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ADHDとはどういう状態?     「なんでできないんだろう」と思っているあなたへ 


「また遅刻してしまった」 「部屋が片付けられない」 「大事なことを忘れてしまう」 「やらなきゃと思っているのに、体が動かない」

そんなことが続いて、自分を責めていませんか?

「努力が足りないんだ」「意志が弱いんだ」と、自分を追い詰めてしまっていませんか?

 ADHDという脳の特性について、少しだけ一緒に考えてみましょう。

ADHDって、どんなもの?

ADHD(注意欠如・多動性障害/Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder)は、脳の神経発達のバリエーションです。

DSM-5(アメリカ精神医学会の診断基準)では、「不注意」「多動性」「衝動性」の3つの症状群を軸に診断されます。病氣というより、脳の配線のパターンが多数派とは少し違う、と考えるとわかりやすいかもしれません。

① 不注意(うっかり、忘れやすい) 集中が続かない、物をよく無くす、順番に作業するのが難しい、ミスが多い、など。「やる氣がない」のではなく、注意を持続させる機能が働きにくいのです。

② 多動性(じっとしているのが苦手) 体が動いてしまう、おしゃべりが止まらない、など。大人になると外から見えにくくなりますが、内側では頭がぐるぐると動き続けている「内的多動」として現れることがあります。

③ 衝動性(やりたい!と思ったら止まれない) 考える前に動いてしまう、順番を待つことが苦手、感情が急に高まる、など。

この3つが組み合わさって現れたり、どれかが強く出たりします。また、ASD(自閉スペクトラム症)や学習障害(LD)との併存も珍しくありません。

「サボっている」わけじゃない。脳の仕組みが違うだけ。

ADHDのある方の脳では、ドーパミンやノルアドレナリンという神経伝達物質の働き方が多数派と異なっていることがわかっています。

ドーパミンは「やる氣」「報酬感」「動機づけ」に深く関わる物質です。これが前頭前野でうまく機能しにくい状態では、「やらなきゃ」という氣持ちがあっても、脳がなかなか行動へのスイッチを入れてくれないのです。

実行機能とは、計画を立てる、優先順位をつける、感情を調整する、作業記憶を使う、といった高次の脳機能の総称です。ADHDでは、この実行機能がうまく働きにくいことが、日常のさまざまな「できない」に繋がっているとも言われています。

これは意志の弱さや性格の問題ではなく、脳の仕組みの話なのです。

どんなに「やろう!」と思っても、脳がその信号をうまく受け取れない状態。それがADHDのある方が日々体験していることでもあります。

子どもだけじゃなく、大人にもある

「ADHDって子どもの問題では?」と思っている方もいるかもしれません。

でも実は、ADHDは6割以上の方が成人後も症状が持続すると言われています。子どもの頃は「落ち着きのない子」「だらしない子」と言われ、大人になって初めて「そういうことだったのか」と氣づく方も少なくありません。

大人のADHDでは特に、「不注意」の部分が目立つことが多いです。

  • 締め切りをよく忘れる

  • 優先順位がつけられない

  • 仕事の管理が難しく、職場でミスが続く

  • 感情調節の困難(感情が急に高まる、落ち込みやすい)

  • 時間の感覚がずれている

  • 先延ばし(先延ばしはサボりではなく、脳の報酬系の問題と考えられています)

社会生活の中でこれらが重なると、二次障害として抑うつや不安障害、対人関係の困難が生じることもあります。だからこそ、早めに氣づくことがとても大切なのです。

診断を受けるということ

「もしかして自分もADHDかも」と思ったとき、どうすればいいでしょう。

まずは精神科や心療内科を受診することが第一歩です。診断は、問診・発達歴の聴取・行動観察、そして心理検査等を組み合わせて行われます。

診断を受けることで、

  • 「サボっていたんじゃなかった」とわかること

  • 自分に合った環境調整や支援につながること

  • 必要な場合は薬物療法(コンサータ・ストラテラ・インチュニブなど)という選択肢が出てくること

  • 職場や学校での合理的配慮を申請できること

これは、自分を理解する大切なプロセスです。

「特性」として捉えると、違う景色が見えてくる

ADHDの特性は、苦しいことも多いけれど、同時に「強み」と表裏一体であることもあります。

  • 好きなことへの圧倒的な集中力(ハイパーフォーカス)

  • 枠にとらわれない発想の柔軟さ・創造性

  • 人一倍の共感力や感受性

  • 次々に湧くアイデアの豊かさ

  • 危機への素早い反応力

心理学の分野では近年、「ニューロダイバーシティ(神経多様性)」という考え方が広まってきています。これは、脳や神経の違いを「障害」ではなく「人類の多様性のひとつ」として捉える視点です。ADHDもその多様性のひとつです。

自分に優しくすることの大切さ

長年「自分はダメだ」という否定的な自己概念を積み重ねて生きてきた状態ですと、心理学では、このような繰り返される自己否定の体験が、自己効力感(「自分はできる」という感覚)を著しく低下させることがわかっています。責め続けてきた分だけ、心はへとへとになっています。
できないことがあったとしても、あなたはずっと「今ここ」で精一杯に生きてきたはずです。失敗しながらも、傷つきながらも、それでも今日までやってきた。それは本当に、すごいことだと思います。
例えば…
〇 できたことを1つ見つける 1日の終わりに「今日できたこと」を考えてみます。「ご飯を食べた」「外に出た」「挨拶した」「メモをした」等。

〇 言葉を言い換える 「片付けできなかった」→「片付けしようとした」。事実は同じでも、自分への見方が変わります。

〇「つらかったね」と自分に声をかける 心理学者クリスティン・ネフのセルフ・コンパッションという概念です。自分の苦しみに氣づき、思いやりを向けるていきます。

〇「できない」には理由がある、と知る ADHDの「できない」は脳の特性からくるものです。それを知っているということも大切です。


まとめ

  • ADHDは神経発達症であり、性格や意志の問題ではありません

  • ドーパミン・ノルアドレナリンの機能差、実行機能の困難が背景にあります

  • 成人後も6割以上で症状が続き、二次障害につながることもあります

  • 心理検査を含む専門的な評価で診断されます

  • 薬物療法・環境調整・心理的支援など、複合的なアプローチが有効です

  • ニューロダイバーシティの視点で、強みとして捉えることも大切

  • そして何より、自分に優しくすることが回復の土台になります


最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
この記事が、あなた自身のためでも、大切な誰かを理解するためでも、少しでもお役に立てたらうれしいです。


※この記事は、公認心理師・看護師の立場から、一般的な情報をお伝えするものです。診断や治療については、必ず医療機関にご相談ください。記事の内容はあくまでも参考情報であり、個別の症状や状況によって異なります。




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