【妄想考察】『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』、豪華なのに楽しみより不安が大きい理由
【妄想考察】大人数、旧主役の復帰、TVA。これは本当に一本の映画に収まるのか
2026年8月3日
『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』の出演者は豪華だ。
ソー、サム・ウィルソン、アントマン、シャン・チー、ロキ。
ニュー・アベンジャーズ。
ファンタスティック・フォー。
旧『X-MEN』シリーズの人物たち。
ワカンダとタロカン。
さらに、クリス・エヴァンスがスティーブ・ロジャース役で戻り、ロバート・ダウニー・Jr.がドクター・ドゥームを演じる。
本来なら、名前を読んでいるだけで胸が躍るはずだ。
ところが私の場合、公式キャストを見て最初に浮かんだのは、
「これ、本当に一本の映画に収まるのか」
という疑問だった。
私は『ドゥームズデイ』を観る。
おそらく、かなり早い時期に観る。
ただ、現時点では楽しみより不安の方が大きい。
『インフィニティ・ウォー』も大人数だった
大人数だから失敗するとは限らない。
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』にも、多数のヒーローが登場した。
それでも物語が大きく崩れなかったのは、主要人物の紹介と関係構築が、各単独作品ですでに終わっていたからだと思う。
トニーとスティーブは対立している。
ソーは家族と故郷を失っている。
ガーディアンズは、少し変わった家族になっている。
ティ・チャラはワカンダの王である。
観客は、人物の名前だけで立場や目的を理解できた。
そして物語の中心には、サノスがいた。
ヒーローがどこで何をしていても、最終的にはサノスとインフィニティ・ストーンへ話が集約された。
『ドゥームズデイ』は条件が違う。
長期間登場していなかった人物。
別のユニバースから来る人物。
結成されたばかりのチーム。
単独映画を終えたばかりのF4。
そして、新たに説明しなければならないドクター・ドゥーム。
再会だけでも時間がかかる。
世界の違いを説明するだけでも時間がかかる。
全員を一度戦わせるだけでも時間がかかる。
豪華な食材はそろっている。
ただ、鍋の大きさが心配なのだ。
まず、現在のアベンジャーズは誰なのか
『エンドゲーム』が公開されたのは2019年。
それから新しいヒーローは増えたが、新しいアベンジャーズの形は長く見えなかった。
サムはキャプテン・アメリカになった。
キャロルは宇宙を飛び回っている。
ソーも地球にはほとんどいない。
クリントは実質的に引退状態。
スパイダーマンは、親しい人たちの記憶から消えた。
ストレンジはクレアと別次元へ向かった。
ハルクは、突然息子を連れて帰ってきた。
さらに『サンダーボルツ*』では、別のチームがニュー・アベンジャーズと名乗り始めた。
ポストクレジットでは、サム側のアベンジャーズと名称をめぐって対立していることまで示されている。
では、正規のアベンジャーズはどちらなのか。
サムは誰を集めたのか。
ニュー・アベンジャーズは、競合相手なのか、協力する相手なのか。
地球規模の緊急事態で、誰が指揮を執るのか。
世界を救う前に、まず組織図を見せてほしい。
F4は、もう大型クロスオーバーへ入るのか
ファンタスティック・フォーが不要だとは思わない。
問題は、合流の早さである。
F4の魅力は、能力者が4人いることだけではない。
彼らは家族だ。
リードとスーの関係があり、ジョニーとベンの関係があり、その家族全体とドクター・ドゥームの因縁がある。
本来なら単独映画をもう一本使い、家族としての時間と、リードとドゥームの関係を育ててもよかった。
ところが登場後、すぐにアベンジャーズ、X-MEN、ワカンダまで集まる映画へ参加する。
新入生が、入学直後に全国大会へ連れていかれるような慌ただしさがある。
ドゥームを大きな敵にするなら、リードとの個人的な因縁は重要なはずだ。
ロバート・ダウニー・Jr.が演じるという話題より先に、ヴィクターとリードの関係を見せてほしかった。
X-MENを一度に大勢呼ぶ必要はあったのか
X-MENも同じである。
旧シリーズの俳優たちが再登場すること自体はうれしい。
ただし、プロフェッサーX、マグニートー、サイクロップス、ビースト、ナイトクローラー、ミスティークらを一度に入れると、再会の拍手だけで映画の空気が変わる。
旧『X-MEN』への郷愁や俳優ネタは、『デッドプール&ウルヴァリン』の中で扱うだけでも成立していた。
MCU本線へX-MENを導入するなら、『マーベルズ』で別世界へ取り残されたモニカを入口にし、ビーストから少しずつ広げる方法もあった。
少人数なら、キャラクターとして見られる。
大人数で一斉に戻すと、登場そのものがイベントになる。
『ドゥームズデイ』が映画ではなく、巨大な同窓会にならないかが心配だ。
クリス・エヴァンスまで戻すのか
クリス・エヴァンスの復帰には、うれしさと不安が同時にある。
公式ティザーでは、クリス・エヴァンスがスティーブ・ロジャースとして戻ることが明示された。
一方、現在のキャプテン・アメリカはサム・ウィルソンである。
2人がどのように役割を分けるのか、スティーブがどの立場で前線へ戻るのかは、現時点では確認できない。
それでも、『エンドゲーム』でムジョルニアを持ったスティーブは、MCUでも最大級の盛り上がりを生んだ人物だ。
そんなスティーブが前線へ戻れば、盾を持っていなくても観客の視線は集まる。
サムが現在のキャプテン・アメリカであることと、映画の中で誰が最も大きく見えるかは別の話だ。
スティーブの物語は、『エンドゲーム』できれいに終わっていた。
彼は戦い続ける人生を離れ、自分の時間を取り戻し、盾をサムへ渡した。
復帰するなら、その結末を安売りせず、サムを支える役割にしてほしい。
盾は渡した。
次に渡すべきなのは、観客の視線なのかもしれない。
ロバート・ダウニー・Jr.の顔が強すぎる
ロバート・ダウニー・Jr.は、トニー・スタークではなく、ヴィクター・フォン・ドゥームを演じる。
アイアンマンをそのまま生き返らせるわけではない。
それでも、観客が彼の顔を見て最初に思い出すのはトニーだろう。
ドゥームの思想を考える前に、
別世界のトニーなのか。
顔が同じことに意味があるのか。
スティーブは彼を見て何を思うのか。
という疑問が生まれる。
それが物語の仕掛けなら面白い。
だが話題性を優先した配役なら、ドクター・ドゥーム本人がトニー・スタークの影に隠れてしまう。
ドゥームは、アイアンマンの悪役版ではない。
リード・リチャーズとの因縁があり、自分の知性と支配こそが世界を救うと信じる、独立した巨大な人物だ。
マスクをかぶる人物なのに、演じる俳優の顔が強すぎるのである。
懐かしい顔が戻るほど、新しい世代が小さく見える
スティーブ。
ロバート・ダウニー・Jr.
旧X-MENの俳優たち。
劇場で登場すれば、間違いなく盛り上がる。
ただし、その盛り上がりは新しい物語への期待なのか、過去作を見ていた記憶への拍手なのか。
そこは分けて考えたい。
『エンドゲーム』後に必要だったのは、トニーやスティーブの代用品ではなく、その後を任せられる新しい中心人物だったはずだ。
サム。
シャン・チー。
シュリ。
キャロル。
スパイダーマン。
カマラやケイトたち。
ところが彼らの関係を十分に育てないまま、旧シリーズの主役たちが戻ってくる。
バトンを渡したが、心配になって前の走者が戻ってきたようにも見える。
復帰すること自体が悪いわけではない。
彼らが新しい世代を支えるなら意味がある。
しかし映画を観終えたあとに「やはりトニーとスティーブは最高だった」だけが残るなら、人気は一時的に戻っても、次へはつながらない。
必要なのは、「サムたちの次を見たい」と思わせることだ。
TVAが便利すぎないか
もう一つの不安は、TVAである。
『ロキ』の中で、TVAは面白く、同時に危うい組織だった。
時間軸を管理し、不要と判断した分岐を剪定する。
誰が正しい歴史を決めるのか。
誰を残し、誰を消すのか。
その問い自体が物語になっていた。
ところがMCU全体では、TVAが設定整理の便利な窓口になりやすい。
俳優が違えば変異体。
過去の人物が戻れば別時間軸。
設定が食い違えば分岐世界。
不要になった展開は剪定。
何でも説明できる。
しかし、何でも説明できる設定は、何が起きても驚きにくくなる設定でもある。
誰かが死んでも、別世界に同じ人物がいる。
世界が壊れても、別の時間軸がある。
大量の変異体がいても、TVAが監視している。
これでは危機や喪失の重みが薄くなる。
TVAを登場させるなら、「困ったときに説明してくれる役所」ではなく、存在していること自体が怖い組織として扱ってほしい。
設定変更の粗大ごみ回収所にしてはいけない。
ドゥームを中心に置けるか
これだけ人物が多い映画を成立させるには、中心が必要だ。
『インフィニティ・ウォー』では、それがサノスだった。
『ドゥームズデイ』では、ドゥーム本人がその役割を担わなければならない。
何を守ろうとし、何を切り捨てるのか。
なぜ他人を信用しないのか。
なぜ自分の秩序だけが正しいと考えるのか。
ロバート・ダウニー・Jr.の登場を驚かせることより、ヴィクター・フォン・ドゥームを理解させることが重要だ。
再登場キャラクターの出席確認で映画を進めるのではなく、全員の行動がドゥームの思想へ集約される必要がある。
そこまでできれば、大人数でも映画になる。
できなければ、映画一本を使った豪華な予告編になってしまう。
それでも、観る前に整理しておきたい
私は『ドゥームズデイ』が失敗すると決めつけているわけではない。
ルッソ兄弟には、大人数を整理した実績がある。
ドゥームが強烈な中心人物になれば、巨大な娯楽映画として成立する可能性は十分にある。
サムとスティーブの関係も、旧世代から新世代への継承として描けるかもしれない。
それでも現時点では、楽しみより不安の方が大きい。
キャストは多い。
別世界も多い。
懐かしい顔も多い。
そして、現在のMCUには、まだ回収されていない話も多い。
それでも私は、『ドゥームズデイ』を観る。
ただ、その前にもう一つ整理しておきたい。
これだけの人物と世界を集める一方で、これまでのMCUが置いてきた物語は、いったいどれだけ残っているのか。
次の記事では、『エンドゲーム』以降の未回収案件を仕分けしてみる。
主な確認元
The Walt Disney Company「Marvel Studios Stuns San Diego Comic-Con with ‘Avengers: Doomsday,’ ‘Ghost Rider,’ and ‘Black Panther 3’ Reveals」2026年7月25日
The Walt Disney Company「Walt Disney Studios Wows CinemaCon Attendees at 2026 Gathering in Las Vegas」2026年4月16日
The Walt Disney Company「Marvel Studios Announces ‘Avengers: Doomsday’ Cast」2025年3月26日
Marvel.com「Watch the ‘Avengers: Doomsday’ Teaser Trailers」2026年1月13日
TIME「The Thunderbolts Post-Credits Scene Sets Up Fantastic Four」2025年5月2日
Marvel.com「Stephen Strange’s Hello and Goodbye to the Love of His Life, Christine Palmer」2022年5月18日
情報確認日:2026年8月3日
