【再生医療】痛みに対する第3の選択肢「PRP療法」@吉野整形外科
こんにちは。
横浜市神奈川区【吉野整形外科】院長の吉野匠です。
当院では、一般整形外科から各種専門外来まで幅広く診療を行っています。
このたび当院では、厚生労働省への「再生医療等提供計画」が受理され、2026年9月より【PRP療法(再生医療)】を開始する運びとなりました。
今回は「PRP療法とはどのような治療なのか」という基礎的なところから、当院での今後の活用までお話しします。
■こんなお悩みありませんか?
ヒアルロン酸注射を続けているが、膝の痛みがなかなか改善しない
痛み止めや湿布では、その場しのぎにしかならない
手術はできれば避けたい、あるいは仕事や家庭の事情で今は手術できない
テニス肘などの腱の痛みが、長引いてなかなか治らない
スポーツを続けながら、痛みと付き合う方法を探している
このような、「これまでの保存療法では改善しきれない痛み」に対する新たな選択肢として注目されているのが【PRP療法】です。
従来、整形外科の治療は「保存療法(薬・注射・リハビリ)」と「手術療法」の大きく2つでした。PRP療法は、そのあいだに位置する"第3の選択肢"として、近年広がりつつある治療法です。

■PRP療法とは
PRP療法とは、患者さんご自身の血液から「血小板」を濃縮した成分(PRP:多血小板血漿)を取り出し、痛みのある部位に注射する治療法です。
血小板というと「血を止める成分」というイメージがあるかもしれませんが、役割はそれだけではありません。血小板には、傷ついた組織の修復を促す「成長因子」が豊富に含まれています。
擦り傷が自然にかさぶたになって治っていく過程にも、この血小板の働きが深く関わっています。
PRP療法は、こうした「体にもともと備わっている修復力」を活かすために、血小板を濃縮し、痛みや炎症のある場所に直接届けるという発想の治療です。
採血した血液を遠心分離器にかけて血小板の濃度が高い成分だけを取り出し、関節内や腱の付着部などに注射します。使用するのは患者さんご自身の血液由来の成分ですので、薬剤のようなアレルギーや拒絶反応が起こりにくいことも、この治療の特徴です。
海外ではスポーツ選手を中心に広く行われており、メジャーリーグで活躍する選手が肘や膝の治療に用いたことでも知られています。

■どのような症状・疾患が対象になるのか
PRP療法の特長は「対象となる部位・疾患が幅広い」ことです。
関節の痛みから腱・靱帯・筋肉などの障害に対して用いられています。
<関節の痛み>
・膝、股関節、肩、足首、手指など全身の関節症
例:変形性膝関節症
関節軟骨のすり減りや炎症によって生じる痛みに対して、PRPには関節内の炎症を抑え、組織の修復を助ける働きが期待されています。「ヒアルロン酸注射を続けているが効果を感じにくくなってきた」という方や、手術を回避したい方の、選択肢となり得ます。
<腱・腱付着部の障害>
・テニス肘(上腕骨外側上顆炎)、ゴルフ肘(内側上顆炎)
・アキレス腱炎
・足底腱膜炎
・膝蓋腱炎(ジャンパー膝) など
腱や腱の付着部は血流が乏しく、一度傷むと治りにくい組織の代表格です。
だからこそ、修復を促す成長因子を豊富に含むPRPを直接届けるこの治療との相性が良い領域とされています。
たとえば、「テニス肘」もこの領域です。
テニス肘の治療ではステロイド注射が有効ですが、繰り返し注射すると腱を傷める可能性があるため、何度も行うことには注意が必要です。
PRP療法はご自身の血液由来の成分を用いるため、こうしたステロイドによる副作用を避けたい場合や、繰り返しのステロイド注射が適さない場合の新たな選択肢にもなり得ます。
また、当院は足の専門外来も行っていますので、アキレス腱や足底腱膜といった、足の慢性的な痛みへの活用も見据えています。
<筋肉・靱帯の損傷>
・肉離れなどの筋損傷
・靱帯損傷 など
スポーツによるケガの領域でも、組織の修復を後押しする目的でPRP療法が用いられています。海外のトップアスリートがこの治療で知られるのはこの領域ですが、対象はスポーツ選手に限りません。
お仕事や日常生活のなかで生じた筋・腱の損傷も、同じように対象となります。
このように、PRP療法は「膝」や「スポーツのケガ」に限られた治療ではなく、全身の関節・腱・筋肉の幅広い痛みに対応しうる治療法です。どの部位・どの状態に適しているかは診察のうえで判断しますので、長引く痛みでお悩みの方はご相談ください。

■PRP療法(再生医療)の効果と適応
PRP療法の効果には、個人差があります。
これまでの国内外の多くの研究で、変形性膝関節症に対するPRP療法によって、痛みや関節機能の改善が期待できることが報告されています。
一方で、ご自身の血液を用いる治療であるため、血小板の状態など、お一人おひとりの体の状態が効果に影響すると考えられています。
また、PRP療法は組織の修復や炎症の抑制を促す治療であり、すり減って失われた軟骨そのものを新しく作り出す治療ではありません。そのため、変形が高度に進行した関節では効果が得られにくく、一般的に軽度から中等度の段階の方が、効果が期待されやすいとされています。
つまり、この治療で大切になるのは「適応の見極め」です。
レントゲンなどの検査と診察をもとに、症状の原因や進行の程度を確認します。そのうえで、PRP療法が適しているのか、従来の保存療法や手術のほうが適しているのかを見極め、必要な場合に選択肢のひとつとしてご提案します。
なお、PRP療法は健康保険の適用外(自由診療)となります。
費用については、治療開始にあわせてHPにて改めてご案内いたします。
■再生医療の安全性について
日本では、PRP療法を含む再生医療は「再生医療等安全性確保法」という法律に基づいて行われます。
治療を提供するには、再生医療等提供計画を作成し、国が認定した専門委員会の審査を経たうえで、厚生労働省に計画が受理された医療機関でなければなりません。
当院はこのたび、この再生医療等提供計画が厚生労働省に受理され、正式にPRP療法を提供できる医療機関となりました。
採血から注射まで、当院の再生医療等提供計画に基づいた手順や安全管理のもと、国のルールに則った体制で治療を行ってまいります。

■PRP療法の位置づけ
新しい治療が加わっても、当院の診療の基本的な考え方は変わりません。
まずはこれまで通り、症状の原因をしっかり見極めたうえで、薬物療法やリハビリテーション、注射などの保存療法を基本に治療を進めます。
PRP療法は「魔法の治療」ではありません。
保存療法と手術のあいだを埋める、選択肢のひとつです。
保存療法を続けても十分な改善が得られない一方で、まだ手術に踏み切る段階ではない方や、できるだけ手術を避けたい方に対して、新たにご提案できる治療の選択肢が増えた。そのように位置付けています。
長引く関節や腱の痛みでお悩みの方や、これまでの治療で十分な改善を感じられていない方にとって、PRP療法が新たな選択肢になる可能性があります。
当院では2026年9月の治療開始に向けて、現在準備を進めています。
治療の詳細については、決まり次第、このnoteやホームページで改めてお知らせいたします。
今回の記事は以上です。
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吉野整形外科
院長 吉野 匠
©Yoshino-seikei

