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ミスドでは、欠かせない。オールドファッションの安定感🍩

ミスタードーナツへ行き、トングを持つとカチカチする。あれはドーナツを取る道具ではない。冒険者に与えられる聖なるトングである。しかも日本一号店は大阪の箕面店だったらしい。昔住んでいた場所の近くである。となると、私はもうミスド育ちと言ってもいい。心の本籍地は箕面店である。

ショーケースの前に立つと、妻や娘は新商品や期間限定へ迷いなく進んでいく。まるで若き冒険者だ。ピンク、黄色、チョコ、クリーム。棚の上には、見たことのない新大陸が並んでいる。だが私は毎回、茶色い大地へ帰ってくる。オールドファッションである。あの派手さのなさ、浮かれなさ、媚びなさ。ドーナツ界の無口な職人みたいな顔をして、ただ黙ってそこにいる。私はその背中を見てしまうと、もうトングを伸ばさずにはいられない。


昔は違った。百円セールの時代、私はチョコファッションやオールドファッションハニーを選んでいた。同じ百円なら、何か乗っているほうが得だと思っていた。フレンチクルーラーよりエンゼルフレンチ。チョコレートよりダブルチョコレート。ポン・デ・リングよりポン・デ・ショコラ。完全に、糖衣をまとった貧乏性である。今思えば、あれは味を選んでいたのではない。トッピングという名の戦利品を数えていた。

年を重ねると、箱の中はだんだん茶色くなっていく。ポップな店内で選んだはずなのに、家で開けると、まるで古文書の詰め合わせである。だが、その地味な茶色がいい。新商品は一口もらえば楽しい。

期間限定も話題にはなる。けれど、最後に自分の皿へ置きたいのは、結局オールドファッションである。派手な祭りのあと、黙って家の鍵を開けてくれる存在。私にとってミスドとは、流行を試す場所ではなく、帰る場所なのである。

今日も私は、ショーケースの前で少しだけ冒険者の顔をする。そして結局、いつもの茶色い職人をトングでつかむ。新大陸にはまた今度行く。私の旅は、だいたい箕面店あたりで終わっている。

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🔗 本編次話はこちら👇

↩️ 前話はこちら:期間限定?アレンジ?やっぱ定番やろっ❣️

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