「どこまで任せていいか」がわからない管理職へ:実行が進むタスク設計と声かけ
「構造の問題だ」と理解できても、現場は次に必ず迷います。
どこまで任せ、どこから仕組みにすべきか。
この判断基準がないままでは、励ます・様子を見る・丸投げする、
と元の関わりに戻ってしまう。
本稿では、タスク設計のBefore/After、声かけのNG/OK、
任せ方の3つの判断軸を通して、“判断できる形”に落とし込みます。
なぜ「具体」に踏み込む必要があるのか
「結局、どこまで任せていいのかが一番わからない」
これは、多くの管理職・支援者が口にする本音です。
その迷いを減らすために、この記事を書きました。
以前に執筆した記事では、「わかっているのにできない」という状態を、
個人の能力や意欲の問題としてではなく、
仕事の配置や設計の問題として捉え直しました。
理解力はある。考える力もある。
それでも実行の場面でつまずくのは、
やる気が足りないからでも、意識が低いからでもありません。
実行機能は、気合いや努力で簡単に補えるものではないという点が、
ひとつの重要な整理でした。
また、IQや発達特性についても、
数値の高低ではなく、能力のバランスや凹凸として見る視点を示しました。
同じIQ100でも、その中身の構成によって、
仕事で現れる困りごとは大きく変わる。
だからこそ、「できる/できない」で人を評価すること自体が、
ズレを生みやすい構造になっている――
ここまでが、以前に執筆した記事で共有したポイントです。
ただし、ここで多くの現場が立ち止まります。
「構造の問題だということは理解できた」
「能力の話ではない、という点も腑に落ちた」
そのうえで、次の問いが残るのです。
どこまで任せていいのか
どこから仕組みにすべきなのか
どう声をかければ、実行が前に進むのか
考え方が変わっても、
判断の基準がなければ、行動は変わりません。
結局、励ますか、任せるか、様子を見るか――
いつもの対応に戻ってしまいます。
この先では、
その迷いを減らすために、
支援やマネジメントの場面で使える「判断の仕方」を、
具体例を交えながら整理していきます。
ここからは、
理解の話ではなく、判断の話です。
第1章|タスク設計のBefore / After
「同じ仕事」でも、実行難易度はここまで変わる
ここでは、よくある仕事の指示を例に、
設計の違いだけで、
実行のしやすさがどれほど変わるのかを見ていきます。
ポイントは、「人を変えていない」という点です。
同じ人、同じ業務でも、設計次第で結果は大きく変わります。
Before|よくある設計
まず、多くの職場で見られる指示の出し方です。
「この件、いい感じに進めておいて」
「期限までにまとめて」
一見すると、裁量を与える、信頼して任せる指示に見えます。
しかし、この言葉の裏には、いくつもの暗黙の前提が含まれています。
段取りは本人が考える
優先順位も本人判断
途中で困っても、自分で調整する
報告のタイミングも本人に委ねる
この設計では、仕事を進める過程のほとんどが、
本人の実行機能に委ねられています。
結果として起きやすいのは、
どこから手をつけてよいかわからない
他の業務との優先順位で迷う
「もう少し整理してから」と着手が遅れる
気づけば期限が近づいている
ここで重要なのは、
これは怠慢でも、やる気の問題でもないという点です。
ここまでは、多くの職場で起きている
「実行が止まりやすい設計」を整理しました。
では、同じ仕事を
どう組み直せば、実行は前に進むのか。
ここから先では、
実際に相談現場で使っている
「実行機能に負荷をかけない仕事設計」と
その判断軸を、具体例で整理していきます。
ここから先は
¥ 980
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?
