第4話 はじまりの合図 -2歳- | ASD | 発達障害 | 育児
2歳の誕生日。
息子のコップにジュースを注いであげたら、初めて「ママ、あいがと」と言われて泣いた。
こっちの方が君に会えてありがとうなんよ……と、思わずお礼を返した。
この頃の私はまだ産後メンタルを引きずっていて、
息子のちょっとしたことで泣いたり、スタンディングオベーションしたり、情緒が忙しかった。
しかし──。
この誕生日を皮切りに、息子は口達者マシーンと化し、
私はまた一つ、育児の階段を上るのでした。
あるときは
「息子、ママお出かけしたいんだけど(銀行)」
『イイヨ?バイバーイ(俺は行かない)』
またあるときは
『ママ、アソボ』
「今お掃除中だから待ってね」
──シュゥゥゥン…
「あれ?掃除機の電源切れた?」
『ママ?おそうじヤラナイヨ?(掃除機コードOFF)』
登園時
「さぁ出発しよう」
『………ホイクエン ガンバレナイ(ゴロゴロ)』
なんだ……
おしゃべりは超絶カワイイのに、終始こんな感じでペースを乱されていく…
さらには、口達者だけでは飽き足らず、
2歳名物・イヤイヤ期というおまけ付き。
またもや疲弊してきた私は、
「へー2歳って本当に地べたに寝そべってイヤイヤするんだなー」
と観察していたこともあった。
疲弊しすぎである。
しゃべり倒す2歳児に翻弄されながら、
この頃からもう一つ本格化していたのが“多動”だった。
例えば、病院の待合室。
待っている間じっとしていられず、
廊下を往復
ベンチに登る
別の部屋を覗く
そして脱走
最後は私が「すいません…すぐ戻ります」って受付に一礼してから猛ダッシュ。
大型ショッピングモールなんか一瞬で消えた。
0.3秒くらい目を離しただけでフッといなくなる。
「そんなわけない」と思ってた“迷子になる子”がまさか我が家にいたとは。
保育園からは、とある日「試し行動」についての指摘があった。
呼ばれても来ない
わざと違う方向に歩いていく
見えないところに隠れる
「虐待を受けている子に見られることもあります」と補足されて、ショックだった。
愛情不足なんだろうか?
働いていたけど、遊ぶ時間を1日1時間は必ず取るようにした。
けど、いつまで経っても変わらなかった。
本人の中で何を確認してるのかは分からないけど、
なんだか“わざと”感があるから余計にモヤモヤする。
よく「男の子ってこんなもんだよ〜」とも言われたけど、
いやいやいやいや、これ**「こんなもん」じゃないやつでは?**
って心の中で100回くらい思ってた。
可愛い。でもしんどい。
喋る。でも通じない。
「聞こえているのに、届いていない」
そんな不思議な感覚を抱いたのは、この頃だった。
振り返ってみると、
あの「ママ、あいがと」から始まった2歳の数ヶ月は、
まるで本番前のリハーサルのようだった。
このあと訪れる“本当のカオス”は、まだその先にあった─。
