260305 焦燥、マグマ
今日のプレイ・リストから 501
"Impatience, Magma"
カテリーナ・バルビエリ
サックス:ベンディク・ギスケ
遠くの丸屋根はサンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂、手前の尖塔はサン・ジョルジョ・マッジョーレ教会でしょう。多分、2人はヴェネツィア大運河の北岸、スキアヴォーニ河岸を歩いています。
カテリーナ・バルビエリとベンディク・ギスケなんでしょうね。
バルビエリはボローニャの出身ですが、2025年からヴェネツィア・ビエンナーレ・ムジカ(VBM)の芸術監督を務めています。1930年にムジカが創設されて以来、最年少記録となる35歳。異例の大抜擢です。誰が選んだのでしょうか。
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バルビエリの前任者、作曲家のルチア・ロンケッティは、2021年にVBMの100年近い歴史で初めての女性芸術監督となりました。彼女は期待に応えて、2023年に印象に残る、勇気あるキュレートをしています。
一つは、VBMにジョン・ゾーンを招いています。ヴェネツィアは15世紀に世界で最初のゲットーができたところです。華やかな水上都市は、『ベニスの商人』でもわかるとおり、ユダヤ人差別が影を落とすところでもあります。その芸術祭に、自らの出自であるユダヤを強く意識する、最もアグレッシブな音楽家の一人を呼んだんです。
また、ブライアン・イーノに金獅子賞を贈っています。イーノはロキシー・ミュージックなんてグラム・ロック・バンドに在籍していた経歴があります。しかも、イーノはNon-Musicianを自称しています。いわば、初めてロック界が輩出した、非音楽家である受賞者です。
確証はありませんが、こんなロンケッティなら、3つ目の英断として、後任をバルビエリに託したとしても不思議はありません。
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バルビエリは、イタリアの新進気鋭電子音楽家です。クラシック音楽に裏付けられた高い教養を持ちながら、アナログ・モジュール・シンセサイザーを駆使して、ミニマルやドローンの音響を創っています。あるカトリック教会から「悪魔の音楽」として演奏を禁じられた経験もあります。
前衛演奏家との共演も多く、本曲はギスケとのセッションです。ギスケはノルウェー人のサックス奏者です。幼少期をバリ島で過ごしたからか、第4世界を標榜したジョン・ハッセルの影響を受けているそうです。ベルリン、クィア・テクノの大立者としても有名です。
本曲を含むEPに収録された4曲は、いずれも二つの名詞が「,」で並んでいます。前がギスケの、後ろがバルビエリのテーマなんでしょう。「焦燥」のサックスと「マグマ」のシンセシス。11分以上続く秀作です。
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教会の見え方から言って、河岸を西(写真右方向)へ行くとジュスティニアン館があります。ビエンナーレ財団の本部が置かれています。ひょっとすると、2人はそこから出てきて、VBの主会場となるアルセナーレへでも向かっているところなのかもしれません。
伝統と前衛が交錯するVBM。今年は10/10~24の15日間です。行きたい!(無理無理)
