2.6.6項 FMEA
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小中高生に、エンジニアの魅力を伝えたい「エンジニアの教科書」 2.6.6項。
開発はスピード重視で、8割(80%)完成でOK という話をしました。
しかし、世の中に(ユーザに)製品やサービスを届ける 段階では、それだけでは足りません。
ほぼ 100%完璧に近い完成度 でなければ、クレームにつながるなど、困る人が増えてしまいます。
では、どうやったらいいの?・・です。
今回は、そんな完成度の高いモノづくり、について説明します。
1. 改善とFMEA
「うまく動いている」「正常に動く」状態を保つためには、
設計の段階で、緻密で繊細な検討が必要になります。
考慮漏れや小さなミスがあると、品質は少しずつ下がってしまいます。
ある程度、完成度が高まった製品を、さらに良くするために使われるツールの一つが、FMEA(エフエム・イーエー)です。
不具合を減らすための活動ですが、出発点は 「失敗」 ではありません。
FMEAとは、フェイラーモード・エフェクト・アナリシス
(Failure Mode and Effects Analysis)の略です。
日本語では「不具合の影響分析」と呼ばれることがあります。
進め方を、FTA(2.5.4項)と同じように考えてしまう人もいますが、FMEAは少し視点が異なります。

- FTAが「起きてほしくない不具合」を起点に考えるのに対し、
- FMEAでは、まず「正常な機能」を明確にします。
一番左端のスタート (DRBFMの例を参照) は、必ず部品に対応する
「正常な機能」「本来、この製品は、どう動くものなのか?」
をはっきりさせる、言葉にする ことから始まります。
2. FMEAの基本的な流れ
FMEAの流れの例です。
例:ホッチキス
① 「正常な機能」を列記する
例:針が、真っすぐに紙を突き破る。
② ①と対になる「異常」を記載する
例:針が、真っすぐに紙を突き破らない。
ここでは、難しいことを書かないのがコツです。
最初は、単純に「反対の状態」を書きます。
会議中に「こういう心配もあるよね」という意見が出た場合は、
レビュー欄を使って いったんメモしておきます。
その指摘は「 正常な機能が抜けているよ」 という合図です。
レビュー後に、何の機能が足りていなかったのかを考え、
内容を整理したうえで、①の「正常な機能」に追加します。
③ なぜ②が発生するのか、を考える
例:紙が固い、針が弱い、ガイドが不足している
※ DRBFMでは、これらを「原因」「要因」と呼ぶこともあります。

社内の事例が増えてきた時点で、AIに食わせて、自動で作成させると良いと思います。
3. 派生形のFMEA
FMEAは、とても有効なツールです。
一方で、丁寧にやろうとすると、かなり時間が掛かります。
「時間が掛かりすぎる」「全部は無理だ」と敬遠されることもありるため、目的を絞った派生形が生まれました。
・DRBFM
DRBFMは、Design Review Based on FMEA の略です。
「変わったところ」だけに注目するFMEAです。
前のモデル・既存のサービスなど、比較する対象から「どこが変わったのか」を、まず共有します。これを 変化点リスト と言います。
変化点について「ここが変わると、どこに影響が出る?」というレビューを行い、抜け・漏れがないことの確認を行います。

・システムFMEA/ブロックFMEA
1点1点の部品ではなく、仕様書や設計ブロック単位 で考えるFMEAです。
事前に システム構成図 が作られていることが前提になります。
例: 3枚の基板で構成された装置の場合、
・基板1が壊れたら、何が起きるか?
・基板1の機能は何か?
・ユーザーに重大な影響はないか?
・どんなアラームで気付けるのか?

「重大な設計ミスは無い」 と 思える ところが、
どのツールを使った場合でも、ゴール になります。
4. やる気Upポイント
✅ 自分を守りながら、進めよう♪
いろんな立場の人が参加するレビュー(打合せ・会議)になるので、
本当にいろいろ、ざっくばらんに、時に厳しい言葉が飛んできます。
余り真に受けすぎると、精神衛生上よろしくありません(笑)
丁寧に聞くことも大切ですが、時には逃げましょう~。
✅ AIをうまく使おう
最終的に、抜け・漏れが無ければ OK なのです。
私の個人的な進め方ですが、
何が書いてあっても、正解! くらいに考えて、FMEAを書いています。
逆に言うと、何を書いても、文句を言う人は 言います。
大規模データが集まってきたら、AIに処理してもらい、80%完成くらいでレビューしましょう。
✅ フォーマットを信用しよう
このフォーマットのすごい点は、フォーマットの完成度が70点くらいでも、
製品の完成度はUpする、という点です。(あくまで、個人の感想)。
フォーマットの完璧主義 になりそうな時は、
製品の完璧度(品質)に視点 を置きましょう。
5. 参考図書/Webサイト
① トヨタ式未然防止手法GD3
著者の 吉田達彦 さんは、とても思慮深く、素晴らしい先生です。
未然防止のためのマネジメント手法であるGD3(ジー・ディ・キューブ)とは、
・良い設計(Good Design)
・良いディスカッショッン(Good Disucussion)
・良いデザインレビュー(Good Design Review)
のことです。
本書は、トヨタにおいてGD3法を自ら開発された著者が、開発にいたる経緯・背景をはじめ、具体的な使い方から適応分野までを初公開します。 GD3法は設計・開発のプロセスだけでなく、種々の要因が複雑に絡んで起こるメーカー以外の事故の未然防止にも役立つと話題となっています。

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2026/01/16 Z 初版
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