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セパスチャンネル クリア感想

 Nintendo Switch 版にてクリアしました。

 原作は 2008 年にフィーチャーフォン(ガラケー)向けに G-MODE から初めてリリース。その後、2021 年に Nintendo Switch 向けの G-MODE アーカイブスの 1 つとして配信された。

 このゲームの開発には、G-MODE から発売された OU (オーユー)を制作した幸田御魚(こうだ おさかな)さんが、企画・シナリオ・デザイナー等と多岐にわたって担当している。今回私がプレイしたのは、OU のパッケージ版に同時収録されていたものからプレイしました。一応、単品でも配信されてます。

 ということで、今回は何も知らずに OU のパッケージ版を購入したら、何か知らないソフトが一緒に付いてきた、という予定外の事態となりました。元々、OU のコレクターアイテムである愛蔵版を衝動買いしたことが始まりですから、完全に調査不足。でも、当初は別にあってもなくても変わらない、ラッキーということにしとこうと思っていたんですよ。ちなみに、以下は私が OU をプレイした感想文。

 ですが、先日クリアした OU と、愛蔵版に同封されていたコミックにより、セパスチャンネルも幸田さんが作り上げた世界と因果関係が結ばれる形になったんです。OU の世界観が気に入っていた私は、それが分かった途端に一気に興味が湧き、早く内容が知りたくて OU クリア後すぐにプレイしてみました。

 結果、思ってた以上に面白かった。何なら、作家性の強かった OU よりも、セパスチャンネルの方がはるかに娯楽性の強いゲーム作りをしてましたね。まぁ、OU は ADV 、セパスチャンネルは RPG と、ジャンル自体が違うんで当たり前でしょうが。

 なお、このゲーム、何と当時のガラケーを再現したデザインとなっており、画面右上にはリアルタイムの時間が表示されるこだわりっぷりです。おかげで、私が休日 1 日かけてゲームしてたことが丸見えとなりました。

ひえぇ、そこまでガラケーを再現しなくていいじゃん、生々しい!!

 ただし、ポーズメニューで時計表示をなくすことができる他、ゲーム画面も大きくできることを私はクリア後に知ったので、これをご覧の方はプレイする際、注意してください。なお、記事を作成するにあたって時計表示を消すためだけに 1 からやり直す、なんてことはしておりません。悪しからず。

オーマイガー・・・な、なんてマヌケなことを
穴があったら入りたい(泣)ホント、マジでよ!!

プレイ時間は、約 6 ~ 7 時間。では、サクッと感想を。


ストーリー

 近未来的な都市・サンライトシティを舞台とした、4 人(?)の主人公達による群像劇。

 ボーイという少年は自身の失った記憶のために、ガールという少女は消えた自分の影を取り戻すために、ザ・ワンと名付けられた犬は空腹から行方不明の飼い主を探すために、それぞれが都市を当てもなく彷徨っていた。同時に、街では騒動が起こっていた。その騒動を起こした犯人の名はセパスチャン。彼らは真相を、そして失われた自身のアイデンティティを求めるために集い、やがて世界の真実へと迫る、といったあらすじ。

 なお、ボーイやガールは文字通り仮称となってます。名前ではありません。ザ・ワンにいたっては数字の 1 というより、鳴き声にちなんでいるように思います。ニャンという猫や、ボーズという小僧がいましたんで、多分そう。

記憶を失ったボーイ
影を失ったガール
飼い主を失ったワン(ワンは語尾じゃない、名前だぞ)

 さて、近未来な時代とされてますが、見た目的には現代の私たちとさほど差がないと思える都市が舞台となってます。それよりも異物を感じたのは、ガールという少女の影がないことや、スピリチュアルな存在がいることです。イメージ的には任天堂の MOTHER 2 や 3 が近いかも。ドット絵もそういう雰囲気をしてますしね。なので、SF というよりは、現代ファンタジーよりだなと思いました。まぁ、何だかんだと、ちゃんと SF でしたけどね。

あんまり近未来を感じない都市風景
相手は明らかにファンタジーっぽい何かだが、ワンだってへんだぞ
ある手段によって行ける謎の精神世界の存在がファンタジーっぽさを強調している

 で、何か壮大なことが起こるのかなと思いきや、蓋を開けば敵味方共に至って普遍的なテーマが主題となってました。

 公式サイトでは、セパスチャンネルは「アイデンティティを模索する RPG」とされています。たまに聞きますよね、アイデンティティ。

 それって何だっけ? という疑問に対してネットで検索したところ、E. H. エリクソンというアメリカの心理学者が 1950 年代に提唱した概念らしいです。ざっくり言うと、「自分は何者か」「自分らしさ」を模索することらしい。内容はもっと複雑なため、私程度の人間が説明するのは無理ッス。・・・勉強しますッス。

 さて、ストーリーはメインキャラが何かしら失った状態から始まります。記憶、影、飼い主がそうですね。それらを取り戻す最中、自分は何者か、何を求めているのか、何がしたいのかを追求していくんです。ここは OU にも通ずるものがあります。

思春期に同じようなことを考えた人もいるんじゃないかな

 何か堅苦しいストーリーだなぁ、となりそうなところですが、セパスチャンネルは世界を揺るがす何かを阻止するという目的を下地に、アイデンティティの模索はキャラの個性を形作る個別のドラマとして仕上げられてます。

 自分に問いかけ、自分で答えを出す流れは他の RPG でもよくやる手法なので、思った以上に王道の、そして誰もが持つ悩みに焦点を当てた普遍的なストーリーでした。悩みの目線も私たちと同じ立ち位置だから、共感しやすかったですね。

 そもそも、主役 4 人は特別な力を持ってるわけではないんです。ただの一般人なんです。しかも、大半は騒動に巻き込まれた口ですからね。まぁ、戦闘になると超能力っぽい何かを発動してる疑惑はありますし、そもそも腕を組む二足歩行の犬ってなんやねんていう話ですが。

なぁ、へんだろ? 直立歩行するんだぜ、この犬
この世界の犬の認識はどうなってんねん

 結末は好みが分かれるかもしれませんが、私は結構好きでした。ここから 10 年以上の時を経て OU と関わらせるなんて、何か感慨深い。それにしても、このストーリーのスケールをガラケーでできたことに驚きました。改めて、ガラケーのゲームに対する印象が変わりましたね。

事前にステータスを振り分けて実行する戦闘

 オーソドックスなコマンドバトル。味方全員の指示をしたら、敵味方一斉に行動するシステム。

 戦闘に関しては、特に説明するほどのことはない、ありきたりなシステム。ですが、ユニークな点があるとしたら、ステータスを自由に変更できるところにあります。

 よくありますよね。レベルアップしたらポイントが付与されて、それを攻撃や防御といったステータスに振り分けて能力を伸ばすやつ。で、1 度振り分けたらリセットできないのがお約束。セパスチャンネルもこのシステムを取り入れられているのですが、なんといつでもどこでもリセットが可能で、持ってるポイント分なら数値を自由に上げ下げできるんですよ。

 そもそも、本作の攻撃や防御といったステータス初期値は全員一律で 1 です。レベルが上がっても 1 のまま。レベルアップで自動的に伸びるのは体力と知力の数値のみ。レベルが 1 つ上がると 1 つもらえる能力アップのポイントで、プレイヤーがステータスを任意で伸ばすことになるんです。ここが意外と面白かったんですよね。

 まず、このゲームには属性システムが採用されてまして、おおまかには「物理」と「精神」に分けられています。イメージとしては物理と魔法みたいな感じ。敵にも人や機械なら物理主体、霊的なものなら精神主体といった、印象通りの属性が設定されてます。

明らかに物理で攻撃してくる機械
明らかに精神的なへんな攻撃してきそうな、へんな生き物

 こういった敵に合わせてステータスをいじるわけですが、 ステータスを 1 つ上げるだけで能力が大きく強化されるんで、基本的には攻撃全振りみたいな偏りのある振り分けが最適解となります。

 では、そんな毎回ステータス変えないといけないのかと思えそうですが、ストーリーに合わせて登場する敵は物理系か精神系のどちらかにほぼ固定されてるおかげで、何を中心にステータスをいじるべきかは敵の見た目で分かるようになってます。それに、そこまで頻繁にステータスを変更することはなかったので、手間はさほど感じませんでした。むしろ、この部分はボス戦の方が重要になります。

 たとえば、物理系のステータスを上げたら、ボスに全然ダメージが入らない・逆にかなりダメージ食らうという場合、一旦ゲームをやり直してステータスを精神力に全振りしたら、前回と比べて与ダメージが何倍も増えた・被ダメージは何分の 1 も減少したという分かりやすい結果が得られます。ボス戦はホントに顕著でしたね。逆に言えば、ステータスの振り分け方によって、ボス戦の難易度を下げられるし、逆に難しくもできるんです。

中盤あたりのダメージ稼ぎに役立つのは連係攻撃だが、全員行動、且つ必ず順番は最後となるのがネック

 そんなキャラの個性をなくしそうなステータス変更に一工夫されてるのが、「特殊技」となります。ここで一気にキャラの個性が跳ね上がるんです。習得方法は、指定されたステータス数値を割り振ることで、レベルアップで自然には覚えません。たとえば、ワンの「きずなめ」という特殊技は、最低でも「守り 3 、素早さ 3 、精神力 2」までステータスを上げることで使用可能になるんです。

ワンの特殊技はアイテム回復では出来ない全体回復を複数持っており、ボス戦の防御の要となるために優先して習得したいところ

 また、特殊技で攻撃すると通常攻撃よりも大きなダメージを与えられます。そして、敵の弱点属性を突くための攻撃の要にもなりますので、ボス戦では大活躍します。つまり、ステータスを偏らせすぎても、特殊技を習得してなかったら攻撃がジリ貧になって意味がないんです。序盤は能力アップのポイントが足りないので特殊技の出番はないのですが、終盤はボス戦に限らず通常戦闘でも必須になります。

 なので、基本戦略はステータスを敵の属性に合わせて強化しつつ、終盤は必要な特殊技を覚えるように最低限は他のステータスにも割り振る、というやり方になります。

 こういった、ステータスと特殊技の取捨選択を考えるのが楽しかったんですよね。結果は戦闘ですぐ分かるので、試行錯誤もしやすかった。他のゲームもこうすれば・・・と思いましたが、まぁ、難易度のバランスを取るって難しいよね。

気になったところ

 まず、チャンネルというキャラの視点を切り替えるシステムですかね。このゲームの売りの 1 つでもあります。これはプレイヤーがチャンネルを任意で切り替えながら個別に行動しているキャラを操作するのですが、群像劇らしいストーリーなので序盤は頻繁に切り替えてました。

 でも、結局は RPG らしく全員行動することになって、ドラマ性の強化以外での重要性は少なくなります。また、終盤は敵が強くなるために、パーティが分割されて戦力ダウンになる方が手間でしたね。まぁ、ゲーム攻略にガッツリ利用されると面倒くさくなるだけだから、ストーリー主導で切り替えるくらいで丁度良いかもしれませんけどね。他にも、1 回やったら終わりっていうシステムもあったのは気になった。

 あと、やり込み要素はほぼありません。

 一応、終盤にサブクエみたいなものがありますが、やらなくても問題ないくらいです。報酬は能力アップのポイントを 1 つだけもらえるレアアイテム。能力アップのポイントは、レベルアップ・敵のドロップアイテム・物々交換以外で手に入る手段だから旨みはある方だけど、装備というシステムがないからそれくらいしか報酬がないともいえる。お金なんかはほぼ使い道がなかったからカンストしてたし。

 また、原作には隠しボスがいたらしいのですが、どうやら Nintendo Switch 版ではオミットされたようです。実際、原作で待ち構えていたと思しき場所に行っても見当たらなかったんで、間違いないのかな。原作だと、真エンドを迎えるためには隠しボスを倒す必要があったらしく、ネット曰く、かなり凶悪だったとのこと。Nintendo Switch 版でオミットして良かったのかどうか。

 ちなみに、本作の真エンドは意識しなくても容易に迎えられるようになってます。むしろ、真エンドを避ける方が難しいくらいです。

 ということで、後日、私は隠しボスのご尊顔をネットで探して拝みに行ったのですが・・・ぅおーい! お、おま! お、OU とコミックにいた意味不明のやつ!! マジかよ。消さん方が良かったんちゃうん。えぇ・・・どういうこと? と、めちゃくちゃ動揺しました。

総評

ラスボス戦の直前データ
・・・言っとくけど、休日だからといって、休憩なしでずーっとゲームしてたわけじゃないからね? まぁ、ほぼそうなんだけどさ・・・ホント、ミスったなぁ

 ガラケーで出たと思えないほど、非常に良くできた RPG でした。ストーリーはアイデンティティーをテーマにされていたので小難しそうなイメージを持ちましたが、ドラマ面は普遍的なテーマが取り扱われているので共感しやすく、OU ほど難しい話でもなかったので気軽に楽しめました。

 また、ゲームは RPG ながら、難易度が易しめなのでテンポ良く進められてお手軽。シンプルなシステムではありますが、令和のインディーゲームにも負けないくらい個性があり、単品で配信されている値段もワンコインとお手頃でもあるので、ストーリー主導の RPG が好きな人には密かにオススメしたい魅力がありましたね。

 なお、こちらは単品で配信されている他、OU の Nintendo Switch パッケージ版(通常版含む)に同時収録されています。

 いやぁ、隠れた名作と言っても差し支えないかもしれません。たまたま手に入った、という形でゲームをプレイすることになりましたが、RPG 好きとしては幸運だったのかもしれません。意外なところに掘り出し物ってあるんだよな。

またいつか、幸田作品に出会える日を楽しみにしてます


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