うつ病の治療で1番大切なこと|主治医との信頼関係と精神科医の限界を知る
うつ病の治療で1番大切なことはなんだったのか
そのことについて、ときどき考えることがある。ぼく自身の治療を振り返ったときに思うのは、「主治医との信頼関係」+「精神科医の限界を知る」ということだ。
プロを信頼し、まずは従ってみる
精神科医はプロだ。そして、当時のぼくはそのプロの力を必要としている患者だった。
だから、まずはそのプロの判断に従うのがセオリーだとぼくは判断した。そもそも、その判断に反論するだけのロジックを組み立てる余裕は、当時のぼくにはなかった。当時のぼくの脳機能は大幅に低下していたし、自分に何が起こっているのかも、この状態からどう立て直していいのかも分からなかったからだ。
だから、医療の力を借りるために、プロである精神科医に救いを求めた。 自分が陥っている状態や状況を、可能な限り言葉にして説明した。そして「主治医の提案を信じて、まずは一度従う」と決めて、それを着実に行動に移した。
治療のプロセスは平坦ではなかったし、とにかく時間がかかった。けれど、医師の言葉を信じて動く中で、良い意味でも悪い意味でも変化が確認できた。だからこそ、ぼくは主治医を信頼することができたのだ。
「そんなに焦って減薬しなくてもいいんじゃないかな」と言われたときは、自分では焦っているつもりはなかったけれど、アドバイスを受け入れて減薬のスピードを落とした。信頼していたし、向こうがプロだからだ。
精神科医の「限界」を知る
ぼくがそんなにあっさりと主治医を信頼できたのには、もう一つの理由がある。それは、うつ病から回復するためには、「医師の診察は必要なプロセスのごく一部でしかない」と最初から理解していたからだ。
精神科医ができることには限界がある。彼らは専門的なトレーニングを受けたプロだけれど、なんでもできる全能の存在ではない。特に保険診療においては、初診こそ30分以上の時間をとってもらえたものの、それ以降の診察は5分か10分程度で終わる。
これは決して彼らが悪いわけではなく、日本の保険診療の制度上、仕方のない仕組みなのだ。
ぼくはこのことを、本格的な治療が始まる前に「精神科医ユーチューバーの益田先生」の動画で学ぶことができていた。そのため、早い段階から「主治医との診察で期待できることと、できないこと」の線引きができていたのだ。
診察室をあとにしたぼくが、日常をどのように過ごし、どう行動するかまでを医師は見ていてくれない。だからこそ、ぼくは自分の足で立ち、自分なりの正解を見つけて成長し、この状態から回復する方法を自力で見つけ出さなければいけないのだと理解した。
(これは別の機会に詳しく書くが、それが理由で、ぼくは心理士さんによる認知行動療法を同時に始めたし、ヘルスデバイスで正確な睡眠時間を計測し始めたし、毎日の出来事を日記のようなものに記録し始めた。)
医師との「役割分担」
話を戻すと、ぼくと主治医の関係性における役割分担はこうだ。
ぼくの役割:処方された薬によって体がどう反応したのかを正確に記録し、伝えること(睡眠時間、睡眠障害の状態、気分の浮き沈み、やる気の有無、副作用、離脱症状など)。
主治医の役割:その情報をもとに、ぼくに適した薬を処方し、量を調整すること。
この情報のアップデートを月に1回の診察で行い、二人三脚で完治を目指した。
あまりに長い時間がかかったし、変化はゆっくりだった。右肩上がりに回復したわけではないので何度も挫けそうになったし、自分のやり方に疑念を抱くことも多かった。「もう二度と治らないんじゃないか」と何回も思った。
けれど、「41回の診察、期間にして2年10ヶ月」という時間の中で地道にこのプロセスを繰り返した結果、ぼくはうつ病の治療を正式に終わらせることができた。
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