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黒部ダムで分かる日本の土木技術とアルペンルートの絶景の魅力

黒部アルペンルートの魅力は、「単なる移動ルートではなく、壮大な山岳テーマパークを旅する体験」にあります。

絶景だけではなく、「日本の土木技術の結晶」を体感できる旅にでもあります。

1971年開通から、今年55周年になります。

立山黒部アルペンルート


立山黒部アルペンルートのチケット


1. 日本屈指のスケールを誇る絶景

立山黒部アルペンルート の最大の魅力は、標高差約2,000mを一気に体験できることです。

日本にこんな景色があったのか」
「まるでスイスのような山岳風景」
「標高が上がるごとに変わる景色」
こんな声を聞きます。

室堂周辺



2.黒部ダムの圧倒的迫力


日本一の高さを誇る巨大ダム 「黒部ダム」。

観光地として有名ですが、その裏には”世紀の難工事”と呼ばれた壮絶な歴史があります。

標高1454mの険しい山岳地帯。
大量の地下水が噴き出す破砕帯。
そして171人もの犠牲者。

なぜ人々は、そこまでして黒四ダムを造ろうとしたのでしょうか。

今回は、日本の高度経済成長を支えた巨大プロジェクト「黒部第4ダム」の特徴と魅力を紹介します。

黒部第4ダムの上流側


①日本一の高さを誇るアーチ式ダム
最大の特徴は、堤高186mという圧倒的なスケールです。これは日本一の高さで、完成当時は世界トップクラスのアーチ式コンクリートダムでした。堤頂長は492mあり、巨大な山岳地形を利用して建設されました。

黒部第4ダムの下流側


②「世紀の大工事」と呼ばれた建設
黒四ダムは1956年に着工し、1963年に完成しました。建設には約7年を要し、当時としては破格の513億円もの工費が投入されました。
また、険しい黒部峡谷での工事は極めて困難で、「破砕帯(はさいたい)」という大量の地下水が噴き出す地層との戦いでも知られています。工事には延べ1000万人が関わり、171名が殉職したと言われています。
日本の土木技術者と作業員の方々の努力や使命感に敬意を表します。

③関西の電力不足を救った存在
戦後の高度経済成長期、関西地方では深刻な電力不足が問題になっていました。黒四ダムは、豊富な雪解け水を利用した大規模水力発電によって、その問題を支える国家級プロジェクトだったのです。
黒部川第四発電所では、年間約10億kWh規模の発電を行っています。

④観光地としても超人気
現在の黒四ダムは、立山黒部アルペンルート を代表する観光名所になっています。

特に有名なのが、6月下旬〜10月頃まで行われる「観光放水」です。毎秒10トン以上の水が放出される光景は圧巻で、水しぶきに虹がかかることでも知られています。

さらに、標高1454mの山岳地帯にあるため、北アルプスの絶景と巨大建造物を同時に楽しめる点も魅力です。

放流した時の写真



3. 乗り物を乗り継ぐ冒険感

アルペンルートは移動そのものがアトラクションです。

黒部アルペンルートの乗り物


扇沢〜黒部ダム

電気バスで黒部第4ダムの建設時のトンネルを利用して、黒部ダムに向かいます。
バス1台が通れるトンネルの途中、バスがすれ違うために広くなっている場所があります。

トンネル電気バス


黒部湖〜黒部平

多くの人が乗車可能な2連車両のケーブルカー。
高低差: 約 400 m最大勾配: 31 度主な特徴全線地下式: 自然環境の保護と冬期の雪崩・雪害を防ぐ目的で、全線がトンネルに覆われている日本で唯一の全線地下式ケーブルカーです。急斜面の移動: 最大勾配は 31 度に達し、斜面に合わせて車内は階段状の構造になっています。つるべ式: 立山ケーブルカーと同様に、2台の車両がケーブルで結ばれており、トンネルの中間地点ですれ違いを行います。
すべてトンネル内なので、景色は見れません。

黒部ケーブルカー


黒部平〜大観峰

支柱が1本もないワンスパン方式としては日本最長(1,710m)を誇るロープウェイです。
定員が80名で 最急勾配は約34度。スキーの急斜面のような勾配でスリルを味わえます。
高低差500m、所要時間7分。

立山ロープウェイ


大観峰〜室堂

立山トンネル電気バスは、距離3.7 km、所要時間約10分、運行期間4月中旬〜11月下旬(冬季は運休・閉鎖)です。

日本最高所の電気バスで2,450mの室堂から標高2,316mの大観峰を結ぶ、日本で最も高い場所を走る電気バスです。

環境への配慮:大自然の生態系を守るため、排気ガスを出さない大型EVバスが導入さました。

電気バス


室堂〜美女平

立山高速バスは、所要時間約50分で室堂 ⇔ 美女平(立山有料道路経由)のルートのをつないでいます。

車内からは立山杉や称名滝、雄大な山岳風景を眺めることができます。
美女平からは「立山ケーブルカー」に乗り継いで麓の「立山駅」へ下ります。

雪の大谷を通る立山高速バス
称名滝(天気が良いと見える)


美女平〜立山

立山ケーブルカーは、路線距離828 m、最大勾配30 ° 24 ′、高低差373 m です。
下りのケーブルカーの最後方席にいましたが、大きな石が転がってきて、ぶつかったら生命が危険だと思ってから、乗車時間がとても長く感じました。
前方に乗ることをおすすめします。

立山ケーブルカー

美女杉伝説
立山は、佐伯有頼によって開山されたと言い伝えられています。
有頼には、許婚者の美しい姫がいました。
ある時、有頼に逢いたい一心で、立山に登ってきましたが、有頼は山を拓くまで帰ることは出来ないと、すげなく姫を追い返しました。
姫はしかたなく山を下りる途中、一本の杉に、

美しき御山の杉よ心あらば
わがひそかなる祈りききしや」


と祈ったところ、後にその願いが成就して、二人はめでたく結ばれたと伝えられています。

そしてその後の世、この杉を「美女杉」と言い、この歌を三度唱えて祈れば、男女を問わず、わが恋は成就すると信仰されています。
また、この美文杉のある辺り一帯を「美女平」と呼ぶようになりました。

美女杉



4.雪の大谷は世界的にも珍しい

春の名物が 雪の大谷。
高さ10~20m近い雪壁の間を歩ける体験は世界的にも珍しく、多くの外国人観光客も訪れます。
2025年は16mだったようです。

2026年は高さ12m、5月下旬に行った時は11mでした。
延長は想像していたより、短い距離です。

雪の大谷
室堂の展望台から雪の大谷を望む


5. 室堂の別世界感

室堂 は標高約2,450m。
ここまで気軽に来られる高山地帯は国内でも珍しいです。

立山連峰
「雲の上を歩いているような感覚」
と言われますが、私が行った時は、雨天による濃霧のため、残念ながら立山連峰は見えませんでした。

濃霧時に一時晴れ間


晴れた時の立山連峰


高山植物とライチョウ
幸運にも、高山植物に隠れている二羽のライチョウを見ることが出来ました。
このような厳しい環境で生きているライチョウを見て、しばらく足を止めて感動しています。

2羽のライチョウ
雪解した高山植物の近くのライチョウ


6. 四季で全く違う表情

立山黒部アルペンルートは、四季でその表情が大きく変わるので、「季節ごとに行く価値がある」のではないでしょうか。
例えば、
春 :雪の大谷
夏 :新緑と高山植物
秋 :紅葉の絶景
冬 :雪山の神秘的な景観


雪の大谷
新緑
紅葉の絶景
雪山


長年行きたかった黒部第4ダム。
土木技術者として、思うところがある旅でした。
黒部ダムを作るための、トンネルなどのインフラが活用されて、世界中から観光客が訪れることで、日本の土木技術のレベルの高さも感じてもらう機会になっていると思います。