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リソグラフで作る初めてのワンシートZINE、奮闘記

 憧れていたけれど、いざ自分では何を書いたらいいのかわからなかったし、自分が作るための理由付けができなかった「ZINE」。しかし急展開、思い立ってから10日でZINEが出来上がった。

 数年間重い腰を上げられずにいたのに、気が付けば次のZINEの構成を練っている自分がいる。一体何が起こったのか。

何を目的にZINEを作る?

1月末
 大尊敬している編集者の方にお話を聞く機会があった。20年以上リトルプレスを続けている方だ。その話のある部分がZINE作りに対する考え方という点ですごく腑に落ちた。

「自分を語る」というのは、常に自分のことを考えているということではありません。自分の考えを言うことを恐れない、周りの目を気にして言えなかったことを「それでも自分はこう思う」、と言えることだと思います。そして、そのように自分を表現することで初めて、“仲間”に出会うことができるんじゃないでしょうか。
「仲間」は「友達」とはまた別で、一緒に何かに立ち向かえる同士のようなものだと考えています。同じ目線を持つ仲間と繋がりを持つ方法は、必ずしも同じ時間を共に過ごすことだけではありません。長年個人出版を続けていて強く思うのは、そういう仲間には「印刷物を作ると出会える」ということなんですよね。

どうやって自分のキャリアを築いたか 編集者 林央子さんに聞く30代の働き方

2月6日(金)
 インタビューを編集し、記事にまとめる中で、あらためて、どこか実感が持てなかった「ZINEを作る」という行為が急に自分の生活に迫ってくるような感覚があった。

2月7日(土)
 なんとなく書きたいテーマを考えつつ、まだあまり思いつかない。いきなり「ZINE 印刷」などと検索して、いろいろな印刷所がZINEのプランを用意していることを知る。何ページの何を書きたいのかもまだわからず、ZINEのイメージがどんどん自分から遠のいていく気分になる。1文字も書き出す前からいきなり印刷のことを考えてしまうようなところが、色々な物事の初動につまづく原因なんだと今振り返ると思わなくもない。

なぜリソグラフを選んだ?

2月8日(日) 
 完成のイメージがわかなくてモヤモヤする中で、そういえば!と思い出し、本棚から昨年末に購入したROMIさんの「待っていないで探して作る」を取り出して再読。紙や印刷にこだわるのは、もう少し先でもいいかもと思っていたが、まだ手探りだからこそ、逆にまずは印刷をしてみてもいいのかもしれない。

リソグラフとは

リソグラフスタジオを探そう

 思い立ったら早速、リソグラフ印刷機が使えるスタジオを探してみる。リソグラフを製造している理想科学工業の公式サイトには、導入しているスタジオがまとまっているページがある!いわゆる正規取扱店という感じなので安心。

 スタジオによって使えるインクの色の数や種類、ワークショップの有無や時間単位、製版の金額などが異なるので、用途に合わせて選ぶのが良さそう。一旦手帳に気になるショップを書き出しつつ、片っ端からインスタをフォロー。元々知っていたスタジオもあったが、知らなかった素敵なスタジオもたくさん知ることができた。インスタでは、ワークショップなどのイベントの告知もキャッチアップできるし、他の方の作品も紹介されていて参考になる。眺めているだけでもかなりモチベーションが上がった。

2月9日(月)
 仕事の休憩中もリソグラフのことが気になってそわそわしてしまう。そして、この投稿を発見。

 鉄は熱いうちに打てとばかりに今週末。しかも空きがある。1週間でデータは作れるのかとか不安もあるけど、行くしかない!とそわつく。

参加者同士で、ZINEを囲んでおしゃべりしたり、アイデアを練ったり

onten 春の蔵前 ZINEづくりワークショップ

 こちら、人見知りである。しかも、その時脳内にあったアイデアは、年始からnoteで続けている「一日一捨」のLite版(これはいずれ1年分くらい溜まったら1冊にまとめたいと考えていたので、そのトライアルも兼ねて)。

 初対面の方々に、汚部屋を知られたくない…!スタジオのインスタを見る限り、イラストレーターやデザイナーさんが写真やイラストを中心とした作品を多く作っていそうな印象。素敵なクリエイターの方々が集まる中で、のそのそ汚部屋から這い出てきた私が人生の恥を晒すテキストをお披露目してしまう瞬間を想像して恐ろしくなる。散々ネットの海に黒歴史を放流してきた人間も、紙に残すってこんなに覚悟がいることなんだと改めて自覚。

 迷う。でも私には、ZINE作りにおいて心強い先輩方がいる。先日2年越しに感想noteを書いたツドイの編集学校は、卒業生たちがみんな集まるDiscordチャンネルがある。そして、卒業生には素晴らしいZINEを発表している方々が多くいる。

 早速Discordチャンネルで弱音を吐いたら、同期の鈴希のんちゃんに背中を押してもらった。(ありがとう…!)ZINE作りは自分と向き合う孤独な戦い、同じようにZINE作りに取り組む方々が周囲にいるありがたみを改めて実感する。

 ええいままよ!と申し込む。2000円、紙のサイズはA4かA3。「1ページ内で構成された作品」とのこと。1ページ内で構成された作品って、何?

 とにかく、あと6日間でデータを完成させなくてはいけない。

ワンシートZINEのデータを作る

2月10日(火)
 仕事で深夜まで撮影だった。でも明日は祝日だしなんとかなるだろうとまだ高を括っている私。そういえば、1枚で完成するZINEってどんなもんかなと思って調べて、ワンシートZINEという概念を知る。

 ワンシートならいけるかもと根拠のない自信で自分を鼓舞する。実際にこのコンパクトさが初心者の自分にはとても合っていた。ZINEにとりあえず挑戦したい人にはとてもおすすめ。

2月11日(水・祝)
 せっかくの祝日なのに、前日の疲労でほとんど寝ていた。なんてことだ。夕方起きて、コピー用紙を折ってワンシートZINEのかたちを作ってみる。そこになんとなく書きたいことのレイアウトを詰めてみる。表紙、裏表紙を除いて、小さな6ページ。たったそれだけなのに、何を書いたらいいのか全く想像がつかない。え、どうしよう。

 テキストを書くのを諦めて、カメラロールを遡っていい感じの写真を選び、配置してみる。なんとなくそれっぽい。でも、私がいま本当に作りたいものとは、もしかしたら違うかもしれないという不安がよぎる。

2月14日(土)
 木金は仕事に忙殺されているうちに過ぎていた。気がつけば土曜。明日の朝にはデータを持って蔵前に行かないといけない。もう開き直り始めている。

 時間はないが、元から予定していた用事があって銀座に行き、皇居外苑のベンチでピクニックをした。晴れていて暖かくて、すっかり春。しかし私の頭の中は不安でいっぱいだ。読書をする気で本を持ってきたのに、全くそれどころではなく、ZINEのことを考えながらスマホを触る(本読めよ)。

 そこで見かけたとあるブランドのSNS投稿を見て、最近考えていた色々なことと急に紐付く感覚があった。隣でYouTubeを見ている夫に壁打ちのように話す。真剣に聞いてもらえなくていいので、とりあえず相槌を打ってくれる相手に向かってわ〜〜〜っと話すことで頭を整理するのが好きだ。それを私は子どもの頃から、学校で友達と、家では風呂の壁に話しかけ、できたばかりのTwitterで誰がいるのかもわからない世界に向けて吐き出してきた。そんなことを思い出す。

 帰宅して、夕飯作って食べて風呂から出て、PCを開く。本当にいよいよラストスパート。なんとなく、ふと、さっき口から出たことを文章にしてみることにした。

衣食住の中では、特に衣がもたらす人間の生活や価値観への変化に興味があります。15年くらい前の元インターネット大好きキッズです。
黎明期ツイッターに求めていたものの残像を探し求め、zineを作ってみることにしました。

深夜に書いて朝になったら消したかもしれないようなことをここに残してみようと思います。

3:42 AM · Feb 15, 2026

完成した1冊目のZINE「Tweet 01」の導入。数字の入れ方はTwitterをコンセプトにしていることを受けてGeminiが提案してくれた。

 全然まとまらないと思ってBGM代わりにYouTubeを垂れ流していたら、どういうアルゴリズムかわからないが、4ヶ月前にアップされたサカナクション「新宝島」の振り付けサンプル動画に行きついた。深夜2時、流石に眠くて意識が朦朧としていたので、夫が寝室で寝静まった気配を感じ取ってから、イヤホンで爆音で新宝島を流し、廊下でダンサーの(左右の手を上下させる)振り付けでを真顔で一旦踊る。書いていて普通に怖いが、それぐらい追い詰められつつハイになっていたらしい。

 散々新宝島を聴きまくっていたら、サカナクションのベースの草刈愛美さんの超絶技巧動画がたくさんサジェストされるようになり、カッコ良過ぎて食い入るように観る。「このZINEができたらサカナクションのライブに行ってみたいんだ」と思いながら、流石に焦ってくる。深夜3時。

 書いても書いても、書きたいことはまとまらないし、眠いし、ロジックもくそもない文字が目の前に積み上がる。完成した今見返すと、迷って追加した一言がいちいち蛇足で恥ずかしい。それでも、もう直すことはできない。紙って怖い

 5時。10時40分からのワークショップに行くためには、8時には支度を始めたい。今終わっても全然寝れないのにまだ終わってない。

 6時、一旦完成したけど。論理が全体的にはちゃめちゃな気がしてきて辛くなる。

私の「指摘してと言いながら、厳しいことを言われるとかなり猛烈に落ち込む」という性質をおそらく把握していると思われるGemini。怖い。

その後何度か壁打ちを続ける。

深夜に連絡が止まらないメンヘラ彼女のようなムーブをしてしまい、Geminiも呆れている。この履歴が残ってしまったことが本当に恥ずかしい。

 7時。この後さらに数回の壁打ちを経て、もう意識が飛びそうだったので完成とした。今数えてみたら結局3482文字。こんなにたくさん書いたと思ったのに、4000字にも満たないのか。内側からもっと言葉が出てくる人間になりたい。それはそれとして、孤独な深夜(早朝)に世界にAIと私だけみたいな気分で歴史に残らない言葉を拵えている時の気分はかなりスペクタクルだった。

 結果的に恐れていたリソグラフスタジオで汚部屋を晒すよりも強烈な思想を晒すことになろうとしていることに、この時はまだ気がついていない。

初めてのリソグラフ

 1時間寝てから支度。10時40分、蔵前のリソグラフスタジオ「onten」へ。こじんまりとした空間だが、たくさんの参考作品があって、スタッフの方も親身に相談に乗ってくださった。想像通り、私以外の3人の方はイラストや写真を構成したおしゃれなZINEで、文字だらけなのは私だけだったが、みなさん優しくて、和気藹々とそれぞれの色選びを参考にしつつも自分の作品に没頭する感じの空気だったので心地よく作業に集中できた。

色数: 1色
※多色刷りをご希望の方は当日スタッフにご相談ください。

 という記載に甘えて、2色のレイヤーを分けてPDFに出力して持参したところ、追加料金200円で2色刷りの対応をしていただけた。(申し訳ない…)

 白はなく、10色の色がついた上質紙から5色以内10枚まで好きな紙にプリントすることができる。インクの色は固定なので、紙と色の組み合わせに頭を悩ませる。文字色はかつてのTwitterをイメージしたブルー、写真や装飾部分は蛍光ピンクにした。蛍光色はリソグラフ感が強くてつい使いたくなるし、文字も読みやすく刷れるので人気らしい。私も気に入った。

 版ごとにテストプリントを行い、その後2版を重ねてズレを調整する。めんどくさい文字揃えのあるデータを入稿してしまったのに1発で綺麗に揃えていただいて感動。

 ベタ面のプリントは線の粗さやジャギ感(この名前忘れた)を選ぶことができる。写真やイラストのプリントは、版ごとに粗さを変えてもアクセントになって面白そうだ。

 インクが乾くのを待つ間、お店に展示されているさまざまなアート作品やZINE作品を拝見する。同じ版でも、色の組み合わせが変わるだけで印象がかなり変わる。2色を使って、重なり合う箇所の混色と白紙の計4色を駆使した画面を作っている作品もあれば、CMYKを分版して幅広い色合いを表現している作品もあって面白い。ワンシートZINEも、必ずしも中央に穴を開けて折りたたむ手法だけではなく、細長く切った紙をミシンで縫い合わせたり、蛇腹状に1本に繋げたり、色々なアイデアの作品があって真似したくなった。(ツイートをテーマにしてるから、実際のツイート画面を縦長にプリントしたものを今度は作ってみたいと計画している)

メモ📝分版におすすめアプリ

 申し訳程度に写真を一枚入れたが、リソグラフ用のデータ化の仕方がよくわからなかった。1色でプリントする場合は、写真をそのままモノクロにすれば良いらしいが、数色のインクで表現したいときは、このアプリを使うとよいと、スタジオの方が教えてくれた。適当に写真を突っ込んで分版するのも楽しくて暇があればつい遊んでしまう。この色を使いたいから、こんなテーマにしよう!など、リソグラフからアイデアが生まれることもあり、何を作るか迷っている人には本当にリソグラフはおすすめです。


完成🥲

 さて、原稿が乾いたので折り目をつけてカットして完成✨

 刷り上がった時点でかなり感動したが、出来上がってみると本当に嬉しい。馬子にも衣装、駄文にもリソグラフ。もう直せない黒歴史になるかもしれない言葉たちがやたらキラキラ輝いている。  
まだ13時前。カヌレとパンを買って帰る。

 もうすっかり暖かい2月の日曜。帰宅して昼から飲んだビールはめちゃくちゃ美味しかった。このすごく清々しい気持ちをこれからも味わい続けたい。

 そう思って、2日かけてこのnoteを書いた。

 インスタのプライベートのアカウントは投稿を全消ししてしまったので別のアカウントにZINEの記録をしていくことにしたを大学生のとき自分が雑誌を作るならと妄想して取得していたアカウント。実はこのnoteのIDもそう。ゼロから、これからもっといろいろなものを作ってみたい。



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