第9回:冥王星水瓶座時代 —— 多様性の光と、AI・ゲノム編集による「選別」の影
冥王星は水瓶座へーー多様性、そして新たな「選別」へ
2024年、冥王星は「土着のシステム」や「権威」を司る山羊座を完全に離れ、変革とテクノロジー、AI、そして「普遍的な友愛」を象徴する水瓶座の時代へと本格的に突入しました。
これまでの連載で辿ってきたように、優生思想は
双子座で「理論」として言語化され
獅子座で「権力の狂気」として暴走し
山羊座で「国家・制度・経済合理性」と結びつき、実務として実装されていきました
そして今、水瓶座時代。
私たちは「多様性(ダイバーシティ)」という合言葉を掲げながらも、同時に人類史上もっとも巧妙で不可視な「選別」の入り口に立っています。
「多様性」という光:すべての命に居場所を
水瓶座は、国籍、性別、身体的条件、年齢、立場といったあらゆる違いを超え、本質で繋がろうとするサインです。
たとえばここ数年で急速に注目されてきた
障害当事者が直接発信してつながるネットワーク
自閉スペクトラムやADHDといった特性のニューロダイバーシティとしての再定義
LGBTQ+コミュニティにグローバルな連帯
こうした動きは、水瓶座冥王星時代にさらに加速していくでしょう。
ゲノム編集という名の「排除」
一方で、水瓶座のエネルギーは「テクノロジー」と結びついたとき、多様性とは逆の結果をもたらす可能性を秘めています。
たとえば「クリスパー・キャス9」などのゲノム編集技術。特定の疾患を排除するだけでなく、個人の能力を向上させる「増強」を可能にしつつあり、理想の子供をデザインする「デザイナーベビー」への応用を巡って、今なお激しい倫理的議論が続いています。ここで行われるのは、すでに生まれたものの「排除」ではありません。生まれる前の「選択」です。
ただ、その「選択」は、遺伝子レベルではやはり「排除」なのです。親から受け継がれる遺伝子情報のうち、将来病気を引き起こしそうな、または「劣った」遺伝子情報を、編集によって排除、最適化する。その積み重ねは遺伝的多様性を失わせ、画一的な人間を大量に生みだす危険性をはらんでいます。
AIによる「最適な人間像」
また、AIは膨大なデータから「最適な人間」をアルゴリズムで導き出します。AIは感情ではなく、データで判断します。
学歴、職歴、健康データ、行動履歴、遺伝情報。
これらを統合し、「この人は将来的に社会コストが高い」「この人は生産性が高い」と、確率論で人間を評価するのです。
採用選考をAIが一次判断する
保険料が健康データで変動する
クレジットや信用スコアが生活の自由度を左右する
こうした仕組みは、すでに世界各地で実装され始めています。特に国家の始原図(ホロスコープ)において水瓶座が強い性質を持つ中国では、いち早くこのシステムが社会に浸透していきました。
おわりに
水瓶座は「自由」と「平等」を掲げます。
でも一歩間違えれば、その平等は「平均値への収束」へと変わります。
もし、AIが「この特性は将来トラブルを起こしやすい」と予測し、親や社会が善意でそれを避け続けたなら世界には、「無難で扱いやすく予測可能な人間」だけが増えていくでしょう。
それは、暴力のないディストピアです。
真の水瓶座的社会とは、テクノロジーで命を管理・制御することよりも、多種多様な命が同じ重さで尊重されることを促していく社会です。
非効率で予測不能でノイズだらけな存在こそが、社会や文明を進化させてきた事実を決して忘れず、
「一見、役に立たなそうな特性」
「社会の想定から外れた個性」
を、排除しない「知性」を持つことが未来を担保することになるのではないでしょうか。
私たちは、効率的な『部品』になりたいのか。それとも、不完全で多様な『命』であり続けたいのか。
約140年前の1883年、双子座の風が運んできた「優生学」という選別の種。それをどう扱うかは、今この時代を生きる私たちの「倫理的成熟」に委ねられているのです。
