Qwen × Fable の27B密集モデル「Qwable-3.6-27b」を40タスクで検証した(MTP比較あり)[RTX5090]
こんにちは、くーるぜろです。
Mia-AiLabが同時期にリリースした27Bモデルが2種類あります。MTPなし(標準版)とMTPあり版です。同じベース・同じ学習データで、MTPレイヤーの有無だけが違う。「MTPは精度と速度にどう影響するのか」を手元で確かめたくなったので、MTP版をQ4/Q5/Q6/Q8の4量子化、標準版をQ4で回してみました。
前回の35B MoEに続いてQwableシリーズ第2弾。アーキテクチャが27B**密集(dense)**に変わるので、速度と精度の出方がかなり変わります。
このモデルの素性
Qwable-3.6-27b-MTP(MTP有効版)

Qwable-3.6-27b(標準版・MTPなし)

Qwen3.6-27Bは密集(dense)モデルです。 前回の35B MoEと違い、すべての27Bパラメータが推論で使われます。
GGUFサイズ(実測値):

MTP版は標準版より若干大きい(MTPレイヤー分)。
検証環境
実行環境: llama.cpp(CUDAビルド)
ハードウェア: EVO-X2 + RTX5090 32GB
タスク数: 40問(easy 5 / medium 5 / hard 10 / expert 12 / frontier 8)
内容: Pythonのバグ修正・実装タスク(関数レベル、決定論的テスト付き)
評価軸:
Resolved率(pytestが全パスしたか)
Quality(コード品質: ruff・cyclomatic complexity)
Combined(上記の総合スコア)
usability(🟢自律 / 🟡補助 / 🔴不可)
結果サマリ

結論: MTP版Q5が速度・精度のベストバランス。標準版Q4は高精度だが低速。
MTPが速い理由:投機的デコードの効果
最も目立つ数字がこれです。

同じ量子化なのに2倍の速度差。 MTPレイヤーを持つモデルは、llama.cppの投機的デコード(speculative decoding)機能を利用できます。MTPヘッドが次のトークンを先読みして予測し、メインモデルが検証・採択することで実効スループットが上がります。
標準版はこの先読み機能がないため、純粋な27B denseの逐次生成速度(~74 tok/s)が上限になります。
この速度差は他の量子化比較にも反映されています。MTP版Q8でも119 tok/sあり、標準版Q4(74 tok/s)より60%速い。
精度の逆転:標準版Q4 > MTP版Q4
速度はMTP版が優れていますが、精度では逆転が起きています。

標準版Q4がResolvedで7.5%、Combinedで7.0ポイント上回っています。投機的デコードによる高速化はスループット向上と引き換えに、一部のタスクで精度コストを払っている形です。
MTP版でQ5まで上げると95%まで回復するので、「精度を保ちつつ速度を活かすならMTP版Q5」 が最良の選択です。
MTP版Q6の謎の失速:量子化が上がると精度も上がるとは限らない
MTP版の中で奇妙な結果が出ています。

Q6がQ5より7.5%低い。具体的に何が起きたか:
t022(区間マージ): Q5は補助レベルで解決。Q6はタイムアウト後に空出力でパース失敗。
t025(CSV詳細パース): Q5は品質72で補助通過。Q6は空出力でパース失敗。
t034(イベントバス): Q5は自律通過。Q6は空出力でパース失敗。
この3タスクがMTP版Q6だけで落ちています。量子化ビット数と精度は単調増加しない という実例で、Q6固有の重み丸め方式が特定の長文出力パターンに悪影響を与えた可能性があります。
usability(実際どれくらい任せられるか)

MTP版Q5とQ8が「不可」5%(2タスク)で最良。標準版Q4は不可8%(3タスク)で、速度は劣るが精度はMTP版Q4(15%)より安定しています。
全量子化で共通して失敗したタスク
t020:電卓(四則演算の優先順位とカッコ処理)
5量子化すべてで失敗。前回の35B版でも落としており、Qwableシリーズ全体の弱点です。
t027(コイン枚数最適化): 全量子化で補助判定(品質24〜32)。テストは通るが実装品質が低い傾向。
t034(イベントバスのdispatch中unsubscribe): MTP版ではQ5のみ成功、他は失敗。標準版も失敗。35B版と同じパターンで、Qwable全体の苦手タスクです。
27B密集 vs 35B MoEどちらが強いか
前回の35B MoEとの比較:

精度は27Bが35Bを上回っています。速度は35B MoEが圧倒的に速い(230 vs 141 tok/s)。
ただし今回は標準版Q4という比較対象もあります。

「精度重視」→ MTP版Q5
「速度重視」→ 35B MoE Q6
「VRAMが少ない・低速でも精度を求める」→ 標準版Q4
まとめ
MTP版Q4:不可15%と不安定。ただし146 tok/sと最速
MTP版Q5:Resolved 95%、不可5%、141 tok/s。最良の選択
MTP版Q6:Q5より精度が落ちる(不可12%)。量子化と精度の非線形な関係の実例
MTP版Q8:Q5と同精度だが速度-18%。メリットが薄い
標準版Q4:Resolved 92.5%とMTP版Q4を7.5%上回る。ただし速度が半分(74 tok/s)
MTPの最大の効果は速度です。標準版に比べて2倍近い tok/sが出ており、投機的デコードが機能していると考えられます。ただしMTP版Q4は精度で標準版に負けており、精度を確保するにはQ5以上に上げる必要があります。Q5以上であれば「速度はMTP恩恵、精度は十分」という両立ができています。
検証で生成したコード・テスト結果はアーカイブ済みです。「特定タスクの詳細が見たい」「自分の環境でも試したい」はコメントへどうぞ。
モデル情報
ベース: Qwen3.6-27B(密集モデル、非MoE)
ライセンス: MIT
推奨サンプリング(バランス型): temp 0.6 / top_p 0.95 / min_p 0.02
推奨サンプリング(コーディング): temp 0.2〜0.4 / top_p 0.9
#ローカルLLM #Qwen #Fable5 #量子化 #MTP #llamacpp #ベンチマーク #GGUF #27B
いいなと思ったら応援しよう!
サーバー代とコーヒー代になります☕ 役に立ったら応援よろしくお願いします!