正確です)を書いていた。『アメリカン・バイオレンス』(1981/日+米)に写る極端に治安が悪かった時代

https://k-plus.biz/archives/4244


漂流教室』への『十五少年漂流記』の影響は楳図氏が公言していますが、楳図氏が後に実写映画版のDVDのイラストを描いている『はえの王』の影響もあるらしい。原作者はラブロックの知人?のウィリアム・ゴールディング

ガイア理論ジェームズ・ラブロックにより1960年代に初めて提唱された。この仮説はアルフレッド・レッドフィールドやジョージ・イヴリン・ハッチンソンの先行研究をもとにしている。ラブロックは当初、この理論を「自己統制システム」と命名したが、後に作家のウイリアム・ゴールディングの提案により、ギリシア神話の女神「ガイア」にちなんだ名前へ変更した。

蝿の王 楳図かずお オリジナルジャケット限定仕様』の楳図氏コメント。

S・キングに影響を与えたノーベル賞作家W・ゴールディングの傑作小説を映画化!
「幻」の作品が日本初リリース!

私たちは日頃普通だと思って暮らしていても、
特殊な環境に置かれると自分では気づかない得体の知れないもの…
“隠れた病原体"のようなものが顔を出してしまうことがあると思うんです。
その、人間が持っている本来の自分、“動物的本性"が子供たちの世界に現れてしまうところが、
この物語の怖さではないでしょうか。

―― 楳図かずお (漫画家)

↑は「1963年」の実写映画に関する楳図氏のコメント。↓は「1990年」の実写映画のDVDの解説。
https://order.mandarake.co.jp/order/detailPage/item?itemCode=1204774193


工場で培養されていた一切れの「ささみ肉」に知性が芽生え、本やコンピュータで自習して高知能になる様子は、突然変異で知性を獲得したゴキブリが読書やテレビで自習し人類に対する反逆を決行するが、最後は愛想を尽かして、冷蔵庫を改造したロケットに搭乗して地球を捨て宇宙を目指すのを少年が見送る藤子・F・不二雄の短編『うちの石炭紀』(1978年)を思い出した。

チキン・ジョージの先輩?である、知性に目覚め言葉を話すようになったゴキブリ

滅びゆく地球を捨てて、人間が住める他の惑星に移民する」という設定のSF小説は沢山ありそうですが、私は読んでいないので、読んでいる漫画から、岸 大武郎の短編『方舟』を推したい。「他の惑星への移民」に関する難問の一つに「希望者全員を宇宙船には乗せられないので、どんな基準で誰を選ぶか」というのがあると思います。『14歳』では、「3歳児限定」というエントリーから適任者を選ぶ苛酷な選抜試験が行われる。『方舟』は「選抜基準の欺瞞」と、「愛は凶器だ!」を思わせる〈裏切り〉が出てくる秀作。
藤子・F・不二雄『老年期の終り』も「宇宙移民もの」で胸に沁みる傑作。

「恐竜大紀行」岸大武郎のデビュー作含む初期短編集「SOS!ムシムシ探偵団」刊行


世界一の大富豪で経済界から世界を操作(米国大統領でさえ逆らえない)している最高位グランド・マスターローズの〈永遠の若さと美貌〉への病的な執着は楳図の代表作の一つ『洗礼』。映画『里見八犬伝』(1983)で夏木マリが演じた「玉梓たまずさ」の様に〈不老不死〉を追い求め、ラヴクラフトが原作の『フロム・ビヨンド』(1986/米)の狂科学者プレトリアス博士」の様に様々な形態に変態する。楳図氏は、ホラー映画のガイド本の監修をしているぐらいで、影響は受けてるだろう。『神の左手悪魔の右手』にはH・R・ギーガーの影響があった。もしかしたらイーロン・マスクは『14歳』を読んでいるのではないだろうか? 楳図ファン?のギレルモ・デル・トロ監督は読んでいるだろうけど。

元は普通の人間だった〈トランスフォーム後〉の変態科学者「プレトリアス博士」


『漂流教室』にも出てきて、本作『14歳』にも再登場する「子供達が圧倒的な力を持つ怪物から身を守るため、完全に気配を消して物体になりきり怪物が過ぎ去るのを待つ」という護身術?は、侵略SF映画『未知空間の恐怖 光る眼』(1960/英+米)の影響ではないかと『漂流教室』の時から思ってる。

イギリス南部の小さな村ミドウィッチである日突然、奇妙な現象が起こった。村のある特定地域の全ての人間や動物が一瞬で仮死状態に陥り、3時間後何事もなかったように蘇生したのだ。これと同じ時刻、同じ現象がソ連、カナダ、オーストラリアでも起こった。

2ヵ月後、村中の妊娠可能な女性が相手がいるいないにかかわらず全員妊娠し、男女各6人計12人の子供が生まれた。しかし彼らは成長が異常に早く、3歳にして就学児童並みの体と大学教授並みの知能指数を持つに至った

さらに子供たちは一様に同じような美しい顔だちと金髪と金色に光る眼、さらに人の心を透視しコントロールする超自然な力を備えていた。村に住む物理学者ゴードンを始めとする科学者たちは、彼らが未知空間から飛来した異質の生命であろうと推測する。

「あらすじ」の前半部分

早熟過ぎる3歳児」と「異星人による托卵たくらん」の部分も『14歳』に影響を与えているかも。後者の托卵は、後半に天女てんにょみたいな外見の異星人が地球に大挙して降臨し、強引に地球人と生殖行為に及ぼうとして失敗?していたが。「護身術」の部分とは、『光る眼』では、人間の眼を見つめるだけで心に侵入して意のままに操る超能力を持つ子供たちに操作されないように「頭の中で〈レンガの壁〉の事だけ考えて侵入を拒否する」という場面との類似性。

原作小説はジョン・ウィンダム『呪われた村』(1957年)
https://aucfree.com/m/items/g408831285


少年漫画誌に掲載の漫画には「子供や愛玩動物の残虐な死を描かない」という、良識というか暗黙のルールみたいなものがあるのではないでしょうか。『はだしのゲン』やアニメ映画『火垂るの墓』の場合は、実際にあった戦争を描いているので残酷な描写にも批判は起こらないが、フィクションの作中で大量の小学生が残酷な死に方をする『漂流教室』の連載時(週刊少年サンデー)の反響はどうだったんだろう。私は1980年代後半か90年代の前半に古本屋で新書判の全巻セットを買って読んだが、その時にはスプラッター映画を経験しているので、むごいとか残酷とかは感じたが、ラストは大感動した。

少年漫画誌の連載で(病気や災害以外で)子供が残酷な死に方をする」作品は、私が知る限り、永井豪の『ハレンチ学園』の「ハレンチ大戦争(未読)」とジョージ秋山の『アシュラ』。どちらも1970年頃の作品らしく、当時はどちらも抗議運動?があったらしい。白土三平の忍者ものは「苛酷な生存(≒階級)闘争」として除外。永井の短編『ススムちゃん大ショック』は1971年。
大量の猫が無残に殺される『猫面』の発表媒体は大手ではない弱小貸本誌

楳図氏は『漂流教室』で「第20回小学館漫画賞」を受賞していますが、『ハレンチ学園』の擁護もしていたらしい教育評論家のカバゴンこと阿部 進氏が受賞後に楳図氏に耳打ちした話では、阿部氏も審査員の一人だった審査の過程で同作を推していたのは阿部氏だけだったとの事。その時代の空気を知りませんが、あれだけ大量の子供が無残な死に方(しかも半数ぐらいは内ゲバ)をする少年漫画に賞を与えるのは勇気がいったでしょう。『ハレンチ学園』の作者の永井 豪は、当時の糾弾を《ハレンチ描写よりも、余りに理想の教師像からかけ離れた教師達の描写を問題視したのではないか》と推測したらしいが、『漂流教室』でも、漂流後の異常な環境に耐えられずに自殺する教師や、狂ってしまい生徒を殺す教師、卑怯な用務員を容赦せずに描いている。

『14歳』以後の長い休筆の理由は「正当に評価されないから」と語ってる。


楳図かずおが1980年に記した「因縁話」と「不条理(無縁/無差別)な恐怖」。

_子どものころ日本映画の「四谷怪談」や「鍋島の猫騒動」などの怪談ものをよく見ていましたが、ストーリーはおもしろいが、どうも恐怖が身に迫ってこないのです。なぜかといえば、「四谷怪談」では、伊右衛門(いえもん)は、妻のお岩を毒殺したからその亡霊に悩まされる、「鍋島の猫騒動」でも、猫や猫の飼い主を殺した人のところに妖怪が現れる――といういわば因果関係の糸の中だけで起こることで、そこに含まれないぼくたちのところには、亡霊が出るはずはないと、もうバレちゃってるからなんです。_これに比べてフランケンシュタインってのはこわかったんです。生まれた事情そのものがふつうでないうえに、怨念や復讐ということに関係なく、意味もなく次つぎと人間を襲ってしまうのですから。いつ、ぼくのまえにもフランケンシュタインのような化け物が現れるかもしれないと思うと、作り話だとわかっていても、やっぱりこわいんです。_人間は、得体の知れない原始的なものに対して、より恐れを抱くものだ、そんなふうに考えて、ぼくは『へび少女』をはじめとして、一連の恐怖ものを描いてきたわけです。だからぼくのまんがには幽霊が出てきません。因果関係によって特定の人のところだけに出てくる現象を描くより、むしろ実在したり変型したりした怪物の方が、読者により恐怖を与えられると思ったからです


本作『14歳』でも、いつもの楳図作品のように子供たちが「ダダダダッ」と勢いよく走る描写(←私は古臭く感じる)が沢山あるけど、酒井七馬の影響⁈

ぼくがまんがを描くうえで影響をうけたのは、同世代のまんが家と同じように、手塚治虫氏でした。手塚まんがは、ぼくのテキストであり、必読書であったといってよいでしょう。_しかし、ぼくにはもう一人、影響をうけたまんが家がいました。東京ではあまり知られていませんが、大阪で一時期活躍した酒井七馬さかいしちまという人です。この酒井氏から、ぼくはコマのはこび方を学びました。まんが家の中にも、コマからコマへと急に飛躍してしまって、流れがまるっきりわからなくなる場合がありますが、酒井七馬氏は、コマのはこびが映画的なのです。文字で説明するのではなく、絵をたどっていくと、話が実にスムーズに頭に入ってくるのです。_コマをていねいに細かく描くから、テンポはスローですが、通してみるとよくわかって迫力があるのです。酒井まんがは絵の分解とスピードを勉強するうえで、非常に参考になりました。ぼくにとっては酒井まんがはお手本であり、独特の個性にみちあふているように思えましたが、全国的にはそれほど話題にならずに終わったのは残念です。

『まんが劇画ゼミ⑥ 楳図かずお|柳沢きみお|江口寿史』(1980年/集英社)


2022年
の『文學界』のインタビューでも、酒井七馬の影響を語っています。


楳図の『アゲイン』と、酒井+手塚の『新宝島』(1947年)を比較してみた。

https://jp.mercari.com/item/m82078106317
新寳島|マンガ|手塚治虫 TEZUKA OSAMU OFFICIAL

私の眼には「明らかに影響を受けている」と思えますが、いかがでしょう。

https://www.kumanekodou.com/24577/


好きな短篇『Rojin(※老人)』(1985年)は『14歳』の始まり?だったらしい。

「ビッグコミックスピリッツ」(小学館)に連載した「14歳」(1990年)の前に、「ビッグゴールド」(同)に描いた短編「Rojin」(85年)のお話をしたいと思います。この作品が「14歳」の始まりだからです。

《5歳の少年まなぶは、公園の原っぱの穴で異形の怪物を見つける。怪物は自分を「ロウジン」だと言うが、まなぶはそんな人間を見たことがない》

その頃、日本人の寿命が延びたことがニュースになっていました。また僕のいつもの逆転の発想で、「もしかしたら、本当は寿命は縮んでいるんじゃないか?」と思ったんです。延びているように見えるのは錯覚なんじゃないか。

《まなぶの住む世界では、人間は20歳までしか生きられない。まなぶの父もまもなく寿命で、彼は父の仕事を継いで「大人」にならねばならない。ここには遊び回る子どもはどこにもいなかった。黒い風刺に満ちたSFだ》

これを描いた後、若くして寿命が決まっているのは怖いなと思ったんです。それが、「14歳で人類が終わる」と冒頭で予言される「14歳」につながっていきます。

[時代の証言者]怖い!は生きる力 楳図かずお<27>「14歳で終わる」世界 _ 読売新聞


☆「まんがで未来を先取り」するのが「描き続ける」ことの答え

最後に、ぼくがなぜまんがを描き続けるのかという答えを出して、全体のまとめとします。ぼく自身、人間の未来はどうなっていくかに非常に関心をもっているのです。人間の未来を想像力で先取りすることに、まんが家としての使命を感じている、などというとちょっと大げさですが、生きがいとしていることは確かです。_だからといって、今ぼくが、表現しているまんがには、人間の未来像があるとはいえませんが、描いていく意識の奥には、そういった光があって現実を照らしている程度のことはいわしてください。『まことちゃん』でも、子どもの動きを通して、一〇年先、二〇年先の人間はどう変わっていくだろうか――と少しは追求しているつもりです。_未来を先取りするには、まんがくらい有効な手段はありません。まんが家のイメージにあるものが、すべて現実化されるとは限りませんが、ふた昔もまえにまんがに描かれた、月世界旅行や火星探検、ロボットなどが次つぎと現実のものになっている例を見ると、やはり、まんがは未来を先取りしたと思ったりするわけです。今はギャグを中心に描いているぼくも、こうした未来指向の上で、また変貌へんぼうをとげるかもしれません。

楳図氏の「1980年」の文章。『まんが劇画ゼミ⑥』(集英社)より。



★ 楳図かずお 【自選ベスト5】(1980年)

●自選ベスト5
毎日描き続けていると、それぞれの作品に愛着がありますし、逆に、どうでもいい、語りたくないという気分にもなるものです。あえてあげてみました。

★『愛の奇跡』(美しい十代・学研)
 SFともミステリーともいえる幻想的ロマンです。

★『ほら』『宿やど』『ろうそく』『』など
 「ビッグコミック」に描いた一連の短編。文学的な小品のつもりでもあ
 り、ミステリー・SFにもとれるさまざまな実験を試みたつもりです。

★『底のない町』(三島書房) 『お百度少女』(少女ブック)
 初めて単行本になったものと、初めて雑誌に載った恐怖ものです。

★『別世界』(トモブック社)
 ぼくのデビュー作です。

★『チーコさんとモン太君』(三島書房)
 『幽霊を呼ぶ少女』の下に入れた四コマまんがです。モン太君は、いま
 『まことちゃん』でも活躍中です。

『まんが劇画ゼミ⑥』(1980年/集英社)の70頁より


関係ないですが、私の「楳図長編漫画」のベスト4は『漂流教室』『まことちゃん』『洗礼』『猫面』。「短編漫画」のベスト3は『Rojin』『恐怖人間 残虐の一夜』『楳図かずおの呪い(ビデオカメラに何が写ったか?)』。
短編『恐怖人間』と『ビデオカメラに何が写ったか?』は、↓の本に収録⁉


『愛の奇跡』は『愛の奇蹟』が正しい? 『イアラ』に収録されている??

『イアラ』では「短編シリーズ」と「連作版」は違うらしくて、↓が解説。


底のない町」は「猫目小僧」「まことちゃん」「わたしは真悟」などホラー、SF、ギャグと多彩で上質な作品を世に放ち続けたエンターティナーな漫画家「楳図かずお」の初期代表作で貸本の三島書房から発行された「岬一郎シリーズ」第一作でもあります。それがなぜか他の作家と「合本」形態になって再出版。(よほど人気があったのでしょうか…) ~~中略~~ 作品内容は各著名人、楳図ファンからも「とにかく傑作」と謳われていますが、いわゆる探偵スリラー。          ※↓の【コメント】から引用

また、主人公岬一郎は楳図かずお後年の作品「14歳」に総理大臣として登場する                   ※↓の【コメント】から引用


お百度少女』は『少女ブック』の1958年5月号の付録に収録されている。


短編『』(1962年)の扉絵。『デッドリー・スポーン』(1983/米)みたい。

[8165] 三洋社_アンソロジー「別冊ハイスピード ・恐怖漫画特集」
https://www.buyuru.com/item_756807_2.html


関係ないことしか書いていませんが、小学四年生の作文で『まことちゃん』に出てくるウンチの種類(カチグソ?ビチグソ?)を分類したものを提出した。
『まことちゃん』は一話完結が基本の「長期連載ギャグ漫画」ですが、ある話では、まこと達が海岸の砂浜で、砂を固めてウンチの砂像を作りながら、『ババは関西弁でウンチという意味だから、ジャイアント馬場ばばは〈大きなウンチ〉という意味なのら』『ギョエ~』というような会話の場面があった。

https://order.mandarake.co.jp/order/detailPage/item?itemCode=1189156981


14歳』の「完全完結版」のラスト? 実際はフルカラーらしいのですが。

「14歳」で加筆されたラスト。子どもたちは時空を超えて地球に帰還する
[時代の証言者]怖い!は生きる力 楳図かずお<29>連載終了から17年 完結 _ 読売新聞


*****関連投稿*****


#楳図かずお #14歳 #小学館 #ネタバレ #黙示録 #阿鼻叫喚 #地獄絵図 #漫画感想文 #最後の審判 #酒井七馬

いいなと思ったら応援しよう!