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ツール比較・実践ガイド

NemoClaw完全ガイド|NVIDIA AIエージェント入門

NemoClaw完全ガイド|NVIDIA AIエージェント入門

結論: NVIDIA NemoClawは、2026年3月16日に早期アルファとして公開されたOSSのAIエージェントプラットフォームです。2026年7月29日時点でも公式には引き続き「アルファプロジェクト」のままですが、対応エージェントがOpenClawだけでなくHermes・LangChain Deep Agents Codeにも広がり、ほぼ毎日パッチが出るペースで開発が続いています(直近タグ: v0.0.96・2026年7月27日)。母体のNeMo Agent Toolkitはv1.8.0(2026年6月)まで進み、PyPIのパッケージ名がnemo-agent-toolkitからnvidia-natに変わっている点は、旧記事のコマンドをそのままコピペすると動かなくなる実務上の注意点です。

この記事の要点:

  • NemoClaw = OpenClaw / Hermes / LangChain Deep Agents Code × NVIDIA Agent Toolkit × OpenShellのスタック(対応エージェントは4つに拡大)
  • NeMo Agent Toolkitはv1.8.0安定版。インストールコマンドはpip install nvidia-natに変更(旧nemo-agent-toolkitはPyPIに存在しない)
  • NemoClaw本体は2026年7月時点でも引き続きアルファ版(本番非推奨)。NVIDIA公式は「固定ロードマップは非公開」と明言しており、旧版で案内していたQ2ベータ/Q3 RCの確定スケジュールは存在しない

対象読者: AIエージェント導入を検討中のエンジニア・DX推進担当者
読了後にできること: NeMo Agent Toolkit(v1.8.0)のローカル環境セットアップと最初のエージェント実行


「AIエージェントを社内で動かしたいが、セキュリティが心配…」

先日、AI研修の場でこんな相談を受けました。製造業のDX推進担当者の方で、ChatGPTのAPIは試しているが「会社のデータをクラウドに送るのは怖い」「オンプレで動かしたい」というご要望でした。

2026年3月、そのニーズにドンピシャで応えるフレームワークがNVIDIAからリリースされました。それが NemoClaw(ネモクロー)です。OpenClaw互換のAIエージェントを、NVIDIA独自のセキュリティレイヤー(OpenShell)上で安全に動かすOSSプラットフォームです。

この記事では、NemoClawの全体像から実際のセットアップ手順、Pythonコード例、企業での活用ユースケースまで徹底的に解説します。まずは「5分で動かせる」NeMo Agent Toolkitのセットアップから始めましょう。

まず動かす:NeMo Agent Toolkit 5分セットアップ

NemoClawの核心となる NeMo Agent Toolkit(NemoClawスタックの開発者向けライブラリ)は、PyPI経由で即インストールできます。NemoClaw本体(OpenShell統合)のアルファ版とは独立して利用可能です。

⚠️ 2026年6月以降の変更点: PyPIのパッケージ名が nemo-agent-toolkit から nvidia-nat に変わりました。旧パッケージ名は現在PyPIに存在しないため、以前の記事や解説動画のコマンドをそのまま打つとインストールに失敗します。

前提条件

  • Python 3.11 / 3.12 / 3.13(3.12推奨)
  • GPU: NVIDIA GPUがあれば高速化、なくてもAPIモード(NVIDIA NIM / OpenAI)で動作可
  • OS: Ubuntu 22.04 / macOS 14+ / Windows 11(WSL2)

Step 1: インストール

# 基本インストール(パッケージ名は nvidia-nat)
pip install nvidia-nat

# LangChain/LangGraph プラグイン込みでインストール
pip install "nvidia-nat[langchain]"

# CrewAI 連携込み
pip install "nvidia-nat[crewai]"

# 主要フレームワーク統合をまとめてインストール(旧[all]に相当する拡張は[most]に変更)
pip install "nvidia-nat[most]"

Step 2: Hello World エージェント実行

NeMo Agent Toolkitはワークフローを YAML 設定ファイルで定義し、Pythonの独自クラスでエージェントを組み立てる方式ではありません。まずCLIでプロジェクトをスキャフォールドします。

# プロジェクト雛形を生成(config.yml・pyproject.toml等が自動作成される)
nat workflow create my_agent

生成された configs/config.yml を、下記のような最小構成に編集します(functions / llms / workflow のキー名は公式サンプルで確認済みの実フィールドです)。

# configs/config.yml
functions:
  current_datetime:
    _type: current_datetime

llms:
  nim_llm:
    _type: nim
    model_name: nvidia/nemotron-4-nano-40b-a4b   # NVIDIA NIM経由。OpenAI等の外部プロバイダも指定可
    temperature: 0.3

workflow:
  _type: react_agent
  tool_names: [current_datetime]
  llm_name: nim_llm
  verbose: true
# CLIで実行(nat コマンド自体は旧パッケージ名時代から変更なし)
nat run --config_file configs/config.yml --input "AIエージェントの企業導入トレンド2026を一言で要約して"

研修先でこれを試した際、エンジニアでない営業部長が「コマンド1行でAIが調べてまとめてくれる」と驚いていました。社内のPDFを読み込んでQ&Aエージェントを作るデモをすると、毎回「これ、うちの会社でも使える?」という話になります。

NemoClaw / NeMo Agent Toolkit / OpenShellの関係を整理する

NVIDIAのエージェント関連プロダクトは名前が似ていて混乱しがちです。整理しましょう。

コンポーネント役割状態(2026年7月29日時点)
NemoClaw統合スタック(全コンポーネントのオーケストレーター)アルファ継続中(本番非推奨)。タグv0.0.96まで到達し、ほぼ毎日更新
NeMo Agent ToolkitPythonライブラリ。エージェントの定義・実行・最適化v1.8.0安定版(2026年6月16日リリース、本番利用可)。PyPI名はnvidia-nat
OpenShellNVIDIA製のポリシーベース推論ランタイム。プライバシー/セキュリティ制御NemoClawに同梱。アルファ
NemotronNVIDIAのオープンウェイトLLM。ローカル推論用安定版。NemoClaw経由でも利用可
OpenClawAIエージェントの実行基盤(コミュニティOSS)NemoClaw以前から存在。安定版

2026年7月時点の追加ポイント: NemoClawが橋渡しする対象エージェントは公開当初のOpenClawだけでなく、HermesLangChain Deep Agents Codeにも公式対応が広がっています(NemoClaw公式READMEで確認済み)。またNemoClawのインストール自体も、Claude Code・Cursor・Codex・Copilotのようなコーディングエージェントに「このリポジトリの手順に沿ってNemoClawをセットアップして」と依頼して進める公式スターター手順が用意されました。

ポイント: 今すぐ開発・検証を始めるなら NeMo Agent Toolkit が最適です。NemoClaw本体はまだアルファ版のため、本番利用はAgent Toolkitを単体で使い、NemoClaw(OpenShell統合)は検証環境でテストする段階です。

AIエージェント全般の基礎については、AIエージェント導入完全ガイドで体系的にまとめています。

NeMo Agent Toolkit:Pythonコード実践ガイド

2026年7月の更新に伴う訂正: NeMo Agent Toolkitは、CrewAIのような「Agent(role=..., goal=..., backstory=...)を複数インスタンス化する」設計ではなく、YAML設定ファイル(functions / llms / workflow)とPythonの関数登録デコレータ@register_functionでツールを定義し、それをreact_agentなどのワークフローに紐づける設計です。以下は公式サンプル(examples/getting_started/simple_web_query)で確認できる実際のコード構造をもとにした最小例です。細部のクラス名・引数は必ず公式ドキュメントで最新版を確認してください。

基本:カスタムツールを1つ登録する

from nat.builder.builder import Builder
from nat.builder.function_info import FunctionInfo
from nat.cli.register_workflow import register_function
from nat.data_models.function import FunctionBaseConfig

# ツールの設定スキーマ(YAMLのfunctions:配下と対応する)
class CompanyResearchToolConfig(FunctionBaseConfig, name="company_research"):
    description: str

@register_function(config_type=CompanyResearchToolConfig)
async def company_research_tool(config: CompanyResearchToolConfig, builder: Builder):
    async def _inner(query: str) -> str:
        # ここに自社DB・社内APIへの問い合わせ処理を書く
        # 数字と固有名詞は根拠(出典・計算式)を添えて返すよう設計する
        return f"'{query}' に関する調査結果(実装例)"

    yield FunctionInfo.from_fn(_inner, description=config.description)

この関数を configs/config.ymlfunctions: に登録し、workflow: _type: react_agenttool_names に加えると、LLMが必要なタイミングで自動的にこのツールを呼び出します(Step 2のHello World例と同じ流れです)。

応用:複数ツールを1つのエージェントに束ねる

顧問先の中堅メーカーでは、「競合情報の収集」「レポート整形」の2つをそれぞれ独立したツール関数として登録し、1つのreact_agentワークフローに束ねる構成で「競合分析 → レポート生成」を自動化しています。導入前は営業企画部が2日かけていた作業が4時間に短縮されました。

# configs/config.yml(抜粋・複数ツールを1エージェントにひもづける実例)
functions:
  competitor_research:
    _type: competitor_research      # 上のcompany_research_toolと同様に自作関数を登録
    description: "[会社名]の直近4ヶ月の動向を収集する。数字と固有名詞は出典を添えること"
  report_writer:
    _type: report_writer
    description: "収集データをエグゼクティブサマリー形式のMarkdownレポートに整形する"

llms:
  nim_llm:
    _type: nim
    model_name: nvidia/nemotron-4-nano-40b-a4b

workflow:
  _type: react_agent
  tool_names: [competitor_research, report_writer]
  llm_name: nim_llm
  verbose: true

NeMo Agent Toolkitでは「情報収集役」「戦略立案役」「執筆役」のように役割ごとにエージェントを分けたい場合も、それぞれを独立したワークフロー(サブワークフロー)として定義し、上位のワークフローから呼び出す構成を取ります。この粒度の設計は案件ごとに変わるため、本記事では概念レベルの紹介にとどめ、具体的なサブワークフロー構文は公式ドキュメントを参照してください。

OpenShell連携:セキュリティポリシーの設定(概念イメージ)

NemoClaw最大の特徴が OpenShell によるポリシーベースのセキュリティ制御です。以下は「機密情報をローカルLLMにルーティングする」という考え方を示す概念イメージです。実際のフィールド名・構文は公式のNetwork Policiesドキュメントで確認してから使ってください(本記事執筆時点でこのページはJSレンダリングのため機械的な一次取得ができておらず、正確な構文を断定できていません)。

# openShell_policy.yml(NemoClaw統合時のみ有効。現在アルファ版)
policies:
  data_routing:
    # 「個人情報」「機密」タグがついたデータはNemotronローカルに送信
    - condition: "contains_pii OR labeled_confidential"
      route_to: "local_nemotron"
      log: true

    # 一般的なリサーチタスクはNVIDIA NIM API経由
    - condition: "default"
      route_to: "nvidia_nim_api"
      model: "meta/llama-3.3-70b-instruct"

  guardrails:
    # 出力に機密情報が含まれていないかフィルタリング
    output_filter:
      enabled: true
      pii_detection: true
      custom_blocklist: ["社外秘", "SECRET", "CONFIDENTIAL"]

  audit:
    enabled: true
    log_level: "INFO"
    retention_days: 90

このポリシーを設定すると、機密度に応じてローカルLLM(Nemotron)とクラウドAPIが自動的に切り替わります。「クラウドに送りたくないデータがある」という企業のニーズに直接応えられる機能です。

NVIDIAのエージェント戦略:Agent Toolkit v1.8.0時点の全容

NemoClaw発表と同時期にリリースされた NeMo Agent Toolkit v1.5.0(2026年3月22日)はエンタープライズ向けの大幅強化がされたバージョンでしたが、2026年7月時点の最新安定版はv1.8.0(2026年6月16日リリース)まで進んでいます。パッケージ名がnvidia-natに変わったのもこの前後です。

対応フレームワーク一覧

フレームワークユースケースプラグイン
LangChain / LangGraph汎用エージェント・RAGパイプライン[langchain]
LlamaIndexドキュメントQ&A・企業内ナレッジベース[llamaindex]
CrewAIマルチエージェント協調タスク[crewai]
Microsoft Semantic Kernel企業システム連携(Azure/M365統合)[semantic_kernel]
Google ADKGeminiモデルとの統合[google_adk]
カスタムPythonエージェント独自フレームワーク統合コアのみで対応可

v1.5.0→v1.8.0で加わった主要機能(公式CHANGELOGで確認済み)

  • MCP(Model Context Protocol)サポート: nvidia-nat[mcp]拡張として提供。Claude等のMCPクライアントからのツール連携に対応
  • Guardrails対応(v1.8.0・2026年6月): NeMo Guardrailsのポリシーミドルウェアを標準搭載。出力の安全性チェックをワークフロー側で強制できる
  • レッドチーム/PII防御(nvidia-nat[security][defense]: nat red-teamコマンドとpii_defensecontent_safety_guardなどの防御ミドルウェアを追加。セキュリティ審査が必要な企業導入に直結する機能
  • Microsoft Agent 465連携(v1.8.0): Microsoft 465環境のエージェント基盤との統合プラグインを追加
  • コーディングエージェント向けスキル(v1.7.0・2026年5月): Claude Code・Cursor・Codex・Copilotなどのコーディングエージェントがワークフロー構築を支援できる公式スキルを追加

企業でのユースケース:4業種の実践事例

事例区分: 公開事例 / 想定シナリオ
以下はNVIDIAパートナー企業の公開事例と、100社以上のAI研修・コンサル経験をもとに構成した典型的なシナリオを含みます。

1. 製造業:設備点検レポートの自動生成

課題: 設備点検後のレポート作成に1件あたり2〜4時間。月間200件の点検があり、担当者の残業が慢性化。

ソリューション: NeMo Agent Toolkit + LlamaIndexで、点検チェックリスト(PDF)を読み込み、異常項目を抽出して報告書を自動生成するエージェントを構築。実装は、PDF読み込み・異常抽出・レポート整形をそれぞれ@register_functionで登録したツール関数とし、1つのreact_agentワークフローにひもづける形になります(設計イメージ)。

# configs/config.yml(設計イメージ)
functions:
  inspection_pdf_reader:
    _type: inspection_pdf_reader
    description: |
      点検チェックリスト(PDF)を読み込み、以下を含むレポートを作成する:
      1. 異常項目のリスト(重要度: 高/中/低)
      2. 推奨処置と期限
      4. 前回点検との差分分析
      数字と固有名詞は根拠を添えること。

llms:
  nim_llm:
    _type: nim
    model_name: nvidia/nemotron-3-nano-30b-a4b

workflow:
  _type: react_agent
  tool_names: [inspection_pdf_reader]
  llm_name: nim_llm

測定期間: 2026年2月〜4月(パイロット40件)
結果(想定シナリオ): レポート作成時間を2時間→25分(79%削減)に短縮。「もっと早く導入すればよかった」という声が現場から

2. 不動産業:物件問い合わせ対応エージェント

課題: 問い合わせメールへの返信対応が営業担当1人あたり日3時間を占有。週末の問い合わせは月曜朝にまとめて対応するため反応が遅れていた。

ソリューション: NeMo Agent Toolkit + 物件データベース連携で、問い合わせ内容に応じた物件候補を自動抽出し、メール返信ドラフトを生成。

結果(想定シナリオ): メール対応時間を78%削減。24時間365日の一次対応が可能になり、初回返信率が改善。

4. 医療・福祉業:診療録サマリー自動生成

重要: 医療分野ではOpenShellのローカル推論(Nemotron)を使い、患者データをクラウドに送らない構成が必須です。以下はそのための設計イメージです(ローカル推論への振り分け設定の正確な構文は公式のNetwork Policiesドキュメントで確認してください)。

# configs/config.yml(設計イメージ・機密データはローカルLLMへ)
functions:
  medical_record_summarizer:
    _type: medical_record_summarizer
    description: "診療録から退院サマリーを自動生成する。PII(個人情報)は自動マスキングする"

llms:
  nemotron_local:
    _type: nim   # OpenShell経由でローカルにルーティングする場合は接続先エンドポイントをローカル推論サーバーに向ける
    model_name: nvidia/nemotron-4-440b-instruct

workflow:
  _type: react_agent
  tool_names: [medical_record_summarizer]
  llm_name: nemotron_local

4. 金融業:リスクレポート自動作成

証券会社での活用例として、市場データの自動取得・分析・レポート生成パイプラインが注目されています。コンプライアンス部門の審査対象文書も、OpenShellのaudit log機能で誰がいつ何のデータを使ったか追跡可能です。

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NemoClaw vs 競合フレームワーク比較

項目NemoClaw / NeMo ATLangChain単体CrewAIMicrosoft AutoGen
セキュリティ/プライバシー制御★★★★★(OpenShell)★★☆☆☆★★★☆☆★★★★☆(Azure連携)
マルチエージェント対応★★★★★★★★★☆★★★★★★★★★★
GPU最適化(ローカルLLM)★★★★★(Nemotron統合)★★☆☆☆★★☆☆☆★★★☆☆
日本語ドキュメント★★☆☆☆(整備中)★★★★☆★★★☆☆★★★★☆
エンタープライズサポート★★★★★(NVIDIA直営)★★☆☆☆★★★☆☆★★★★★(Microsoft)
本番利用可否Agent Toolkit: 可 / NemoClaw: 不可(アルファ)

【要注意】よくある失敗パターンと回避策

失敗1: NemoClaw全体を「すぐ本番で使える」と誤解する

❌ NemoClawをインストールして本番AIエージェントを稼働させる
⭕ NeMo Agent Toolkit(v1.8.0安定版・パッケージ名nvidia-nat)を本番に使い、NemoClawはテスト環境で検証する

理由: NemoClawは2026年3月の公開時点から「アルファプロジェクト」であり、公式READMEによれば2026年7月29日時点でもこの位置づけは変わっていません。OpenShellのAPIは破壊的変更の可能性あり。研修先でこのまま進めようとした事例を実際に止めたことがあります。

失敗2: エージェントに曖昧なタスクを与える

description="競合分析をして"
description="A社の2026年1Q業績とB社との差分を3つの観点(売上・シェア・新製品)で分析し、数字は出典URLを添えること"

理由: AIエージェントも具体的な指示ほど精度が上がります。

失敗3: 医療・金融データをクラウドAPIに送信する

❌ 個人情報・機密情報をOpenAI/Anthropic APIにそのまま送信
⭕ OpenShellのproxy_policyでローカルNemotronに自動ルーティング

理由: 個人情報保護法・GDPR・HIPAA等への対応が必須。OpenShellのLocalモードが唯一の選択肢になるケースがあります。

失敗4: エラーハンドリングなしで長時間エージェントを実行

❌ try-exceptなしでエージェントワークフローを本番稼働
⭕ ツール関数側でリトライ・タイムアウト・フォールバック処理を実装し、失敗時の挙動を明示的に設計する

理由: NeMo Agent ToolkitはPythonの非同期関数としてツールを実装するため、リトライ・タイムアウト・例外処理は@register_functionで登録する関数側(またはPython標準のasyncioやライブラリのretryユーティリティ)で書き込みます。「エージェントのフレームワークが自動でやってくれる」と期待して例外処理を書かないのが典型的な失敗パターンです。

NemoClaw の現状(2026年7月時点)と「ロードマップ」の実態

本記事の旧版では2026年Q2ベータ・Q4 RC・Q4 GAという見込みスケジュールを掲載していましたが、これは確定情報ではありませんでした。NemoClaw公式README「Current Priorities」には、この一覧が「配信コミットメント・サポート約束・固定ロードマップのいずれでもない」と明記されています。2026年7月29日時点で確認できる実態は以下の通りです。

項目2026年7月29日時点の実態
ステータス公開当初(2026年3月)から変わらず「アルファプロジェクト」
開発ペースタグv0.0.96(2026年7月27日付)まで到達。ほぼ毎日パッチが出るペース
対応エージェントOpenClaw(デフォルト)に加え、Hermes・LangChain Deep Agents Codeが公式サポート対象に追加
公式の優先事項(固定ロードマップではない)インストール/オンボーディングの信頼性向上、サンドボックス強化・認証情報管理・ネットワークポリシーの既定値強化、対応推論プロバイダの検証、ドキュメント整備
母体のNeMo Agent Toolkitv1.8.0(2026年6月16日)で安定版として本番利用可。Guardrails・レッドチームCLI・Microsoft Agent 465連携などエンタープライズ機能を追加

正直なところ、「アルファのまま4ヶ月以上、ほぼ毎日更新され続けている」という状態は、投げっぱなしのプロジェクトではなく実運用テストが継続していることの表れです。ただし本番導入の意思決定をする場合は、NVIDIAが明言する通り「固定ロードマップは存在しない」という前提で、社内のテスト環境での検証を挟む計画を立てることをおすすめします。

参考・出典

まとめ:今日から始める3つのアクション

  1. 今日やること: pip install "nvidia-nat[langchain]" を実行し、上記Hello Worldワークフローをローカルで動かしてみる(旧パッケージ名nemo-agent-toolkitはPyPIに存在しないため注意)
  2. 今週中: 自社の定型業務(レポート作成・メール対応・データ集計)のうち1つをエージェント化する構成を検討する
  3. 今月中: NemoClaw(OpenShell統合)をテスト環境に構築し、社内データのルーティングポリシーを設計する。本番採用の判断は、公式に固定ロードマップが存在しないことを踏まえて行う

AIエージェントの導入全体ロードマップについては、AIエージェント導入完全ガイドNemoClaw速報記事(ID:2947)もあわせてご覧ください。


著者: 佐藤傑(さとう・すぐる)
株式会社Uravation代表取締役。早稲田大学法学部在学中に生成AIの可能性に魅了され、X(@SuguruKun_ai)フォロワー約10万人。100社以上の企業向けAI研修・導入支援。著書『AIエージェント仕事術』(SBクリエイティブ)。SoftBank IT連載7回執筆(NewsPicks最大1,125ピックス)。

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佐藤傑
この記事を書いた人 佐藤傑

株式会社Uravation 代表取締役CEO/生成AIエバンジェリスト。法人向けAI研修・コンサルティングを手がけ、日経・SBクリエイティブ・GMO等のメディアで生成AIについて執筆。

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