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Vol.561「国際法と悪の独裁国家」

(2026.1.7)

【今週のお知らせ】
※「ゴーマニズム宣言」…アメリカのベネズエラ侵攻が全くの国際法違反であることはあまりにも明確なのだが、それを指摘しても、ネトウヨ・自称保守からは「そんな浅いことを言ってる馬鹿がいる」といった罵倒が返って来るばかりだ。だったら、もう国際法は完全に放棄してもいいのか?そこが最も問われていることなのだが、これにはいったいどう答えるのだろうか?そして、完全にアメリカの側に立って今回の軍事行動を正当化する者は、ベネズエラのマドゥロ大統領は麻薬犯罪組織の首領という「悪」であって、これを倒すのは「正義」の裁きだと言い張っている。マドゥロと麻薬犯罪組織のつながり自体が証明されていない。しかもそれが事実だとしても、世界にはもっと大きな「悪」に支配された国がいくらでもある。「悪の独裁国家」をどう考えるべきか?人類はこのまま帝国主義の時代に逆戻りしてしまっても良いのか?そして国際法とはいったい何なのか?
※泉美木蘭の「トンデモ見聞録」…年末に、国際法が無効化していることを書いたが、新年は、アメリカによって国際法が完全に粉砕されてのスタートとなった。1月3日未明、アメリカが南米ベネズエラの首都カラカスを攻撃。その後、特殊部隊が現職のマドゥロ大統領邸宅に突入して、マドゥロ大統領と妻を拘束、ニューヨークの拘置所へと連行したという。ベネズエラとアメリカがこれまでどんな関係性だったのかをおさらいしながら、何が起きていたのか、そもそもアメリカは中南米をどのように扱ってきたのか、いかにインチキがまかり通っているのか、それを外野はどう見てきたのか、わかりやすく説明しよう。
※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」…先生は物価高の影響を受けたことはある?「おぼっちゃまくん『茶滅の刃』」は、表層でも笑えるし真相でも嗤えるという稀有で高級な味わいの逸品だった!韓流アイドルグループaespaのメンバーが、SNSにて原爆のキノコ雲を思わせるランプを「可愛い」とコメントした事で炎上した件をどう思う?「これは絶対観たい!」という映画は何?山下達郎、矢沢永吉、玉置浩二、松任谷由実など大御所といわれる歌手が活躍している傾向をどう見る?HANAやちゃんみなさんをいつ知ったの?…等々、よしりんの回答や如何に!?



1. ゴーマニズム宣言・第590回「国際法と悪の独裁国家」

 アメリカのベネズエラ侵攻が全くの国際法違反であることはあまりにも明確なのだが、それを指摘しても、ネトウヨ・自称保守からは「そんな浅いことを言ってる馬鹿がいる」といった罵倒が返って来るばかりだ。
 だったら、もう国際法は完全に放棄してもいいのか? そこが最も問われていることなのだが、これにはいったいどう答えるのだろうか?

 完全にアメリカの側に立って今回の軍事行動を正当化する者は、ベネズエラのマドゥロ大統領は麻薬犯罪組織の首領という「悪」であって、これを倒すのは「正義」の裁きだと言い張っている。
 だが今号で泉美木蘭さんが書いているように、マドゥロと麻薬犯罪組織のつながり自体が証明されていない。しかもそれが事実だとしても、世界にはもっと大きな「悪」に支配された国がいくらでもある。
 その最たる国が北朝鮮だ。建国以来3代に及ぶ支配者によって、国民が飢餓に追いやられ続け、強制収容所に送られ、拷問され、虐殺され続けている。
 アメリカが本当に「正義の戦い」をする国だったら、真っ先に平壌を攻撃して金正恩を拘束すべきだが、決してそれはしない。トランプは金正恩に対して「対話」を呼びかけるばかりで、金正恩はそれをほとんど無視したまま核・ミサイル能力を強化し続けているのに、それでもアメリカが北朝鮮を攻撃することはない。

 中国も同じようなもので、習近平だって「悪の独裁者」であり、国民の人権を侵害しまくっているのに、そんな習近平とトランプは仲良しになりたがっていて、今年は国賓として訪中するのだ。
 結局は、ただ自国の「裏庭」の南アメリカ諸国を、キューバからコロンビアから全て親米政権にしてしまって、自分の意のままに操りたい、そして石油資源などの利権を独占したいと思っているだけなのだ。それからさらに勢いに乗って北にも向かって、グリーンランドまで分捕って縄張りにしたいと、野望を抱いているだけなのだ。
 だからベネズエラ侵攻はまだほんの序の口で、アメリカはまだまだ次々に侵略を続けていくかもしれない。常にこれは「正義の戦い」だと言い張りながら。

 国際法、特に「国連憲章」は以下を基本原則として定めている。

●武力の行使の禁止(Article 2(4)):
他国の領土や主権に対して武力を行使・威嚇することを禁止。
●自衛権の例外(Article 51):
武力攻撃を受けた場合のみ自衛権を行使可能。
●安全保障理事会の承認条件:
武力行使の正当化には、安保理の承認が必要であり、正当な集団安保措置でなければならない。

 米国は今回、その全てに違反している。
 たとえそれが「悪の独裁国家」だろうと、その国の「主権」を犯してはならないと定めているのが国連憲章である。しかもベネズエラはれっきとした国連加盟国なのである。
 もちろん、米国が主張する「麻薬密輸組織からの自衛」や「マドゥロ政権の排除」が「自衛権の行使」に該当すると解釈する国際法専門家なんか、いるわけがない。

 国連の安全保障理事会は5日に緊急会合を開いた。
 会合ではアントニオ・グテレス事務総長の「国際法が尊重されなかったことを深く懸念している」との声明が読み上げられた。
 米国大使は「彼は非合法な大統領であり、国家元首ではなかった」と攻撃を正当化。対してベネズエラ大使は「国連憲章に対する米国政府の明白な違反だ」と非難した上で、「国家元首の拉致や主権国家への爆撃が容認されるのであれば、武力こそが国際関係の真の仲裁者であるという(誤った)メッセージを世界に送る」と警告した。
 会合では「ベネズエラの次」を恐れるコロンビア、パナマ、ブラジルなど中南米諸国や、グリーンランドを領有するデンマーク、さらにイランなどが批判の声を挙げた。
 さらに常任理事国では中国が「米国の行動は国際法と国連憲章に違反する」と批判。ロシアが「法の支配を無視した行為」として厳しく非難した。お前らが言うなとも言いたくなるが、会合ではアメリカに国際法・国連憲章に基づく行動を求める国が多数となった。ただ、ヨーロッパでは国によって対応に温度差がある。
 しかしいずれにせよ、アメリカが拒否権を持つ常任理事国である以上、国連が何もできないことは既に明白である。

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